ID:+Z93F3lOO氏タイトル不明

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かがみ「いち、にー、さん、しー、ごー、ろく…あれ、お母さん、一本足りないよぉ」 みき「あれあれ、お父さん!ロウソク一本足りないって!」 つかさ「ケーキ!ケーキ!ケーキ~!」 まつり「ちょっとつかさ待ちなさ…」 つかさは今日という日をとても、とても待ち侘びていました。 まるでキリンの様に首を長くして何日も前からずっと楽しみにしていました。 ただお「二人ともお誕生日おめでとう。はいプレゼント。」 つかさ「うわぁ~い、ありがとうお父さん!!」 かがみ「何だろね~。」つかさ「ね~。開けていい?……わぁくまさんのぬいぐるみだぁ!かぁわいい~!」 かがみ「わぁカエル君のぬいぐるみだ!!」 つかさ「……くまさん…カエル君……。つかさもカエル君がいい~!!」 みき「お父さん…だから二人共同じものの方がいいっていったのに…」 ただお「あ、あぁ。そうだった。やってしまったな。」 かがみ「私もカエル君がいいの!」 つかさ「だってだって…つかさもカエル君が、カエル君が…うわぁぁぁん!!!」 いのり「つかさは…。カエルがいいってよりは、かがみのものを欲しがるのよねぇ…。つかさ、もう小学生なんだから我慢しなさ…」 つかさ「カエル~カエル~カエル君がいい!!うわぁぁぁ」 かがみ「……………。はい、いいよ。交換しよ。くまさんもかわいいし。かがみはくまさんにする。」 つかさ「いいの?!!うわぁい!わ~い!」 まつり「かがみいいの?」 かがみ「うん。かがみはお姉ちゃんだもん。それにこれがかがみからつかさへの誕生日プレゼントって事で。」 つかさ「お姉ちゃんありがと~!!わ~い!!」 みき「じゃあ、つかさもかがみに誕生日プレゼント、何か考えなきゃね。」 つかさ「うん。……う~ん。」 その晩、ベットの上でカエル君を抱き締めながらつかさは考えました。 お姉ちゃんへの誕生日プレゼントを何にするか。 何が出来るのか。 つかさはいっぱい、いっぱい考えました。 そして次の日、7月8日、日曜日。 学校もお休み。 つかさはかがみに言いました。 つかさ「今日はね、私がお姉ちゃんのお姉ちゃんになる!!」 かがみ「へ??」 つかさ「だから、今日一日はつかさがお姉ちゃんのお姉ちゃん。つかさからのお誕生日のプレゼントとして今日はお姉ちゃんのお姉ちゃんお休みの日!!」 その日、つかさはかがみのお姉ちゃんになりました、が……。 つかさ「お姉ちゃん。何か困った事ある?」 かがみ「ん~ん。別に。」 つかさ「な~んだ。つまんなぁい。」 …………。 つかさ「お姉ちゃん、このつかさお姉ちゃんに頼みたい事ある?」 かがみ「う~ん…あんまないや。」 つかさ「…うぅ。そっか。」 つかさはお姉ちゃんになりました。 でもお姉ちゃんになっても特にやる事がありません。 つかさ「お姉ちゃんって暇なんだなぁ……」 みき「ちょっとまつり!!おつかい行って来て!!」 かがみ「お姉ちゃんならさっき遊びに行ったよ」 みき「あらそう……。じゃかがみ、おつかいにいってくれる?」 かがみ「うん、いい…」 つかさ「ん!つかさが行くぅ!!!」 まるで水を得た魚 フリスビーを追いかける犬 顔を出したネッシーの様に つかさは手を上げました。 みき「つかさ、大丈夫なの?一人でおつかい行った事ないじゃない。かがみについて行ってもらいなさい。」 つかさ「ダメっ!!今日はお姉ちゃんはお休みの日なの!つかさがお姉ちゃんなの!つかさは一人で行くの!」 つかさはお金と買う物リストが書いた紙が入った小さなポーチをぶら下げて、近所のスーパーへと大冒険を始めました。 途中、いつも遊んでる公園の横を通ります。 「あれ、つかさちゃ~ん。今缶けりやってるの。一緒に遊ぼうよ~~!!」 いつものお友達の声です。 でもつかさは答えます。 「今日はねぇ。つかさはお姉ちゃんだから遊べないの~。今からおつかいにいくの~。」 お友達に手を振って歩きだしたつかさの前に大きな交差点が現れました。 つかさはその交差点より先には一人で行った事がありません。 右見て、左見て、また右見て、また左見て、も一回右見て、手を上げてつかさは横断歩道を渡りました。 その姿はとても誇らしく見えます。 だって今日のつかさはお姉ちゃんなんですから。 交差点を過ぎ、子供の足でしばらく行くとそこにはスーパーがあります。 だけど、なんということでしょう。 入り口横のガードレールに犬が繋がれています。 つかさは怖気付きました。 入り口に近付きます。 戻ります。 また近付きます。 戻ります。 つかさは決心しました。 よく見てるテレビアニメの勇気の呪文を呟きながら走り抜けました。 その犬は意外と優しそうな目をしていて。 黙ってつかさを見送りました。 自動ドアの向こうに着くとつかさは胸を撫で下ろしました。 つかさ「おしょーゆと、とりにくのモモと、レタスと……。」 意外と簡単に買い物が出来る事をつかさは驚きました。 つかさ「なんだ!私にも出来るんだ。」 そこに泣いてる女の子がいました。 