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「やった!やったぁー!そろった!そろったわ!私の勝ちね、こなた」 「むむぅ。まさか、この私が負けてしまうとは……」 「じゃあ、こなちゃんが1番負けだね。約束はちゃんと守ってよ~?」 「むー。わかってるヨ、つかさ。それで私は何をすればいいのかな?」  私が提案した、4人でのババ抜き勝負。  1番負けの人は1番勝ちの人の命令をきかなければならない、というルール。  意外な事に1番勝ちは、どうせ自分が負けるからと参加を渋っていたつかさだった。  雪でも降るんじゃなかろうか。  で、無難なポジションである2位にみゆきさん……コレは計画どおりな気がする。  そして最下位は、かがみとの10分に及ぶ一騎打ちにたった今敗れてしまったこの私だ。 「う~ん……お姉ちゃんが負けたら宿題やってもらおうかと思ってたんだけど……」 「しゅ、宿題はムリだよ?」 「だよね。こなちゃんじゃ、ちょっと無理だよね」 (つ、つかさのくせに……まあ、私が先にムリだって言ったんだけどさ)  明日から3連休ということもあってか、昨日今日で宿題はどっさりとだされていた。  おそらく、この後の5・6時間目の授業によってさらに宿題は増えることだろう。  私も自分が1位で、かがみやみゆきさんが最下位なら、おそらく宿題の応援を頼んでいただろう。  何を命令しようか必死で悩むつかさ。  かれこれ5分以上は悩んでる。  あと2分程で予鈴が鳴っちゃうよ。  早く決めてくれないと次の時間の宿題を写す暇が無くなっちゃうんだけどなぁ。  というかさ、そんなに悩まないと私にやってほしいことが思いつかないなんて……  私ってそんなに役立たずかなぁ? “あはは。無能なこなちゃんが最下位になっちゃったから、命令できる権利の意味がなくなっちゃったよ~”  いやいやいや、つかさに限ってそんなことは。  私のことを無能だなんてことは微塵も思ってはいないだろう。たぶん。おそらく。  きっと、前もって命令を用意していなかっただけだよね。  この私が、ポーカーフェイスの下手なかがみなんかに負けるなんて結果を予想してなくって、ね? 「あ、そうだ!」 「なっ、なんでしょうかっ!?」  黒つかさについて妄想していた私は、つかさが突然発した声にびくんと反応してしまう。  思わず敬語まで出てしまった。  いったいどんな黒いご命令が……いや、だからそれは私の妄想上の黒つかさだってば。 「えっとね。私、今日はお家のご飯当番なんだけど……こなちゃん、代わりにつくってくれないかな?」 「う。私をいれて7人分の食事をつくるのか。地味に大変だねぇ、それは」 「あっ、もちろんダメだったらいいんだよ?こなちゃん家の都合もあるし」 「いやいや。真剣勝負の結果だからね。約束はちゃんと守るヨ?」 「え、ホントにいいの?やったぁ。ありがとう、こなちゃん」 「お礼なんて言わなくていいのよ。こなたが負けたのが悪いんだから」 「ブービー賞のくせに言うねえ、かがみん」 「はん。最下位とは違うのよ、最下位とは」 「ラ○バ・ラル?」 「誰よソレ?」 「青い巨星。ところで、かがみん」 「何よ、まだ何かあるの?もうそろそろ教室に戻りたいんだけど」 「後でお父さんやゆーちゃんに連絡するの手伝ってもらえないかな。私、携帯持ってきてないから」  「……いつもの事だけど、あんたの携帯って本ッッ当に意味が無いわね」  ☆ 「こなたちゃん、ごちそうさま」 「ごちそうさま。あー、おいしかったー」  本日のメニューは泉家特製チキンカレーとこなた流シーザーサラダ。  いのりさんもまつりさんも満足してくれたようだ。  かがみも2回半程おかわりをしていたようだし、味の方は完璧だったと言っていいだろう。  大量に作ったはずのカレーもサラダも見事に空になり、達成感が私を満たす。 「こなちゃん、ホントにおいしかったよ~。ね、お父さん?」 「ああ。おいしかったよ」 「えへへ。ありがとうございます」 「いや、お礼を言うのは私達の方だよ。ありがとう」 「あ、洗い物は私がするから。こなちゃんはゆっくりしてていいからね」  そう言うと、つかさは手際よく皿を重ねて台所へと行ってしまった。  かがみは食べ過ぎが原因か、“あ~”とか“う~”とか呻きながら隅っこに寝転んでいる。  結果として、つかさとかがみ以外の柊家の中に私はひとり残されてしまう形となる。  慣れない空気に戸惑っていると、それに気付いたのか、みきおばさんが話しかけてきた。 「うふふ。こなたちゃん、そんなに緊張しなくていいのよ?」 「は、はあ……そう言われましても……」 「あはは。ガチガチになっちゃってる。カワイ~」 「からかっちゃだめよ、まつり。でも、言われてみれば確かにカワイイわねー」 「ちょ、いのりさんまで、そんな」  普段言われ慣れない言葉を連発され、顔が赤くなってしまう。  