ID:GNdPVbY0氏:こなたの冒険

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今、私はコントローラを握り、テレビの画面と向き合っている。 ゲームの中の私は『こなた』。 他に3人の仲間を連れており、名前は『かがみ』『つかさ』『みゆき』である。 もっとも、グラフィックは全く関係のないキャラクターのドット絵であるが。 ゲームのタイトルは、『こなたの冒険』。 現在、最初の城『グビラテス城』の2階、巨大迷路をさまよっている。 執拗なほど複雑に構成されている上に、エンカウント率も高く、 おまけに出現するモンスターもイジメレベルに強い。 このマップだけで、既に5回もゲームオーバーを経験している。 城の前にセーブポイントがあるのが唯一の救いだ。 正直、投げ出したいほどの気持ちなのだが、そうもいかない。 道が鬱陶しく分岐する迷路にうんざりしながら、私は昨日の、事の成り行きを思い出していた。 その日は土曜日ということで、昼間からこなたが私の家に遊びに来ていた。 まずは私とつかさとこなたの3人で勉強会、少し疲れたところでゲームという、 いつも通りの流れである。 ゲームの時は、格ゲーだのシューティングゲーだの、私とこなたがお互いの得意ゲームで勝敗を決しあい、 それをつかさが傍観しているという形をとるのが普通である。 しかし、その日のゲームは少々趣向が違っていた。 こなたが今日のためにと持ってきた、RPGをやることになったのである。 そのRPGというのは、どこぞの会社が一から百まで作り上げて市販しているものではなく、 ゲームの購入者が、RPGを自由に作成できるというもの。 すなわち『RPGツクール』である。 こなたが持ってきたのは、その4代目。 随分と古いソフトであるが、これにハマってRPGを作った時期が そのぐらい昔だったからとのことである。 そして、最近それを少し作り直して、私にプレイさせようと計らったのだそうだ。 私はそれを2枚のメモリーカードと一緒に渡され、言われるままにそのゲームを起動した。 さてそのゲームの内容なのだが、 まだ中学生になったばかりの時に作った代物ということもあり、全体的に幼稚な雰囲気を帯びていた。 例えばストーリーは、魔王が世界を荒らし、それを主人公が救うために旅に出る、という いわゆる児童マンガにありがちな展開。 また、モンスターの名前も、『ギョラギロス』『バラムース』『ファソターク』といった、 言葉の響きだけで決めたような、意味不明な物ばかり。 そして戦闘バランスも滅茶苦茶。 私はゲームを進めながら、色々な箇所に突っ込みを入れていった。 こなたは苦笑いしていた。 『グビラテス城』の入り口、セーブポイントまで到達した所で、 ゲームを中断し、ついでにこなたも帰ることになった。 RPGツクールとメモリーカード一式は、私がゲームをクリアするまで貸し出すことにされた。 こなたは 「それ絶対クリアしてねー」 と、冗談か本気かわからない口調で、私に告げて帰った。 さて話は今に戻る。 ようやく、迷路の出口が見つかった。 階段を上がると、城の屋上に出た。 主人公が映るが、なぜか今上ったはずの階段は見当たらなかった。設計ミスだろうか。 その代わり、セーブポイントが置かれていた。 そしてそのすぐ隣にボスと思しきモンスターがいた。 『スペシャルス』とかいう回復アイテムでパーティ全体のステータスを回復し、 セーブデータを上書きすると、すぐさまボスに挑んだ。 ボスのグラフィックはドラゴンで赤色をしており、『ドーガラー』という名前だった。 火属性の魔法攻撃『ホーナー』をよく使い、それが脅威である。 最初にその攻撃を食らった『つかさ』が一撃で倒れた。 その反面、3ターンに1回くらいの割合で繰り出してくる『パンチ』は非常に弱く、 Lv.16『こなた』の最大HPである2546に対して、ほんの3ダメージしか与えられない。 おそらくテストプレイの段階で、『ホーナー』があまりに強力で、なかなか勝てなかったので、 それを補正するために追加した技なのだろう。 