むかし、むかし、あるところに一人のアラサーがおりました。


アラサー「アラサーだよ! ………え!? 合ってたよ!///」(焦)


アラサーは名を“健夜”といいました。


アラサーはこれといった取り柄もなく、30間近で独身でした。


人に自慢できることと言えば、大陸から伝わってきた“まあじゃん”のルールを知っていることぐらい。


他にできることもないので、アラサーは“まあじゃん”を子供達に教え、生計を立てておりました。


しかし、子供達にルールを教えたところ、たちまち自分より上手くなってしまいます。


アラサーにとってこのことが、悔しくて悔しくてたまりませんでした。


あくる日、アラサーが川でストレス解消に水切りをして遊んでいると―――


どんぶらこっこ、どんぶらこっこ……


大きな桃が流れてきました。


アラサー「おお、桃じゃ桃じゃ! でっかい桃じゃ!」


服が濡れることなど微塵も気にせず、アラサーは川に飛び込み、大きな桃を手に入れました。


アラサー「取ったどぉぉぉぉぉーーーーーッッ」


アラサー「お母さんに切ってもらおう」 ホッコリ


アラサーは実家暮らしでした。


アラサーの母が桃を真っ二つに割ると、なんと中からかわいい赤ん坊が飛び出しました!


赤ん坊「ほぎゃあ、ほぎゃあ」


アラサーの母は大いに驚きました。


アラ母「おぉ、これはなんと摩訶不思議なこともあるものだ」


アラサー「桃うめぇwww」


アラサーは桃にしか興味がありませんでした。


アラサーの母は赤ん坊を抱き上げると、こう言いました。


アラ母「名前を付けてあげなくちゃねえ」


アラ母「お前が拾ってきたんだから、お前が名前をつけておやり」


しかしアラサーには興味がありません。


シャクシャクと桃をかじりながら、適当に言い放ちました。


アラサー「今日生まれたから、“今日太郎”で」


もちろん、ひっぱたかれました。


しかし、響きは悪くない、と思ったアラサーの母は、京の都から文字を取り


赤ん坊を“京太郎”と名付けました。


アラ母「今日からお前は京太郎だ。立派に育ちなさい」


京太郎「ほぎゃあ、ほぎゃあ」


アラサーはうるさいなぁ、と思いました。


思わず言葉が口から出ていたので、またひっぱたかれました。


アラサーの母は京太郎を大層大事に育てました。


初めは京太郎のことなど、どうでもよいと思っていたアラサーでしたが


男前に育っていく京太郎を見て、いつの間にか可愛がるようになりました。


アラサー「愛いのう、愛いのう」


京太郎「お母ちゃん、大好きー」


アラサー「私もだよ、京太郎」


アラサー(くっくっく、大人になったらお婿さんになってもらおう)


しかしその頃になると、アラサーがアラフィフになってしまうことはまったく考えていませんでした。


そして時は流れ――――


京太郎が16歳の誕生日を迎える日のことでした。

「起きなさい。起きなさい私のかわいい京太郎や……」

京太郎「あ、お母ちゃん、おはよう」

健夜「おはよう京太郎。もう朝ですよ」

健夜「今日はとても大切な日。京太郎が初めてお城に行く日だったでしょう」

健夜「この日のために、お前を勇敢な男の子として育てたつもりです」

京太郎「うん」

健夜「さぁ、行ってらっしゃい!」

京太郎「えっ? お母ちゃんは?」

健夜「一人で行ってきなさい。あ、おかあさーん、冷蔵庫のスイカ切ってー」

京太郎「…………」


アラサーはアラフィフになっても相変わらずでした。


京太郎「……ったく、お母ちゃんはずっとダメダメだよなー。反面教師に丁度いいけど」

京太郎「……でも麻雀だけはすっげー強いんだよなぁ……」


京太郎はアラサーの母の教育と、アラサーのダメダメっぷりによって立派にたくましく育ちました。

そんな京太郎がお城に向かって歩いていると……


「おーい、犬! 私も一緒に行くじぇ!」


小柄な女の子が声をかけてきました。

この、京太郎を犬呼ばわりする女の子、名を優希ちゃんといいます。

二人は幼馴染の間柄でした。


優希ちゃん「これからお城に行くんだじょ? あー、初めて入るなぁ」

京太郎「おいおい、勝手についてくんなよ」

優希ちゃん「なんだと! むしろついてくるのはお前の方だじぇ! なんせ犬だからな!」

京太郎「はいはい、お供いたしますよっと」


お城についた二人は、すぐにお殿様との謁見を許されました。


お殿様「おお、よくぞきた、京太郎に優希ちゃん!」

お殿様「京太郎が次のレベルになるには――」

じい「殿! それ以上はいけませぬ!」

お殿様「おお、すまぬすまぬ! わしとしたことが、“めたふぃくしょん”に飲まれておったわ!」

京太郎「お殿様! 僭越ながら申し上げますが、今日は何用で私めを……?」

お殿様「うむ! おぬしもこの“ありあ藩”に住んでおるならば知っておろう!」

お殿様「“みやなヶ島”のテルのことを」

優希ちゃん「テル! テルって、あのテルか!?」

京太郎「こら優希、お殿様の御前で!」

お殿様「よい。今日おぬし達を呼んだのは他でもない、そのテルのことじゃ」

京太郎「そうでござりましたか」

優希ちゃん(いつの間にか、私もカウントされてるじょ)


お殿様「みやなヶ島のテル達が我が藩を荒らしまわっておることも知っておるな?」

京太郎「はい」

優希ちゃん「もろちんだじぇ!」

京太郎「こら優希、はしたない!」

お殿様「よいよい!」

じい「殿、優希ちゃんには激甘ですな!」

お殿様「だってよ……優希ちゃんなんだぜ?」

京太郎(意味がわからん!)

