ID:ZHlr7Us0氏:祝ってやる

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薄い雲から幽かな日差しが漏れていた。 虫の羽の音と小鳥の囀りが涼やかな秋の朝を告げている。 しかし、時折車の走る音がその合唱を台無しにしてしまう。 そんなある日の、ゆたかの部屋 「……ゆたか、朝だよ?起きて?遅れちゃうよ?」 声の主は紛れもなかった。 「……ゆたか、朝だよ?」 布団の中に顔をうずくませ、ゆたかは声にもならない声で彼女に答える。 「んんん…みなみ…ひゃ~ん……zzz」 ゆたかの意識はこの世とは別の所にあるようだった。 それでも声の主はゆたかへの声かけを止めない。 「……ゆたか、起きて……ゆたか……」 5分が経過しようとしていた。 そしてその健気な声かけも、遂に尽きようとしていた。 「…どうしても起きてくれない……そう……そんなゆたかなんて、もう知らない。  ゆたかなんて……だいきら」 「ごめんね!みなみちゃん!」 ゆたかはガバッと身を越すと、枕元の携帯を手に取り、縋るように頭を下げた。 「良かった……間に合った……」 最後の一言を聞かずに済み、ゆたかはほっと胸を撫で下ろした。 アラームの切られた携帯のディスプレイに、みなみの画像が映し出されていた。 「おはよう、みなみちゃん。えへへ、お誕生日おめでとう」 壁掛けのカレンダーを見ると、12日だけが一際大きな赤丸で囲まれ、 そこにはーみなみちゃんの誕生日ーと可愛らしい丸文字が綴られていた。 その頃、岩崎家でもまた… 「いいもん、みなみちゃんの事なんか知らないんだから。いーっ」 「ごめんね!ゆたか!」 みなみは死に物狂い、と言わんばかりの勢いで目を覚ました。 汗塗れの手の中で、携帯の画面が元に戻っていく。 「……間に合った……心臓……止まるかと思った……」 待ち受け画面のゆたかはさっきのすねた様とは丸で違う、 はにかんだ笑顔をみなみに向けていた。 「……おはよう、ゆたか……」 今日は誕生日、ゆたか達を招いてパーティーが開かれる予定。 その事を思い、みなみの口元も綻んだ。 そして田村家では、 「ゆゆゆゆーちゃん!?いくらみなみちゃんの誕生日だからって、  『プレゼントはわ・た・し』なんて、大胆すぎるっす!不純すよ!  不純?いや、むしろ純?純愛故っすか!?で、ですがまだ未成年すよ、  お2人とも、淫行条例に引っかかるっす!え?私もこい?  いやいやいや、滅相もございませんっす!どうぞお2人で永久の愛をお結び下さいっす!」 ひよりは相変わらず腐った夢を見続けていた。 パティは夢の中でメイド服を着ていた。 「みなみ、お誕生日オメデトウゴザイマース!」 メイドの癖にメイドの使命を忘れ、コスチームチェンジだのカラオケだのダンスだのと、 1人陽気にみなみを祝うパティだった。 再びゆたかの部屋 ゆたかは机の上の包みを胸に抱いて、目を閉じた。 包みの中身はゆたかがせっせと編んだ手袋だった。 みなみの手が誰よりも冷たい、ゆたかは誰よりもその事を知っていた。 「みなみちゃん、喜んでくれると、嬉しいな」 外からそうじろうが呼ぶ声が聞こえる。どうやら朝ご飯らしい。 「はーい、今行きますー。…ん。早くみなみちゃんに会いたいな♪  …あ、そう言えばインターネットでお祝いの言葉見たっけ。  確か書き間違えだったらしいけど、  へへ、みなみちゃん、祝ってやる!えへへへへ♪」 そんなこんなで1年4人組は、これから始まるイベントに胸をwktkさせるのだった。 みなみ「……おめでとう……私……くすっ……」 ーおわりー

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