『パンチ』のおかげで、比較的余裕で『ドーガラー』を倒すことが出来た。 さて、これで一段落。自動的には場所移動をしないようなので、手動で城を出ようとする。 そのためには、先ほどの面倒な迷路を戻らなければならない・・・ が、その前に思い出した。 そもそも、ここから下りるための階段が無かったのだった。 これでは、城から出ることが出来ない。 ストーリーも進まないし、城の屋上に閉じ込められたも同然だ。 念のため、どこかに階段が無いか屋上を歩いて探し回ってみるが、やはり見当たらない。 私はどうしようもなくなり、とりあえずセーブをしてから、ゲーム機の電源を切った。 次の日、学校でこなたに聞いた。 「あのさ、最初の城の屋上から出られないんだけど」 聞くというより、クレームをつけるという感じで。 するとこなたは、 「えーそうだっけ?確か出られたと思うんだけど・・・」 「でも階段が無いのよ?どうやって出るのよ」 「うーんどうやったっけ・・・」 そう言うとしばらく考え込む仕草をした。すると、 「あ、思い出した!飛び降りるんだよ」 「はあ!?」 「いやいや、城の右端からね、飛び降りれるんだよ」 「・・・右端に行けばいいわけ?」 「うん、そうそう」 なんとわかり辛い仕様だろうか。 放課後帰宅すると、それを確かめるために、まずゲームを立ち上げた。 昨日のセーブデータを選び、ロードが完了するまでしばらく待つ。 15秒程度すると、前回セーブしたときの画面が表示された。 城の屋上である。 早速、右に行って確かめる。 その右端は、特に変わったところは無く、凹凸のある石の壁が続いているだけである。 また、この城は丁度正方形のような形をしており、一辺およそ20セルである。 ここで1セルとは、マップ上のキャラクター1人分の大きさのことである。 さて右端に着いた。 とりあえず縦に関して中央にあたる位置に立ち、右を向き、○ボタンを押してみる。 何も反応は無い。ここではないらしい。 続いて、その1セル下に移動し、右を調べてみる。 またしても反応は無い。 さらに1セル下に移動し、同様のことをする。 すると、今度はヒュウ、という音とともに画面が暗転した。 どうやら飛び降りたらしい。 20mはあるであろう城の屋上から、無言・無表情で、 何のためらいも無く地面へと飛び降りる勇者たちを想像すると、シュールで笑える。 画面が元の明度に戻っていく。 主人公パーティーは、どこかの小さな村の入り口付近にいた。 怪我は無いのだろうか。 村の住人が3人歩いているので話しかけてみる。 「魔王におそわれたんです!助けてください!」 ここも魔王の被害に遭ったらしい。 しかしその割には、建物が壊された跡も無いし、BGMもとても長閑(のどか)である。 「この村は、昔からとても平和で、みんなが仲良く墓らしておったのに・・・・・・」 誤字だ。「暮」が正しい。 「ここはアディオスの村です。」 このネーミングはウケ狙いか何かだろうか。 続いて武器屋を探す。それらしき絵の描かれた看板のある建物を見つけたので、入ってみる。 室内、正面にいる商人であろう人物に話しかけてみる。 「いらっしゃいませ。宿泊は100ギルとなります。泊まりますか?」 宿屋だった。ちなみに、ベッドは置かれていない。 一泊して、村を後にした。フィールドに出た。 現在地から北に3セルと西に4セルの所に、先ほどの『グビラテス城』が見える。 間に障害物はなく、いつでも行けるようになっているようだ。 それとは反対の方向に向かい、次の地を目指す。何も無い平原が続く。 途中何度かエンカウントが発生した。 ここで出てくるモンスターも強かった。 しばらく歩くと、町が見えた。 さらに町に近づいた所で、その向こう側に城があるのも確認した。 さっきとは別のものである。 まずは町に入ってみる。ここも先ほどの『アディオスの村』と 同じような物があるだけだったので、説明は省く。 名前だけいうと、『アデューの町』。意味的にデジャヴである。 ここでは宿屋に泊まり、250ギル払ってステータスを回復しておいた。 