優希ちゃん「いやー、人気者はお得だじょ」

お殿様「して、優希ちゃん。おぬしに頼みたいことがあるのだが……」

優希ちゃん「おう! どんとこい!」

京太郎(あれ? 呼ばれたの、俺だよね?)


お殿様「これからみやなヶ島に行ってテル退治をして欲しいのじゃ!」

優希ちゃん「わかったじょ!」

お殿様「じい、例の物を」

じい「ははっ、優希ちゃん、こちらをお受けとりくださいませ」


優希ちゃんが受け取った例の物とは、袋にたくさん入った“きびタコス”でした。


優希ちゃん「おおっ! これはタコスだじぇ!」

京太郎(あれ? これ最初から優希を呼ぶ手筈だったんじゃね?)

じい「そのタコスで、旅のお供を勧誘するがオススメですぞ」

優希ちゃん「ほぉほぉ。なるほど」

お殿様「しかもそれはただのタコスではない。きびタコスじゃ。食べた物はたちまち、ちからみなぎるであろう」

優希ちゃん「すごいじぇ! ありがとーな、お殿様!」

お殿様「はっはっは! よいよい!」


優希ちゃん「しかし、きびタコスかー。まるで“きび団子”だじぇ!」

優希ちゃん「きび団子といえば桃太郎。そのお供といえば、犬・猿・雉!」

優希ちゃん「つまり犬! 京太郎は第一のお供、犬だったんだじぇ!」

京太郎「な、なんだってーーーーー!?」

京太郎(俺が桃太郎じゃねえのかよ!)

優希ちゃん「なんで小さい頃から京太郎のことを犬と呼んでいたのか……これで合点がいったじょ」

京太郎「むりやり納得したようにしか思えん」

優希ちゃん「とりあえず、ほれ! きびタコスをやろう!」

京太郎「う……わ、わかったよ」

京太郎(なんか知らんが、ここでごねても空気を悪くするだけだろ……)


パクパクモグモグ……

京太郎はきびタコスを一口、二口、三口で食べきってしまいました。

すると、なんということでしょう。身体の奥底からちからがみなぎってくるではありませんか。


犬「おぉ! なんか『さぁ、ちからみなぎる』みたいな感じが―――」

犬「――って、俺の名前が犬になってるんですけど!?」

優希ちゃん「おお! 京太郎は私の犬だからな!」


京太郎はきびタコスを食べた結果、優希ちゃんのお供“犬”に選ばれてしまいました。

もちろん、姿かたちが変わったわけではありません。

優希ちゃんを守る、勇士の一人として選ばれたのです。

これはとても光栄なことでした。


犬(光栄なんだ……)

お殿様「いwwwwぬwwwwwwwうぇっwwwwwうぇっwwwww」

犬(うぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーいッッ!! 殿様笑い転げてるーーーーッ!!)


じい「優希ちゃん、そして犬殿…………プッwww犬wwww犬殿wwwwwwwwwプスーッwwwww」

犬「あんたもかよ!!」

じい「し、失礼……。この城を出たところに……プーーーーッwwwwwww」

犬「あああああああ! もう、いっそ笑うなら思いっきり笑ってくださいよ!!」

じい「い、いや……それでですね……そこに異人が経営する酒場があるのです」

じい「旅のお供を探すのであれば……そこがよいでしょう」

犬(ついに俺の方を見なくなった……)

じい「」 チラッ

犬(……?) 首かしげ

じい「wwwwwwwwwwwwww」

犬「うぁぁぁっぁぁぁあぁぁーーーーっ! こんな酷い扱い、生まれて初めて!」

優希ちゃん「異人の酒場か! わかった! ほら、犬! 行くじょ!!」


テル退治の命を受けた優希ちゃんは、お供の犬を連れて異人が経営する酒場へとやってきました。

その酒場、名を“ルイー○の酒場”といいました。


ルイー○「マンマミーア! ワッフーッ! リュウイーソー!」 ←申し訳程度の麻雀要素

犬「わ、この町に住んでるけど、異人さんは初めて見たぜ」

優希ちゃん「酒場なんて子供の来るところじゃないしな。さ、仲間を探すじぇ!」

優希ちゃん「緑のおっさん! 仲間を探したいんだじぇ!」

ルイー○「ハッハー! リュウイーソー!」 ←申し訳程度の麻雀(ry

犬「日本語通じないみたいだな……」

「あっ! ゆうきちゃんだ゙ア゙ア゙ァ゙゙ァ゙ア゙~~~~~」

優希ちゃん「お、桜っこだじぇ!」

桜子「わ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙! なにしにきたの~~!?」


ギバード桜子、異人のお店で通訳をしている娘子でございます。


優希ちゃん「仲間を募集したいんだじょ! みやなヶ島のテル退治だじぇ!」

桜子「ゔん゙っ! わかった!」


桜子「おじざア゙ア゙ァ゙ァ゙ア゙~~~~~~!」

ルイー○「レッチェゴォ! リュウイーソー!」 ←申し訳程度の(ry

桜子「ゆうきちゃんがなかまさがしてるんだって~~~!!」

ルイー○「リュウイーソー!」 ←申し訳(ry

桜子「ふんぎっ」

ルイー○「…………」

ルイー○「何 それは本当かね!?」

犬「日本語喋れんのかよ!!」


店の主、ルイー○の呼びかけで一人の勇士が名乗りをあげました。


「わたしが行こう!」

優希ちゃん「おお~~! 凛々しそうなお姉さんだじぇ!」

「わたしはこういう者だ」


その勇士はご丁寧に名刺を差し出しました。


┌──────────────┐
│職業:るろうに剣心          |   
|                      |              
│       カ  ジ  キ         |
│                      │
│            ユ  ミ      │
│                      │
|                      |
└──────────────┘


犬(職業、なにーーーーーー!?)