そして、顔が赤くなればなるほどさらに“カワイイ”を連発されてしまう。  なんという永久機関。 「ねえ、お母さん。こなたちゃんって、今日は泊まりだよね?」 「かがみはそう言ってたけど……それがどうかしたの、まつり?」 「いやさ、せっかくだから、こなたちゃんに今日だけ柊家の一員に、妹になってもらっちゃおうかなって」 「ええっ!?」 「あら、名案じゃない。私も素敵な家族が増えて嬉しいわ~」 「ちょ、あの、おばさん……!?」 「うふふ、こなたちゃん。そういう訳だから、今日は私のこと“お母さん”って呼んでもいいのよ?」  そう言って私のことをギュッと抱きしめるみきおばさん。  うあ。たぶん私の顔はこれ以上ないほど赤くなっているだろう。  でも、こういうのも悪くないな……  少し平和な気分に浸っていると、まつりさん達が騒ぎだした。 「あー、お母さんズルい!提案したのは私よー!ほら、“まつりお姉さん”の方においでー」 「あっ、ダメよまつり。次は私の番なんだから。えいっ……こなたちゃん、私のことは“いのりお姉ちゃん”って呼んでね?」 「ちょっと、人の妹をとらないでよ!姉さん!」 「あら、私の妹でもあるのよ?うわー、かがみ達と違って小さいから抱き心地いいわー」 「あー、もう。姉さん、早く貸してよ。私もギュッてしたいんだからー」  そして完全に2人のおもちゃと化す私。  ああ、もう、どうにでもなれ――  ☆  つかさが洗い物を終えて戻ってくる頃になって、私は体の自由を許されるようになった。  2人の新しい姉は短時間でヒートアップし過ぎた為に、クールダウンの時間が必要になったとみえる。  ようやく手に入れたこのチャンスを逃す訳にはいかない。  私はこの隙につかさの部屋に避難することにした。  しかしここで、ただ単に『つかさの部屋で遊ぼう』などと言えば姉2人もオプションで付いてくる危険性がある。  そこで私は『一緒に宿題をしよう』と言ってつかさを誘うことにした。  泣いてすがって五体を投地して、宿題に気乗りしないつかさからなんとか了承を得る。  すぐにつかさを追い立てるようにして部屋へと入り込み、扉を閉めてホッと一息。 「やれやれ、散々な目にあったよ」 「ねえねえ、こなちゃん」 「ん?……どど、ど、どうかしたのかな、つかさ?」  つかさの目は輝いていた。  さっきのいのりさん達みたいに。  いや、それ以上に。  イヤな予感どころの話ではない。 「洗い物しながらお母さん達の話を聞いてたんだけど、こなちゃんはウチの子になったんだよね?」 「えっと、あれはまつりさんが勝手に……」 「私ね、妹がほしかったんだー。だからね、1日だけでもお姉ちゃんになれて嬉しいよー」 「い、いや、私の方が誕生日は早いし……」 「ね、こなちゃん。私のこと“つかさお姉ちゃん”って呼んでほしいなぁ。ね、ほら、はやく、ほら!」 「う、あ……つ、つかさ、お、お姉ちゃん?」 「えへへへへ~。なあに?こなちゃ、じゃなくて、こなた?」  お風呂の時間になるまで、コンマ1秒たりとも決してスキップのできない強制イベントは続いた。  この姉の監督の下で本当に宿題をやるハメになったばかりか、ことあるごとに“つかさお姉ちゃん”と呼ばされた。  うっかり“お姉ちゃん”と言い忘れると、もれなく姉としての説教がついてくるという有り難いオマケ付きだった。  正直、山のような宿題よりもこっちの方がきつかった。 「ふぃ~、このままじゃ身がもたないよ」  みっちり2時間程のつかさによる拉致監禁及び拷問から解放され、お風呂で自由を満喫する。  ちなみにお風呂に入る直前、油断していた私はいのりさんとまつさんに拉致されそうになった。 『つかさお姉ちゃん助けて~』という禁忌の呪文を唱え無敵状態のつかさを召喚し、なんとか逃げ出すことはできた。  もし捕まっていたらと思うと、ゾッとする。  自分の唱えた呪文にも十二分にゾッとするが、背に腹はかえられなかったので仕方がない。  野良犬に噛まれたとでも思って諦めよう。 「とりあえず、今日はかがみの部屋で寝させてもらおうかな」  いのりさん・まつりさん・つかさの魔手から逃れるには、その選択肢が最善だ。  おそらくかがみなら、この子供じみた冗談につきあうことはないだろう。 『はあ?こなたが私達の妹?何の冗談よ、ソレ。手の掛かる妹が増えるなんて笑えない冗談だわ』  などと一笑に付してくれることだろう。  そう考えると、安息の地はそこにしかない。 「こういう時は、やっぱりかがみが一番頼りになるよネ」  ☆ 「こなちゃ、こなた。今日はわた、お姉ちゃんの部屋で一緒に寝ない?」 「ごめんね、つ、つかさお姉ちゃん。かがみと先に約束しちゃったんだ」  つかさは心底がっかりした顔をしたが、“かがみ”という言葉の効果か、素直に諦めてくれた。  