穏乃「京太郎の分もパン買ってきたから一緒に食べよっ」

穏乃「京太郎が見たいって言ってた映画の券あるんだけど一緒に来る?」

穏乃「京太郎、これあげる。『なんで』って? 今日が京太郎と会った日だからだよっ」

穏乃「京太郎、初めて料理してみたんだけどどうかな? あ、無理目だったらパンも買っておいたから」

穏乃「ふゎ、おはよー。いやー、ちょっと徹夜しちゃってさ。これ、お弁当。前よりはましだと思うんだけど」

穏乃「元気がない? そんなことないって、授業で寝るからね。あ、やっぱダメ?」

穏乃「今度はこれ、行こうよ。チケットは望さんからもらったから」

穏乃「やつれてる? 失礼な、ダイエットだよ。少しは女の子っぽいかなって」

穏乃「あれ、おかしいな、目の前が。あは、聞こえてるって、ちょっと寝れば――」


穏乃「あはは、お騒がせでごめんね。ダイエットし過ぎて栄養失調で倒れるなんて思ってなくてさ」今日にでも退院するから待っててよ」

京太郎「嘘つくなよ。だってお前最近山にも行ってないって、夜バイトしてるっておばさんが」

穏乃「ありゃ、お母さん言っちゃったんだ。黙っててって言ったんだけどな。ちょっと欲しいものがあるだけで」

京太郎「その欲しいのって『お前が』じゃなくて『俺が』だろ? 前から変だと思ってたんだよ、いつも俺がいいなって思ったものタイミングよく」

穏乃「そんなことないって、ぐーぜん、ぐーぜん」

京太郎「目を見て言え、このバカ。こんなになるまで気づかなかった俺の方がもっと馬鹿だけどさ」

穏乃「……だって、しょうがないじゃん。私は憧みたいにオシャレじゃない、玄さんみたいに面倒見よくないし、宥さんみたいな包容力も、灼さんみたいにしっかりも
   だったら、興味持ってもらうには、好きになってもらうにはこれしかないって……」

京太郎「バカ、大バカ穏乃。今俺が一番欲しいもの教えてやろうか?」

穏乃「え、何!? 絶対お金貯めて買って」

京太郎「『元気なお前』だよ。そんで前みたいにバカやろうぜ。ずっと一緒にな」

穏乃「……あれ、おかしいな。私、なんで泣いて。京太郎はただ優しいだけなのに」

京太郎「あーもう、直接じゃなきゃ意味ないんだな。分かった、よく分かった。俺は、素のままの穏乃が好きなんだよ。友達としてじゃねーぞ、だからそのなんだ、彼女になれ
    くそ、恥ずかしすぎる! あーもう、なんでこんな告白の仕方に」

穏乃「聞き、間違い? えっと、もう一度だけ」

京太郎「好きだ、他の誰でもなく穏乃が好きだ。難度だって、ずっと言ってやる」

穏乃「夢、じゃないよね? ぅ、うわ~~んっ!」

その頃病室の外
憧「こっちにまで聞こえてるってのよ。あーもう、こっちが完全に負けてるじゃん」
玄「仕方ないよ。穏乃ちゃんには穏乃ちゃんの良さが、ね」
宥「すごくあったかーい。中に入ってもいいかなぁ?」
灼「今入ったら冷めるとおも」
憧「おめでと、しず。見舞いは時間たってからってことで先にご飯すませよ、みんな」

(こっちは本当の)Happy End

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最終更新:2019年03月11日 01:31