ゆみ「よろしく!」 キラットサワヤカ

優希ちゃん「ふむふむ。きみじゆか?」

ゆみ「ち、ちがう! 横に読むのだ!」

優希ちゃん「きじか、みゆ?」

ゆみ「ちがーーーーう! 左からだよ左から!」

犬「こ、こいつ西洋かぶれだぜ、優希!」

優希ちゃん「はっはー、なるほど。でもここは日本だじぇ! 日本じゃ右から読むのが常識だじぇ!」

ゆみ「!!」

優希ちゃん「つまり、お前は“キジか”……キジだじぇ! お供のキジなんだじぇ!」

犬「な、なんだってーーーーーー!?」




※右から読むというのは実際、横一行の縦読みなだけです


優希ちゃん「というわけで、ほれ。きびタコスを食うじょ!」

ゆみ「な、なんだこれは……」

優希ちゃん「ちからみなぎる不思議なタコスだじぇ! お供には分けてあげるのが優希ちゃん流なんだじょ」

ゆみ(…………変なクスリ入ってないだろうな)


パクパクモグモグ

ゆみはきびタコスを一口、二口、三口で食べきってしまいました。

すると、なんということでしょう。身体の奥底からちからがみなぎってくるではありませんか。


雉「おお! なんか『さぁ、ちからみなぎる』みたいな感じが―――」

雉「――って、わたしの名前が雉になっているじゃないかーーーーー!!」

優希ちゃん「おお! やっぱりおまえはキジだったじぇ!」

犬「すっげぇ、無理矢理ダナー」


ゆみはきびタコスを食べた結果、優希ちゃんのお供“雉”に選ばれてしまいました。

もちろん、姿かたちが変わったわけではありません。

優希ちゃんを守る、勇士の一人として選ばれたのです。

これはとても光栄なことでした。


雉「光栄なんだ……」

犬「光栄らしいよ……」

雉「まぁ、犬よりマシか」

犬「」

ルイー○「すまねぇが、もうこの酒場から名乗りを上げるやつはいないようだぜ……」

犬「いえ、どうも。お世話になりまして……」 ペコリ

桜子「ほぉぉぉ、ゆうきちゃん、がんばってぇぇ~~~!!」

優希ちゃん「がんばるじぇ!」

優希ちゃん「さぁ、犬! 雉! これからテルの征伐に行くじょーー!!」

犬雉「「おぉ~~~」」


酒場のみんなに見守られ、優希ちゃん御一行は“ありあ藩”を後にしました。

目指すはテルの住む、“みやなヶ島”です。

これから優希ちゃんの、長~~~い長~~~~~~い旅が始まります。


ポンポンポンポンポンポンポンポンポン………

………ポポン!!


優希ちゃん「……この海を渡ればみやなヶ島だじぇ」

犬雉「「速ぇ!!」」

考えてみればそうです。

みやなヶ島の付近であるからこそ、“ありあ藩”が狙われているのです。

すると必然的に、みやなヶ島もありあ藩の付近にあるのです。

しかし優希ちゃんは大事なことを忘れていました。


優希ちゃん「猿がいないじょ!!」

犬「え?」

雉「猿?」

優希ちゃん「お供と言えば、犬・猿・雉! 肝心の猿がいないんだじぇ!」

優希ちゃん「これじゃあみやなヶ島に渡っても返り討ちにあうじょ……」

犬「うーむ」

雉「たしかにもう一人ぐらい、欲しい気はするな」

優希ちゃん「だろう、だろう!」

優希ちゃん「だから猿を探しに行くじぇ!」


目の前に迫るみやなヶ島に別れを告げ、優希ちゃん御一行はまだ見ぬ“猿”を探すことになりました。

当て所もない“猿”探し。犬と雉は文句一つ言わず、優希ちゃんに付き従います。

そして数日が過ぎた頃。 一行は人気のない山道へと辿り着いたのでした。


「わぁぁぁぁぁーーーー! 人が来たーーーーー!!」


どこからか人の声が聞こえてきます。


優希ちゃん「こんな山中に人がいるじょ」

犬「向こうの方だな」

雉「行ってみよう」


声の聞こえた方角に歩みを進めると、そこには巨大な岩が鎮座しておりました。


雉「岩から声が……?」

犬「いや、違う! 下だ!」

優希ちゃん「わ! 人が埋まってるじょ!」


声を上げていたのは、巨大な岩に踏み潰される形で、頭と手だけ飛び出した娘子だったのです。

犬「え? なにこれ? デスタムーア?」

「ちがーーーう!! 埋まってるんだよ!」

優希ちゃん「巨大な岩に潰されて生きてるとは、すごい生命力だじぇ!」

雉「何者だ、貴様」

「わたしは穏乃っていうんだ。ちょっとイタズラしてたら怒られちゃってさぁ……」

犬「ちょっとのイタズラでこんなことになるって、一体何したんだよ……」

穏乃「仏の指に落書きとか」

雉「お前とんでもないやつだな!」

穏乃「た、助けてくれたら何でもするからさ! 助けてー!」

優希ちゃん「よし、助けてやろう」

犬「優希!? いいのかよ!」

優希ちゃん「偉業を成し遂げる人物には相応の器量も必要だじぇ」

優希ちゃん「それに、こいつは探していた“猿”に違いないじょ!!」

犬雉「「な、なんだってーーーーー!?」」

穏乃「クンクン……ん~、なんだか香ばしい臭いがする」

優希ちゃん「お、さすが猿だじぇ! タコスのにおいに気づくとは」

穏乃「もう何日も飲み食いしてないんだ! 助ける前にそのタコスってやつ、くれないか!?」

雉「無礼者!」

穏乃「ひっ!?」

雉「なんだその無礼な物言いは!」

雉「ここにいる御方をどなたと心得るっ!」

雉「恐れ多くも“ありあ藩”の殿様よりみやなヶ島のテル征伐を命じられた――」

雉「片岡 優希ちゃん殿であらせられるぞ!」

雉「穏乃とやら! 優希ちゃん殿の御前である!」

雉「頭が高い! 控えよろぉぉぉー!」

穏乃「は、ははぁ~~!」 オズオズ

犬「いや、埋まってるからすげー頭低いけどな」

優希ちゃん(なんかキジが生き生きとしてるからツッコミ入れるのはやめておこう)

