その日、私は部室に入ろうとした直前で中から漏れ聞こえる声に腕の動きが止まりました

咲「ん、ぁ、だめだよ京ちゃん」

京太郎「そんなこと言ってお前だって抵抗しないじゃねえか」

咲「それは、その、好きだし」

なんてことでしょう。まさかあの二人が内緒で恋仲になっていたなんて想像もしていませんでした

京太郎「ここじゃちょっとやりにくいな。ベッドまで運ぶぞ」

咲「うん、やさしくしてね」

こ、これはいけません。神聖な部室でそんなことをなんて
それに部活が始まるまでそんなに時間がありません、もし優希が目の当りにしたらどうなるか

和「須賀くん、咲さん、何をやってるんですか! 学校でなんて、見つか、ったら……」

白いベッドの上でうつぶせに寝ている咲さんと、彼女に馬乗りになって背中を指で押している須賀くんという光景が目に飛び込んできます

咲「あ、和ちゃんおはよー。ん、ぁあ、京ちゃんの指圧やっぱいいよぉ」

京太郎「そりゃまあ長い付き合いだからどこが凝るとかツボの位置とか分かってるからな」

……咲さんがされているのは何をどう見てもマッサージです
私はとんでもない勘違いに赤くなった顔をエトペンに押し当てて隠すことしかできませんでした


夜、今日にあったことを日記に記し、あの勘違いのさなかにチクリとした痛みがかすかに走ったのはなぜか
そんな小さな疑問がのちのち部を揺るがす出来事につながるなんて私は予想もしていなかったのです


カン

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最終更新:2019年03月11日 01:26