京太郎(あれ、鍵かけ忘れたか?)
指に抵抗感もなく回った鍵穴に首をひねりながらスタスタとロビーを横切ろうとして
玄「あ、京太郎くん、夕ご飯は唐揚げだよ。手を洗ってきたらすぐ揚げるからね」
なぜか一つ年上の少女がキッチンに立っているのが目に入る
京太郎「あれ? なんでここに玄さんが?」
玄「玄関に鍵忘れてたよ。えへへ、美味しいご飯たくさん作るからね」
その日以来
玄「窓から入っちゃった」
京太郎「ここ2階ですけど!?」
京太郎「……窓割れてません?」
玄「大丈夫、ちゃんと弁償するから」
京太郎「そういう問題じゃない!」
毎日毎日、家にどこからか入っては家事をしてる姿を延々と見続けることになり
京太郎「玄さん、これ」
玄「? あ、これって」
京太郎「合鍵あげるんでせめて普通に入ってください」
何か諦めとともに差し出したカギを少女は嬉しそうにキーホルダーにしまい、弾けるような笑顔をこぼす
玄「えへへ、京太郎くんのお世話は一生お任せあれなのですっ」
少年は台詞に含まれた『一生』という重すぎる言葉にどこか遠くを見る目になった
余談であるが、彼女が確実に京太郎を家で迎えるために学校に行ってすらない事実が後に明らかになるが、それは別の話
カン
最終更新:2019年03月11日 01:31