穏乃「優希ちゃんさん、優希ちゃんさん」

穏乃「御腰につけたきびタコス、一つわたしにくださいな」

優希ちゃん「あげましょう、あげましょう」

優希ちゃん「これからテルの征伐に、ついていくならあげましょう」

穏乃「行く! いや、行かせてください!」

優希ちゃん「うむ!」

優希ちゃん「犬! 猿にきびタコスを食べさせてやるんだじょ」

犬「あ、確かにこのままじゃ一人で食えないもんな」

穏乃「ありがとう犬さん」

優希ちゃん「これが最後の一個だじぇ!」

パクパクモグモグ

穏乃はきびタコスを一口、二口、三口で食べきってしまいました。

すると、なんということでしょう。身体の奥底からちからがみなぎってくるではありませんか。


猿「おお! なんか『さぁ、ちからみなぎる』みたいな感じが―――」

猿「――って、わたしの名前が猿になってるーーーーー!?」

優希ちゃん「おお! やっぱりおまえは猿だったじぇ!」

犬(毎回やるのかこれ……)


穏乃はきびタコスを食べた結果、優希ちゃんのお供“猿”に選ばれてしまいました。

もちろん、姿かたちが変わったわけではありません。

優希ちゃんを守る、勇士の一人として選ばれたのです。

これはとても光栄なことでした。


猿「光栄なの!?」

猿「やたっ! 嬉しい!」

犬雉(やだこの子、すごい純粋……)

優希ちゃん「それじゃあみんなでこの岩をどかすじぇ!」

犬「いや、それには及ばないようだぜ。見ろ!」

雉「これは……!!」

猿「ちから……み・な・ぎ・る~~~~ッッ!!」


なんということでしょう!

猿が力を入れると、今まで猿を苦しめていた巨岩を吹き飛ばしてしまいました。

これが、これこそが“きびタコス”の力なのです。


猿「すっご! 我ながらすごい!」

犬「タコスのちからってすげー!」

雉(本当に変なクスリ入ってないよな……?)

優希ちゃん「これで戦力不足も解消だじょ!」


こうして犬・猿・雉の仲間が集まりました。

あとはみやなヶ島に渡って、テルを征伐するだけです。

しかし――――


ザザッ

山賊「おうおう、てめぇら、金品置いてきなぁ!」


一騒ぎ起こしたせいか、山に潜む賊達が集まってきてしまいました。

周りは全て山賊に囲まれています。

優希ちゃん、最大のピンチです。


猿「こ、こいつらは……!」

優希ちゃん「知っているのか、猿!」

猿「わたしがお腹空かせてること知ってて、目の前にお団子置いてったりした山賊たちだ!!」

犬「随分と陰湿な山賊だな!」

山賊「女三人に男が一人か……ラクショーだな?」

子分「へへっ、一番弱そうなアイツはあっしにやらせてくだせぇ」


そういって指をさされたのは、なんと優希ちゃんでした。


優希ちゃん「む、むーーーっ!」 プンスカ

優希ちゃん「私がきびタコス何個食べたと思ってるんだじょ!」

犬「危うく猿の分がなくなりそうなぐらい食ってたな」

雉「最後のひとつを食べようとしていたところをわたしが目撃していなかったと思うと……」 ヤレヤレ

山賊「はっ! 食いもん食っただけで強くなるんだったら苦労しねーよ!」

優希ちゃん「なんだとーーーーっ!」

猿「優希ちゃんさん! ここはわたしに任せてください!」

優希ちゃん「!」

猿「新参者ですから。ここで活躍して信頼を得たい!」

猿「それにやつらには団子の恨みもありますからね……!」 ゴウッ!

山賊「良い度胸だ……掛かって来いやチビ助ぇ!!」


武器を構える山賊に対し、猿は丸腰です。

ですがそんな猿はおもむろに数本の髪の毛を引き抜きました。


子分「……? なにやってんですかね、アイツ」

山賊「マゾなんだろ、きっと」

猿「ちがーーーーう!!」

猿「こうするのさ! フーーーーッ!!」


猿が自分の髪の毛に息を吹きかけました。

すると無数の小さい“猿”が山賊たちに纏わり付いたのです!