ついでにセーブポイントがあったので、セーブもしておいた。 そしていよいよ、2つ目の城へ踏み入る。 マップに移動してすぐ表示されるテロップで、ここは『シュラプック城』とわかった。 この手のネーミングにはそろそろうんざりしている頃である。 今度の城は、迷路にはなっておらず、開けた感じの大きな部屋だった。 また、エンカウントも殆ど無く、進むのが非常に楽だった。敵は強かったが。 3回階段を上がると、屋上に出た。 これもデジャヴ、という感じで、セーブポイントとボス敵が隣り合わせになっていた。 ただ一つ前回と違うのは、ちゃんと下り階段があることである。 前と同じように、体力を回復し、セーブをして、ボス戦に挑んだ。 ボスの名前は『カルパッチェ』。意図は不明である。 巨大な人型の化け物で、色は白っぽい。 雷属性の魔法攻撃『ガンガリン』をよく使ってくる。 強力な技だが、『ドーガラー』の『ホーナー』に比べれば、若干威力は抑えられていた。 前に出てきたボス敵の方が強力な技を出すというのもどうかと思うが。 また、こいつは5ターンに一度くらい、『キック』という技を繰り出してきた。 先ほどの『パンチ』とほぼ同じ性能の技である。 そのため、この戦いもあっさりと勝ててしまった。 ボス戦が終了し、マップ画面に戻ると、『カルパッチェ』が何か意味深な言葉を残し、消えた。 多分、その言葉に意味は無いと思うが。 階段を下り、元来た道を戻っていく。 いくら開けていて楽に進めるといえど、3階建ての城を下るのは少々面倒な作業である。 2分くらいかかって、ようやく城の外に出ることが出来た。 その辺で今日はここまでにしようと区切りをつけたかったので、 先ほどの『アデューの町』に戻り、セーブをしてゲーム機の電源を切った。 そこから先は、これまでと同じように町、城、町、城が繰り返されていた。 時々村や森もあった。 名前は相変わらずのノリであり、 町や村は城と城の間の中継地点と、店・宿屋以外の役割を担っていなかった。 また、町や村の住人は、グラフィックこそ変えてあるが、どこも言うことは似通っていた。 森には、主に宝箱が置いてあった。中身は大抵そこらへんの町で買えるような武器だったが。 ゲームを始めて一週間後の土曜日、ゲーム進行度のチェックと称して再びこなたが私の家に遊びに来た。 その頃、私は5つ目の城『ディパブルカ城』の手前にある町、『フィーリングの町』の宿屋にいた。 いつものようにメモリーカード2枚を挿し込んだゲーム機の電源を入れ、 前回のセーブデータを選び、ロードを待つ。 「おお、7時間かあ」 こなたがセーブデータの選択画面に表示されているプレイ時間を見て言った。 一日大体1時間になるように遊んでいたので、結果もその通りになっている。 画面が明るくなる。宿屋の中、セーブポイントの前に立った主人公が映る。 町を出て、『ディパブルカ城』に向かった。 城の名前のテロップが表示されたところで、改めて質問してみる。 「あのさあ、こういう城の名前ってどういう風につけたわけ?」 「そー言われてもなあ・・・うーん、テキトーだね」 やはりそうらしい。 「また迷路ー?」 「そーだね、迷路とか好きだったし」 「はあ・・・」 ここは1階から既に迷路になっていた。最初の城の2階と同じような感じである。 出口に続いていそうな道を選び、その道に沿って進んでいく。 「あっ行き止まり」 「あーあ、引っかかっちゃったね」 「うわーメンド・・・」 仕方なく分岐点まで引き返す。 途中モンスターにも出くわす。 「あ、確かこいつ強いよー」 「なんか敵全部強いから、そう言われてもなー」 「昔苦戦した記憶あるからさ」 「ふーん」 何とか倒し、削られたHPをアイテムで回復する。 30分ほど後、ようやく階段にたどり着く。ゲームオーバーはとりあえず免れた。 「おっほー、おめでとうかがみ!」 「はいはい」 階段を上る。 ・・・何かの冗談だと思いたかった。それは間違いなく悪夢だった。 「何よこれ・・・」 「いんやー、難しくしようと思ったんだろーね、あたし」 2階も迷路だった。 