どうやら迷子の様です。お姉ちゃんのつかさは話しかけました。 つかさ「どうしたの。お母さんは?」 「うわぁぁぁん。」 その子は泣いたままです。 つかさ「泣かなくていいんだよ。お名前は? 「えぇぇぇん」 その子は泣いたままです。 つかさは困りました。 本当に困りました。 ただ泣いているその子の頭を撫でながらつかさまでもが泣きそうになりそうです。 「あらあらこんな所にいた。」 どうやらその子のお母さんの様です。 「お嬢ちゃんありがとうね。」 そういってその子はお母さんに抱えられ行ってしまいました。 つかさは思いました。 「お姉ちゃんって大変だな…。」 その後会計を済ませたつかさは、ちょっと重いな、と思いながらも「こんくらい平気だもん。」と買い物袋を持ち上げました。 するとそのとたん思い出しました。 入り口横の犬を。 恐る恐るドアを通ると…… 犬はまだいました。 つかさを見るとじゃれついてきました。 つかさは動けません。1ミリも。 つかさ「うぅ…。」 そこに……。 「こら、ダメでしょう!!迷惑かけたら。」 飼い主の様です。 同い年ぐらいの女の子とそのお父さんです。 「ごめんね。大丈夫。」 つかさ「ううん。大丈夫。」 「こいつ人なつっこいからさ。人にすぐじゃれたがって…」 つかさは改めてその犬を見ました。 円らな瞳をしていて、よく見ると可愛くも見えました。 「一人でお使い?」 271 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 21:18:16.60 ID:/Gh8KbmJ0 支援保守 272 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 21:24:11.26 ID:+Z93F3lOO つかさ「うん。今日は私はお姉ちゃんなの。だから一人でおつかい。」 「………?……そっか。じゃあお使い頑張ってね、お姉ちゃん。」 つかさ「うん。ありがとね。」 「じゃあね。ほら行くよ、コロネ!」 そんな名前のワンちゃんなんだ…、と思いながら、つかさは少女とそのお父さんと一匹の犬の背中を見送り、帰路につきました。 交差点を過ぎた頃、不思議とさっきよりも買い物袋が重くなった様な気がしてきました。 あぁ、歩けば歩く程どんどん買い物袋は重くなってきます。 つかさ「お…んもいよ。うんしょ。」 千切れそうなのは買い物袋の持つ部分かはたまたつかさの小さな手か。 引きずったらダメだ、それだけを頭に浮かべて、つかさは頑張りました。 273 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 21:29:50.04 ID:+Z93F3lOO しかし、不運な事が起こりました。 「あぁ~ドジつかさだぁ!!」 公園の方から声がしました。 駆け寄って来る数人の男子達。 クラスの悪ガキ達です。 「や~い、そんなに辛い顔して、一人でおつかいもできないのか~。」 「ドジつかさだからな~。」 「ハハハ~~。」 つかさは悔しくなりました。 泣きたくなってきました。 だけど泣きません。 だってつかさは今日、お姉ちゃんなんだから。 精一杯言い返します。 つかさ「うるさぁい!!あっちいってよぉ……。」 「なんだよ~悔しいのか~。や~い、ドジつかさ~」 精一杯、本当に精一杯、つかさは必死に耐えました、が、ついに、つかさは泣き出してしまいました。 つかさ「もぅ…あっちいってよぅ…うぅぅ…」 「こいつ泣き出したぜ~」 「泣き虫つかさ~」 「弱虫ぃ~」 つかさは悔しくて悔しくて涙が止まりません。 つかさ「…ひっく…えっ…うぅぅ…」 ……だけど。 「やいお前らぁ!つかさをいじめるなぁ!!!」 「うわぁ、鬼ババァだぁ逃げろ~」 かがみ「だれが鬼ババァだ!!!あっち行けぇ!つかさから離れてよ!!」 つかさ「…えっ、ひっく、ううっ…お姉ちゃん。」 「や~い鬼かがぁみぃ~」 かがみ「うるさぁい!!!!…………大丈夫?あまりに遅くてもう捜しに来ちゃったよ。お母さんも心配してたよ。」 つかさ「お姉ちゃ~ん!!うぁぁぁん」 かがみ「大丈夫だからね。もう泣かないの。ね。ほら半分持ってあげるから。」 家まで続く道の上 夕暮れにゆっくりと揺れる 手を繋いだ二つの影。 日暮れと共に 少しづつ長くなってゆく 背の同じ二つの影。 つかさは思いました。 お姉ちゃんはやっぱりお姉ちゃんだ、と。 お姉ちゃんがお姉ちゃんであることが何故だろう、とても嬉しいな、と。 その夜、 つかさは 『くまさん』のぬいぐるみを ぎゅうっと抱き締めながら ぐっすりと眠りにつきました。 つかさの一日お姉ちゃんはこうして終わりました。 柊つかさ。 現在、高校3年生。 今日、7月7日、18歳。 憧れている人は 「姉の様なできる人」 なんだそうです。 酷く色落ちした二つのぬいぐるみ…。 ―カエル君とくまさんは今でもそれぞれの部屋の片隅で微笑んでいます。 ―終―
ミスりましたすみません

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