山賊「ぬぁーーーーッ! なんだこりゃァァァァァァ~~~!?」

子分「ひゃっ、かわいい!///」

猿「名付けて、ミニミニ穏乃の術!」

犬「術とか使っちゃうんだ……」

雉「わ、わたしも触っていいか……?///」

猿「チッチ……、キジさんはダーメー」

雉「な、なぜに!」

猿「ふふん。だってミニミニ穏乃は―――」

猿「 爆 発 す る の だ ! 」

カチッ

山賊「」

子分「」

猿の活躍により、難を逃れた優希ちゃん御一行。

心強い仲間の加入により、いよいよテル征伐も時間の問題となってきました。

優希ちゃん達は再び、みやなヶ島へと向かいます。

しかし―――まだ問題は残っていました。


優希ちゃん「た、大変なことに気づいたじょ!」

犬「どうした?」

優希ちゃん「仲間の中に、犬と猿がいるんだじぇ!!」

雉「?」

猿「あの、それがどうかしたんですか?」

優希ちゃん「犬猿の仲だじぇ! 喧嘩しちゃうんだじぇ!!」

犬「え?」

猿「え?」

雉「え?」

優希ちゃん「…………」

優希ちゃん「…………え?」

『犬猿の仲』とは――

とても仲が悪い、反りが合わないもの同士、ということを例えたことわざでございます。


犬「むしろ反りが合う方だよな、俺ら」

猿「うんうん」

優希ちゃん「とか何とか言って……腹の中では愛憎渦巻いてるんだじょ……」

猿「そんなことないですよー」

優希ちゃん「口だけではどうとでも言えるよな」

犬「あ、なんかイラッと来ちゃったなー、いま」

優希ちゃん「ほら! 今なんの前触れもなく猿にイラッとしたじぇ!」

犬「お前にだよ!!」

雉「まぁまぁ、優希ちゃん殿。わたしの話をお聞きなすって」

優希ちゃん「なんだじょ?」

雉「実は『犬猿の仲』という諺、本来は続きがありまして―――」

雉「『犬猿の仲、雉が取り成し』といったのです」

優希ちゃん「……! キジ! お前か!」

雉「これは、どんなに仲が悪い者がいても、それを取り成す者がいれば、大きな偉業を達成出来る――という意味でした」

雉「しかし昨今ではこの後半部分が無くなり、単に仲が悪い者同士の例えとして前半部分のみが残った……」

雉「……そういうことだったんです」

優希ちゃん「目からウロコだじょ……。つまりキジが入れば暮らし安心クラ○アンなんだな?」

雉「えぇ!」 キラットサワヤカ

犬「そうだったのか……」

猿「またひとつかしこくなったよ!」

優希ちゃん「よーし! みんなで物知りなキジを讃えるじょーっ!」

「「「キージ! キージ! キージ! キージ!」」」

雉「はははっ! よしてくれみんな……! 恥ずかしいなぁ、もう!」



















雉「っていうか全部嘘だし」

優希ちゃん「 ( ゚д゚ ) 」

雉「後半部分とか……そんなの無いし」

犬「 ( ゚д゚ ) 」

猿「 ( ゚д゚ ) 」




雉は、みんなからひっぱたかれました。

ですが、これで犬と猿の問題は解決です。

これはある意味、雉のおかげといってよいでしょう。 きっと。 おそらく。



優希ちゃん「問題が解決したのはいいけど、なんか腹が減ったじぇー」

犬「丁度良い。近くの町でみやなヶ島へ向かう準備を整えようぜ」

猿「ソーメン! ソーメンが食べたい!」

犬「お、いいなぁ!」

優希ちゃん「ソーメン好きなのか?」

猿「うん!」

雉「意外と質素なものが好きなんだな……」

おやじ「へい、お待ち!」 ドンッ

猿「…………」

犬「ん? どうした、浮かない顔して」

猿「これ、ソーメン?」

雉「どう見てもソーメンだが……」

猿「違うよ! だってソーメンはこう……

猿「 流 れ て る も の だ よ !!」

優希ちゃん「え…………」

雉「……もしかしてソーメンが好きな理由って……」

猿「 流 れ て る か ら だ よ !!」

雉(やっぱり……)

猿「流れてるのを取るのがすっごい楽しいんだ!」

優希ちゃん「お、おう……」

犬(回転寿司とか連れてったらすごい喜びそう……)

優希ちゃん「はぁ~食ったじぇ食ったじぇ~」

犬「よし、行くか。おっちゃん、お勘定!」

優希ちゃん「む……!?」

雉「優希ちゃん殿……? どうかされたか」

優希ちゃん「あったかいじょ」

犬「?」

優希ちゃん「私の草履があったかいんだじぇ!」

優希ちゃん「猿! おぬし、私の草履の上に腰掛けておったな!」

猿「とんでもございません、優希ちゃんさん!」

猿「優希ちゃんさんの足が冷えぬよう、ジャージの中で草履を温めておったのです!」 バッ


ジャージの前を肌蹴て見せる猿。

その素肌には草履の鼻緒のあとがくっきりと残っておりました。


優希ちゃん「おお! 気が利くのぅ猿!」

猿「えへへ……」

優希ちゃん「まぁ………今、夏だけどな」

猿「…………」

猿「てへぺろっ☆」


雉「おい、なんだこの茶番」

腹を満たした一行は町を後にして、ついにみやなヶ島へ向かう港へと辿り着きました。


優希ちゃん「ここから船で小一時間もすればみやなヶ島だじぇ」

犬「ここからでもうっすら見える気がするな」

猿「わたしはくっきり見えるけど」

雉「まったく見えん……」

犬「鳥目か」

雉「え!? キジになったデメリットとかあるのか!?」

優希ちゃん「その……なんかすまん……」

雉「ちょっ……マジで……?」

猿「あぁ、わたし猿でよかった」

犬(まぁ、いま昼だけどな)