さっき、やっとの思いで過酷な迷路を脱出したところなのに。 流石に、2度目に挑戦するほどの気力は残っていなかった。 「もうやだわ、これ・・・」 「うーん流石にひどいね、じゃあたしやろっかな」 「そうして、うん・・・」 2階の攻略はこなたに託し、私は見る立場に回った。 「んっと確かこっちだったっけなー」 「うーん」 「あ、出たこいつ。でもあんま強くなかったかな」 「そうねー」 『ストーンバーナー』なる敵と戦うこなた。 「うし、倒した」 「おー良かったわねー」 「いやいや、雑魚だし」 そうして先へと進んでいく。 私は暇になったのでその辺のラノベを読み始めた。 一度読みきった物である。 ・・・ 「おーい、かがみん」 「何」 「着いたって。屋上だよ」 「あ、そう」 「代わってよー」 「あ、そっか、うん」 いつの間にか、こなたが城の屋上まで進めたらしい。 まだ、ラノベは最初の6ページしか読めてないのだが。 屋上は、相も変わらずセーブポイントとボス敵。2つでワンセットだ。 いつも通り体力を回復し、セーブをし、ボスに戦いを挑む。 ここで、今回は戦いに入る前のボスとの会話を紹介させていただこう。 ???「よく来たな・・・・・・」 こなた「当たり前だ!」 ???「そうか。ククク・・・・・・」 かがみ「お前は世界を滅ぼして何がやりたいんだ!」 「あれ?もしかしてラスボス?」 「うーん、あえて言わないどくよ」 ゲーム中の会話の痛々しさからか、こなたは少々赤面して見える。 ???「さあな・・・・・・」 つかさ「さらった人たちを返しなさい!」 ???「嫌だね」 みゆき「それなら・・・・・・お前を倒す!」 ???「かかってきな・・・・・・」 ちなみに、これまでの4つの城にいたボスとの会話も、大体似たような感じであった。 さて、今回のボスは・・・ !? 私は不意を突かれた。 まず、グラフィックがスライム(青)である。 そして名前は『キタザワ』。 思わず噴き出した。 「あ、あんた何これ?意味分かんないわー!」 このとき私はこなたのことを全く考えておらずに笑っていた。 こいつも笑うだろうと思って。 ところが、こなたは険しい顔つきで黙り込んだ。 それを見て、さっきまで笑っていた私の顔からも急に笑顔が引いた。 「・・・あ、ごめんかがみ、何でもないから」 「・・・そう?いいけどさ・・・」 少しこなたの事が気になりながらも、私は『キタザワ』と戦うことにした。 『こなた』の攻撃。『キタザワ』に3492のダメージを与える。 「え?」 『キタザワ』は倒れた。何ともあっけなく。 「これいいわけ?」 「うん、・・・わざと弱くしたし」 「そんなんでいいのか・・・」 「・・・」 やはり気になる。 画面が城の屋上に戻り、倒れた『キタザワ』との会話が始まる。 ○ボタンを押せば、その会話が続く。 私はわざと○ボタンを押さず、つまり会話を止めて、こなたに聞いてみた。 「何かあるの?気になるから話してよ」 「うん・・・その、・・・・・・いじめ」 「え?」 「キタザワってのがさ・・・中学んとき・・・その」 「そっか・・・」 話は分かった。 どうやらこなたは、中学の時いじめにあっていたらしい。 キタザワという名前の人間に。 その腹いせに、わざと簡単に倒せるように設定して、 『キタザワ』を敵として登場させたわけだ。 現実では敵わないから、こうやって仮想世界で勝った気分に浸ろうとする。 何だかこなたが可哀想になった。 「まあ、もう平気だからさ、会話続けてよ」 「・・・そうね」 ゲームの中の会話を続けるために、私はコントローラの○ボタンを押した。 キタザワ「ぐう・・・・・・」 こなた「これで終わったな!」 かがみ「もう、2度とこんなことをするなよ!」 キタザワ「そうだな・・・・・・」 つかさ「速く、いい人になってね!」 みゆき「約束だからな!」 キタザワ「ああ・・・・・・約束しよう」 途中誤字があったが、気にしないことにした。 この会話に込められた中学時代のこなたの気持ちが、痛いほど伝わってきた気がしたから。 「・・・あんた、何赤くなってんの」 こなたの顔色の変化に、私はすぐに気がついた。 