案の定いのりさんとまつりさんも誘いをかけてきたが、こちらも同じ台詞で簡単に逃げることができた。  深夜の通販番組の洗剤のように驚異的な効果だ。  どうだい?“かがみ”と一言付け加えるだけで脅威が去っていくんだよ、ジョージ!  心の中で、かがみという名の救世主に改めて感謝する。おお、神よ、かがみ様よ。 「それじゃ、おやすみなさ~い」  3人の新しい姉から逃げるように、毛布を抱えてかがみの部屋に転がり込む。  まあ、実際にかなり本気で逃げているんだけど。  かがみはベッドにもたれてラノベを読んでいた。 「ちょっと、人の部屋に入ってくるならノックぐらいしなさいよ」 「ごめん、ごめん。悪いんだけどさ、今日はこの部屋で寝かせてくれないかな?」 「あれ?つかさの部屋で寝るんじゃなかったの?」 「んー、そのつもりだったんだけどネ。なんていうか、いろいろと疲れちゃって」 「ふーん。ま、いいわ……って、何やってんのよ、あんた」 「ふぇ?寝ようとしてるだけだけど?」 「そんなとろで寝たら体が痛くなるわよ?遠慮せずに私のベッド、使いなさいよ」 「え。でも……」 「ほら、いいから」  疲れていると言った私のことを気遣ってか、かがみはベッドを空けわたしてくれる。  気合を入れて料理をした上にあのような事があってひどく疲れていた私は、素直に甘える事にした。  かがみに促されてベッドに体を横たえる。  こんなにも待遇が良いなんて。やはり、かがみの部屋で寝るという選択股は正解だったようだ。 「んー。極楽、極楽♪こりゃ、すぐに寝れちゃいそうだヨ」 「じゃあ、電気消すわね」 「あ。まだラノベ読みたいんだったら点けててもいいよ、かがみ。私って、電気付いてても大丈夫な人だから」 「……そうじゃないでしょ?」 「何が?……って、か、かがみ!?な、何してんのさ、ちょっとぉ!?」  かがみは電気を消すと当然のようにベッドに潜り込んできた。  さらに、私の体の上に覆いかぶさるような位置をとる。  いわゆるマウントポジション。  カーテンの隙間から漏れる月明かりの下、かがみはいたずらっぽい目をして笑った。 「だから、“かがみ”じゃなくて、“かがみお姉ちゃん”でしょ?」 「ひいっ!?」  体はがっちりとホールドされている。  体格差があるとはいえ、仮にも格闘経験者の私が冗談抜きで身動きひとつとれないとは……    ん?    アレアレ?  ナンダカ目ガオカシクナッテマスヨ、カガミサン? 「まったく、つかさも姉さん達も欲張りなんだから。やっと私の番がきたみたいね」 「こここ、これは、な、なななな、なんの冗談かな?」 「妹ならお姉ちゃんには従わなきゃ、ね?」 「い、いや、つかさにも言ったけど、私の方が誕生日は早いし……ちょ、かがみ!?」 「たっぷり可愛がってあげるわよ、こなた」 「は、話をきい、う、うわ、うわあああああ、あああああっ――」  この世は……地獄だ……!!  ☆ 「あ、お姉ちゃん、おかえりなさい」 「あ、ゆーちゃん。ただいま……」 「お姉ちゃん、なんかいつもと雰囲気が違うけど、何かあったの?」 「ふ、ふふ……ゆーちゃんの知ってる泉こなたは死んだんだよ……」  ゆーちゃんから見た私は、きっとおそろしく荒んだ目をしていることだろう。  大人の階段って、自分で登るものだとばかり思ってたよ……昨日まではね。  玄関先で荒涼とした気分に浸る私。  「朝っぱらからなにバカなこと言ってんのよ、あんたは?」 「ふぇ?」 「あ、柊先輩。おはようございます」 「おはよう。ゆたかちゃん」  後ろを振り向くと、そこにはさっき別れてきたはずのかがみが立っていた。  そこにいるのが当然かのような表情をして。  何が入っているのだろうか、2泊3日の旅行に使うような大きめのバッグを抱えている。 「ええっと、かがみ様、何か用事でも?」 「昨日言ってたわよね、“私の方が誕生日は早い”って。言われてみれば、あんたの方が年上なのよね」 「そ、それが何か?」 「だからね、今日は私があんたの妹になってあげることにしたの。よろしくね、こなたお姉ちゃん♪」 「お、おね……!?」 「お姉ちゃんなら妹のワガママをきいてくれなきゃ、ね?」 「――――――!!」   この絶望感、もはや言葉にならない。言葉にできない。  いやもうこれは、絶望感っていうレベルじゃねーぞ!  結局この日の夜、私は大人の階段をもう一段登らされることになった。  泉こなた、連休中に二階級特進。  めでたし、めでたし。  ☆ 「めでたしめでたしって、何言ってんの?私はもう一泊する予定よ?物語はまだ終わってないんだから、ね?」 「だ、誰かっ、誰か本当に助け、あああああア――ッ!!!?」  めでたし、めでたし←かがみ様公認

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