単に雉の視力が落ちていただけでした。

優希ちゃん「まずは船を借りるじょ」


港には若そうな漁師さんが一人だけいました。


優希ちゃん「なぁなぁ」

漁師「なんだい」

優希ちゃん「みやなヶ島に行きたいんだけど……」

漁師「ひっ……! みやなヶ島だって……!?」

漁師「勘弁してくれ! あんなところに行くだなんて……自殺志願者か、あんたら!」

犬「これは……」

雉「船だけでも貸してくれないか?」

漁師「船だってタダじゃないんだぞ。あんたらが戻ってこなかったら、船も戻ってこないじゃないか」

猿「こりゃ、交渉は無理だね……」


船の入手は難航を極めました。

船に乗ってすらいないのに“難航”とはおかしな話です。

優希ちゃん「しょうがないじょ……」

優希ちゃん「ほれ、犬!」 クイッ

犬「え……マジで?」

優希ちゃん「 マ ジ だ じ ょ !」 クイックイッ


優希ちゃんが首で犬を促がすと、「やれやれ」といった顔で犬が動き出しました。


犬(ああ、故郷のお母ちゃん……マジすまん……)

犬「おぃ~? 漁師の兄ちゃんよォ~? ちぃっとツラ貸してくんねェかなぁ~?」

漁師「な、なんだよ。船は貸さないって言っただろ!」

犬「あ゙ぁ゙?」

漁師「ひっ」

犬「ッッッざけてんじゃねェぞオラッッッ!!」 ドバシコーーーン!!

漁師「」


犬が近くにあった桶を思いっきり蹴り上げると、漁師は縮み上がってしまいました。


犬「ちょっと……向こう行こうか?」

漁師「…………はぃ」(涙目

十分も立った頃、物陰に行った犬と漁師が戻ってまいりました。



漁師「」 プルプル…

犬「船、貸してくれるって」

雉「犬先輩、マジパネェっすわ」 ヒューッ

猿「犬のアニキ、さすがっす! 憧れるっす!」

優希ちゃん「いや、お前たちまでそういうキャラになる必要ないから……」

犬「自分でやっといてなんだが、正義の味方のやることじゃねえな……」

優希ちゃん「正義の味方になった覚えはないじぇ」

雉「偉業を成すには犠牲も必要であろう」

猿「終わりよければすべてよし!」

犬「いいよな! 直接手を下してないヤツは気楽で!」



何はともあれ、優希ちゃん達は船を手に入れることができました。

あとはもう、みやなヶ島へ向かうだけです。

長かった旅の物語も、いよいよ佳境に入ります。

みやなヶ島に向かう船の上で、一行は準備を始めていました。

ある者は武具の準備、ある者は心の準備、またあるものは身嗜みを整えておりました。


犬「なにお前、髪の毛セットしてんの?」

優希ちゃん「み、見られて恥ずかしくない格好でテルを征伐したいじぇ……」

雉「我々とテル以外の誰も見てないと思うが……」

猿「あぁー……ドキドキしてきた」

犬「緊張を解す方法、教えてやろうか?」

猿「えっ? なになに?」

犬「こうやって手のひらに……“人”って漢字を書くんだ」

猿「ふむふむ」

犬「で、これを……飲む!」

猿「!!」

猿「…………は?」

猿「意味わかんないんですけど」

犬「いや……俺も意味はわからないけど」

猿「まず“人”ってどう書くの?」

犬「そう来たか」

優希ちゃん「じゃじゃーーーん」

雉「な、なんだこの衣装は……」

優希ちゃん「キジのために町で買っておいた“さんば・かーにばるの衣装”だじぇ!」

雉「なんというか……その……さすがにこれは恥ずかしいのだが……///」

犬「どうして雉にその衣装なんだ?」

優希ちゃん「この衣装、キジっぽいじぇ!」

犬「え? そうか……?」

猿「どちらかというとクジャクのような……」

優希ちゃん「…………」(真顔)

雉「…………?」

優希ちゃん「やっべ……間違えた……」

雉「おおぉぉぉぉぉい!!」

優希ちゃん「く、クジャクもキジ科だから大丈夫だじぇ!」

犬「何が大丈夫なんだ」
                     イーソー
優希ちゃん「あっ! ほ、ほら…… 一 索 ってクジャクだろ……?」

優希ちゃん「申し訳程度の麻雀要素ってことで……ダメ?」

犬「あれクジャクじゃなくて鳳凰らしいぞ」

優希ちゃん「マジで!?」

雉「優希ちゃん殿……」

優希ちゃん「キジ……」

雉「ありがとう」 キラッ

優希ちゃん「ふぇっ?」

雉「誤解があったとはいえ、優希ちゃん殿が私のために買ってくれたことは変わりない」

雉「その心、確かに伝わりました!」

雉「丁重に装備させていただきますッ!」 サンババーーン

犬「うぉぉぉぉぉーーーーッッ!!(エロい!!)」

優希ちゃん「キジ……。私は……私はいい仲間を持ったじぇぇぇぇ……!!」

猿「イイハナシダナー」



デレデレ デレデレ デレデレ デレデレ デーンデデン

サンバ・カーニバルのいしょう は のろわれていた!