「い、いや!なってな・・・いよ」 勢いよく発した言葉だったが、語尾で急に力を無くした。 まあ、こなたが赤面するのも無理はない。 このRPGは色々な意味でこなたの『黒歴史』なんだから。 『キタザワ』を倒すと、ゲームはエンディングへと移行した。 色々な町や村で、人々が喜び合う姿が映し出されている。 そして、 「こうして世界に平和は戻った・・・・・・」 の一言で全てが締めくくられた。 続いて、画面は黒くなり、その上に白文字でゲーム製作者の名前とその役割分担が、 下から上へとテロップで流れていく。 スタッフロールという物だ。 長い道のりではなかったが、一つのRPGをクリアしたという達成感で、私は胸をなでおろした。 ゆっくりと流れるスタッフロールを眺めつつ、私は少し気になっていたことを聞いてみた。 「そういえば、タイトルは最初からあれにしてたの?」 「いんや、それは最近直した」 「そっか。それと、主人公の名前も最近作り直したときに変えたのよね?」 「うーん、そうだね。でもあたしだけは最初から」 「え?あ、つまり『こなた』は最初に作ったときからそういう名前にしてたってことね」 「うん、で他の3人はテキトーだったよ」 「他の友達の名前とかじゃなくて?」 「だって・・・いなかったし」 「そっか・・・」 再びこなたの顔が影を帯びる。 「あ・・・いやごめん、それで、まあよくできてるわね、これ」 「無理に言わなくてもいいよ、あたしでも下手な作品ってわかるし」 「そう・・・」 「あ、エンディング終わってからもちょっと増えてる要素あるからやってね」 「へえー、それは最近作り直した時に追加したやつ?」 「うんそうそう」 「うん、まあわかったわ」 「よーし。そんにしても、スタッフロール長いね」 「そうねえ・・・」 5分くらいしてやっと長いスタッフロールが終わった。 画面が切り替わると、主人公はいつの間にか最初の町に戻っていた。 こなたはそろそろ時間だといって帰っていった。 私はこなたを見送ってから、部屋に戻り、 早速その追加された要素を探しに行くことにした。 今、私はコントローラを握り、テレビの画面と向き合っている。 マップはデフォルトの物を使い、労力と容量を削減。 主人公のグラフィックは、オリジナルにしようと頑張って描いてはみたが、 他人に見せられないほど下手だったので、仕方なくデフォルトの物を使用した。 大まかな設定はこうだ。 主人公は『こなた』。舞台となるここ埼玉県で、ネットとマンガを趣味に生活している。 そこから、祭りなどのイベントを通して私と出会い、つかさと出会い、そしてみゆきに出会う。 戦い等はなく、4人ともを仲間にしてから、あるイベントを達成すればクリアだ。 クリアしたときは、盛大な歓声とともに「おめでとう!」の文字が表示される・・・ そんな空想を楽しみながら、イベントを一つ一つ作成していく。 あの日、追加された要素はすぐ見つかった。 町の真ん中に、最初は無かったはずの掲示板が立っていたのがそれだった。 その掲示板にはこう書かれていた。 『全クリおつかれさん、さて私から次の課題を出そう。   私、かがみが作ったRPGやってみたいんだよね。   だから、何か作るべし。絶対ね!』 呆れるような注文だった。 もちろん、私もそれほど素直に言うことを聞く気は無かった。 しかし、電話で抗議したときの、あいつの泣きそうな声を聞いて、 仕方なく作らなくてはならないハメになったのだった。 とはいえ、実際に作ってみると、これは結構面白いものだ。 特に、完成したイベントをテストプレイで実行してみたとき、 思い通りにキャラクターが動くと嬉しい。 私はテキパキと作成を進めていき、気がついたら一ヶ月でRPGは完成していた。 最後に、タイトルを決めなくては。 少し悩んで、こうつけてみる。 『真・こなたの冒険』 これでいいか。 明日は土曜日なので、泉家にお邪魔して、こなたにこれを遊ばせるつもりである。 fin

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