雉「………………」

犬「………………」

猿「………………」

優希ちゃん「………………」

雉「一生この格好か、わたし」


※呪われている防具は装備解除できないだろ。ドラクエ的に考えて。

優希ちゃん「…………」

犬「ご愁傷さまです……」

猿「似合ってますよ……」

雉「ありがとう……」

優希ちゃん「…………実は犬と猿の分もあるんだが」

犬猿「「いらない いらない いらない いらない いらない いらない!!」」

優希ちゃん「犬用のイヌハナとイヌミミ、イヌしっぽに首輪まで用意したのに?」

犬「うわ、絶対着たくねぇ!」

優希ちゃん「猿用に新品のジャージ買ってきたのに?」

猿「それはちょっと着たい……」

雉「春夏秋冬、ずーっと同じジャージだぞ?」 ボソッ

猿「やっぱり着たくない!」

優希ちゃん「呪われてる前提かっ!」

猿「ほら、わたしだって女の子だし……やっぱり季節に合わせたジャージを着たいよ!」

犬「ジャージ固定かっ!」



なんやかんやありましたが、一行は無事にみやなヶ島へと到着いたしました。



優希ちゃん「ついたな」

猿「いざ決戦の時!」

雉「やりようもない怒り……テルにぶつけるッ!」

犬「がんばるぞー!」



意気揚々、声高に宣言する一行でしたが、辺りを見回しても人っ子一人……

もとい、テルっ子一テル見当たりません。



優希ちゃん「誰もいないなー」

雉「少し島を探索してみましょう」

少し歩くと……いました。

ツノのように尖がった部分のある赤い頭髪、右手が高速回転している様はまさにテルでした。


優希ちゃん「第一村人発見だじぇ!」

猿「村なのかなぁ?」

犬「気づかれる前にやっちまおうぜ!」

テル「…………人間!?」

雉「しまった、気づかれたか!」

優希ちゃん「ああ、もう! 気づかれないように後ろから近づかないとゲッチュできないじぇ!」

猿「なんか知らないけどわたしがゲッチュされそうな気がする」

犬「何の話だ、何の! いいから戦うぞ!」

テル「チッ……!」

犬は得意の拳で、



犬「うぉぉぉぉぉーーーーッッ!」

ズバーンッ

テル「ぐはっ!」



雉は磨いた真剣で、



雉「どぉぉぉーーーりゃっぁぁぁぁーーーー!!」

シャキーン

テル「うわぁッ!」



猿は奇妙な妖術で、



猿「かめはめ波ーーーっ!!」

ドッゴーン

テル「ぐぉぉぉぉーーーっ!!」



優希ちゃんは優希ちゃんパンチで、



優希ちゃん「とりゃあああああ!!」

ポフッ

テル「…………」



それぞれ攻撃しました。

犬「トドメの一発、くらえぇぇぇーーーーっ!!」

バギッ

テル「…………ッ!」

テル「に……んげ……ん……ども……が……ッ」

バタッ…


猿「ハァハァ……」

雉「さすがテル……耐久力がすごい」 フゥフゥ

犬「ちからみなぎってる俺達でも、一体倒すだけでこんなに消耗するとはな……」 ハァハァ

優希ちゃん「私はあんまり疲れてないけど……」

犬「まぁ、お前はきびタコスいっぱい食ったしな」

雉「我々より数段、ちからみなぎっているでしょうね」

猿「もっと欲しかったなぁー」

優希ちゃん「あ、あはは…………」

優希ちゃん(さっき気づいたけど、わたし全然強くなってないじょ!?)



そうなのです。

優希ちゃんはあくまで旗頭。

きびタコスの『さぁ、ちからみなぎる』効果が現れるのは、三人の、もとい三匹の勇士だけだったのです。

猿「ふぅ……ところで、テルって全部で何体ぐらいいるんだろ?」

雉「およそ100だと聞いたことはあるが……」

犬「少ないと取るか、多いと取るか……それが問題だな」

優希ちゃん(いやいやいやいや、多いって! 一体でこんなに消耗してるのに、あと99もいんの!?)

犬「ま、こっちにはタコス全開の優希がいるから大丈夫だろ!」

雉「それもそうだな! 優希ちゃん殿がいればなんとかなる!」

猿「うんうん! 優希ちゃんさん! 頼みますよ! もちろんわたし達も頑張ります!」

優希ちゃん「お、おう……」

優希ちゃん(やべーじょ……これ、やべーって……)



「そこまでだ! 人間ども!!」

優希ちゃん達が声のした方向に振り向くと、そこには絶望的な光景が広がっていました。

崖の上から無数のテルがわらわらと湧いて出てきたのです。


優希ちゃん「あ、あわわ…………」

優希ちゃん(無理だ……一体でもあんなに苦戦したのに……こんな数無理だじぇ……!!)

犬「わらわらと湧いてきやがって……」

雉「普通に考えれば絶望的な状況……」

猿「でも、わたし達には優希ちゃんさんがいる!」

優希ちゃん「え!?」

犬「優希! 先陣はお前が切ってくれ」

雉「我々は後ろから援護しよう」

優希ちゃん「えっ、えぇっ!?」

犬「どうした、優希。いつものお前らしくない」

優希ちゃん「あ……ぅ……その……」

テル「おい、人間」

犬猿雉「「「!!」」」

テル「我らの島に、何の用があってやってきた」

テル「これは立派な侵犯行為だぞ!」

犬「うるせぇ! 先に侵したのはてめぇらだろうがッ!」

テル「はんッ、我々は人間という下等生物の上に立つ優位種であるが故、その理屈は通じんな」

雉「チッ……思い上がった野蛮人め!」 ギリッ…

猿「わたし達はお前らを根絶やしにするためにやってきた、優希ちゃんさん御一行様だ!!」

優希ちゃん「」 オロオロ…

テル「ははっ! 聞いたか? 我らテルを根絶やしにするだと!」

ドッ ワハハ


大勢のテル達はおかしくてたまらない、といった様子で大笑い。

テル達は確信しているのです。 自分達の勝利が揺るがないことを。


テル「見せしめだ! 優希ちゃんとやら、貴様を最初に殺してやろう」

優希ちゃん「!?」

テル「フンっ」 クイッ

優希ちゃん「!?」 フワッ


テルの首領格が優希ちゃんに手を向けると、なんと優希ちゃんの身体がフワリと浮き上がりました。

上へ上へと、どんどん浮かび上がります。


優希ちゃん「あっ……あっ……!!」

犬「優希!?」

雉「優希ちゃん殿!!」

テル「ふっふっふっふっふ……」

犬「やめろ、テルーーーーーーッッ!!」

テル「ふっふっふっふっふ………ははははは!!!」 グイッ

優希ちゃん「うぁ………き……」

優希ちゃん「京太郎ーーーーーーッッ!!」



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                      (⌒ ,;;`)   从 ))゛
                    ‘  ;((  ,;;   7‘
                       ⌒、从 ,;`)))、,;
                    ‘ ∵从 ⌒`)、⌒`);   、   ヾ

猿「あっ……あ……」

雉「馬鹿な……優希ちゃん殿が……」

犬「くそっ! くそぉぉぉぉぉぉーーーーーッッ!!」

テル「ふははははは!」

犬「優希ィィィィーーーーーッッ!!」 ゴワッ

雉「……!? 犬殿の髪が逆立って……」

犬「は あ あ あ あ あ あ あ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ !!」

グワァァァーッ!!

テル「あ……? なんだ、おい?」

犬「…………」 シュアシュアシュアシュア…

雉「か、覚醒した……犬殿が……覚醒したッ!!」

そう、優希ちゃんのお供の“犬”となったこの男。


何を隠そう、伝説のスーガーサイヤ人だったのです。


彼こそがテルの侵略から日本を救う、宇宙から来た救世主だったのです。


川に流れていた桃は赤ん坊であった彼の食料兼宇宙船でした。


その桃を食べることですぐに強力な力を手に入れるはずでしたが、アラサーにより計画はご破算。


そのまま育てられた彼はその秘めたる力を自覚することなく成長してしまいました。


しかしきびタコスの摂取、そして幼馴染である優希ちゃんの死が引き鉄となり、此度覚醒することができたのです。

犬「もう……泣いて謝ったってゆるさねえぞ……!」

テル「は、はんッ! なんか黄色くなったからって、それがどーした!」

テル「お前らもすぐ片付けてやる! あの人間のようにな!」

猿「なにっ……!?」 ピク

猿「あの人間のように……?」 ワナワナ…

犬「猿……?」

猿「優希ちゃんさんのことか……」

テル「……?」

猿「優 希 ち ゃ ん さ ん の こ と か ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ ぁ゙ !!」

グワァァァーッ!!

テル「こ、今度はなんだぁーーーッ!?」

猿「…………」 シュアシュアシュアシュア…

雉「さ、猿殿もなんか覚醒しちゃったーーーー!!」

そう、優希ちゃんのお供の“猿”となったこの娘。


何を隠そう、岩から生まれた妖怪猿だったのです。


彼女こそがテルの侵略から日本を救う、宇宙から来た救世主だったのです。


彼女が生まれた岩は宇宙船でした。


その宇宙船に、長い年月をかけて地球の霊気が集まり、元の力とは違う妖術を身につけて生まれました。


ですがその霊気のせいか、使命を忘れ、イタズラをして過ごす毎日……。


しかしきびタコスの摂取、そして恩人である優希ちゃんの死が引き鉄となり、此度覚醒することができたのです。

犬「…………」 シュアシュアシュアシュア…

猿「…………」 シュアシュアシュアシュア…

テル「バカめ! それがどうした! そんなことで我らの優位が揺らぐとでも思ったか!」

テル「掛かれ! 掛かれーーーい!!」

無数のテル「「「ウォォォォォォォォーーーーーーッッ!!」」」



一斉に襲い掛かる99のテル。

しかし本来の力に目覚めた二人に敵うはずもありません。

一方では犬がテルをちぎっては投げ、ちぎっては投げ……

また一方では猿がテルをちぎっては投げ、ちぎっては投げ……

その様子を一人傍観していた雉は、のちにその時のことをこう語りました。



雉「真・三國無双ってリアルで見たらこんなんだろうな……」

まさに死屍累々。

みやなヶ島には無数のテルの死体だけが残りました。


犬「…………終わったな」

猿「………うん」

雉(結局わたしが戦ったの最初の一匹だけ……)

犬「これで“ありあ藩”は救われた……」

犬「でも優希は……優希は帰ってこない……!」

猿「犬さん……」

雉「…………犬殿、猿殿」

雉「テル達が強奪していた宝を取りかえそう」

犬「……そうだな」

猿「わたし、船から荷車持ってくるよ」

雉「ああ。宝を積んだら荷車はわたしに引かせてくれ」

猿「?」

雉「このまま何もしないんじゃ……カッコ悪いまま歴史に残っちゃうからな!」 キラッ

犬「いや、荷車引いたからってカッコいいわけじゃないかと……」

猿「サンバの格好な時点でカッコ悪い残され方決定だと思います……」

雉「…………」



雉「……わたし、旅が終わったらリオデジャネイロに行こうと思う」(血涙


こうして優希ちゃん御一行の『みやなヶ島のテル退治』は幕を閉じました。


偉業を成し遂げた三人の勇士は英雄となり、末代まで語り継がれたという。

















ちなみに優希ちゃんは、テル達が持っていたドラゴンボールで生き返りましたとさ。


めでたし、めでたし!



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優希「―――というお話だったんだじょ」

優希「どうだ? 面白かったろ?」

京太郎「なんか色々と突っ込みたいところはあるんだが……」

優希「なにーっ!? 私が一生懸命考えた話を!」

京太郎「いや、馬鹿にしてるんじゃなくてさ……突っ込みたいところはあるけど」

京太郎「お前のその一生懸命さが伝わってくる話だったな、って思ってさ」

優希「きょ、きょうたろ……///」

優希「ば、ばっか! なに言ってんだじょ! あぁーこれだから犬は!///」

京太郎「よし、じゃあ次は俺が作った話の番だな!」

優希「お、おう! 耳の穴かっぽじって、よく聞いてやるじぇ!」

京太郎「お題:「桃太郎」で、俺が作ってきた話は―――」




二次創作同好会(部員2名)は今日も平和に活動している……。



おしまい!