巴「誕生日のお祝いにコレはちょっと高過ぎじゃないかしら」

京太郎「焼酎もお好きでしょうが、たまには清酒もいかがかと」

巴「だからって獺祭はやりすぎよ?」

京太郎「酒は値段じゃありませんが…誰かと一緒にゆっくり飲むならいい物が飲みたいですから」

巴「『あなたと一緒に』、とは言ってくれないのね」ボソッ

京太郎「?あ、そうだ。アテもどうぞ」スッ

巴「皮の湯引きね」

京太郎「昼に良い型のメジナが上がりまして。身の方は柵取りして寝かせてあります」

巴「まあ。それじゃあ明日のお夕飯が楽しみね」

京太郎「ええ。煮付けも作りましょうか」

巴「そうね…」




『最近、須賀の倅と仲が良いようだな』

『お前も今年で28になる。そろそろ引退して次代の育成に入ってもいい頃だ』

『幼いころから面倒を見てきたお前にとって、“弟”のような存在として可愛いのは分からんでもないが』

『身は十分に慎むことだ。いずれ良家に嫁ぎ、子を…後継ぎを産まねばならぬ体なのだから』

京太郎「…巴さん?」

巴「えっ?」

京太郎「お疲れですか?心ここにあらずといった感じでしたので…」

巴「何でもないわ。誕生日パーティーにかこつけて、皆が騒ぎすぎるから…」

京太郎「ああ。皆さん意外と騒ぐのお好きですからねえ」

巴「…ねぇ京太郎君」

京太郎「はい。何でしょうか?」

巴「今日はちょっと遅くまで付き合ってくれるかしら」

京太郎「巴さんからのお誘いなら無下には断れませんが。ご存知の通り私はお酒は好きですが少ししか…」

巴「構わないわ。アテが無くなったら作ってね?」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

チュン チュン チュン

京太郎「う…あぁ…朝か」

京太郎「ここは…?なんか頭が痛いな…昨日は巴の誕生日パーティーの後に二人で飲んでて…
    って!なんで俺何も着てないんだ!?」


ムニュ


京太郎「ん、何か手に柔らかいものが…」

巴「スゥ…」



京太郎「!?ま、まさか…!?」タラー


  • 部屋に漂う独特の香り
  • 乱れた布団に散る赤い斑点とシミ
  • 当然の如く存在しない近藤氏

京太郎「重ね役満やが」

巴「うぅん…」

京太郎「…とりあえず巴さん起こして土下座からだな。最悪神境を追い出されるかもだけど…仕方ないか
    男としては最悪だけど、後悔はしてないしな。お互いがお互いの初めての相手だったんだから」

「ねえお父様」

「何だい?」

「どうしてお父様はお母様と結婚したの?」

「…それは普通、お母様に聞くことじゃないのかい?」

「だってお父様、昔は神境で姫様のお母様や石戸君のお母様と一緒に暮らしてたんでしょ?」

「ああ。お母様も霞さんも六女仙だったからね。須賀家の長男は代々、神代本家とそれに
 連なる方々に仕える習わしなんだよ」

「正直ね、お母様には悪いけど」

「?」

「姫様のお母様や石戸君のお母様の方が美人だと思うの。胸も大きいし」

「まあ…否定はしないが」(父娘の会話としてこれはいいのだろうか?)

「なのにどうして?って思ったから」

「まあお母様とは、それこそお母様が六女仙になる前から一緒だったからねぇ。それに…」

「それに?」

「俺が世界で一番美しいと思うのも、結婚したいと思った人もお母様一人だよ。だから…」

「だから?」

「お母様が嫁ぐ前に無理矢理自分のものにしてしまったのさ」

「うわ…お父様サイテー」

「何とでも言え。そしてお前が生まれて、なし崩し的に関係を認めてもらったんだ。
 まあ何故かお前のお爺様よりも、当時の他の六女仙の方々と姫様(最強神モード)に
 ボロボロのボコボコにされて丸三日は体のあちこちが痛くてなぁ」ハハハ

(何故かって…明らかに未練バリバリだったの丸分かりじゃん…。姫様のお母様とか祝言の時の動画見たら泣きっぱなしだったし…)

「それよりお前…霞さんの息子と仲が良いらしいな」

「石戸君?仲が良いっていうか…まあ来年から同じ中学に通うわけだし、先輩として色々教えてあげないと…ね?/////」

「許しません!永水が共学になったからってお父さんは不純異性交遊は許しませんよ!」

「さっきの話の後によくそんなことが言えるわよね。お父様が想像してることなんてないわよ。」

「本当だろうな…」

「それよりお父様、気を付けたほうがいいわよ」

「?」

「昨日、私とお母様でご飯作ってたでしょ?」

「ああ…アテの魚の皮の湯引き、随分上手くなったな」

「お母様がアレ好きだから。それでその時に話が出たんだけど、石戸君の家に3人目のこどもができるんだって」

「え?そうなのか?」

「うん。まだ弟か妹かは分かんないみたいだけど」

「ふーん」(なんで巴さん、俺には教えてくれなかったんだろ)

「で、その時にお母様に聞かれたの」

「何を?」

「『○○もきょうだいが欲しくない?』って。しかもすっごい笑顔で」

「……は?はぁ!?」

「あ、ちなみに私は『お父様がいいならいいよ』って答えといたから」

「ちょっ!お前なんて…!なんてことを!」

「あの時のお母様の顔、(色んな意味で)凄かったなぁ」

(マズい…マズいぞ。数年前…こいつが一人で一週間うちの実家に里帰りしてたとき、『○○にもきょうだいがいた方がいいと思うんだけど…ね?』
っていう誘いにうっかり首を縦に振ってしまったときのあの搾られ地獄!!何とかして回避せねば命が危ない(もう若くはない的な意味で)!!)

「あ~…我が娘よ」

「何かしらお父様?」

「俺は明日から一週間ほど釣り…基い、精神修行の旅に行ってくるから、その間神社のことはお前とお母様で…」

「ね、お父様」

「ん?」

「後ろ後ろ」ユビサシ

「後ろ?」クルッ




「ふふふふふふふ…」ニッコリ





「…ああ。お帰りなさい巴さん」

「○○ちゃん。今から一週間ほど石戸家に修行に行ってきなさい。先方とは話をつけてあります。
 霞さんは身重ですから色々とお手伝いすること。それと…彼にもよろしくね」

「はい!」

「今から!?っていうか彼!?ちょっ、どういうこと…」

「はいはいアナタは私と寝室ですよ」ズルズル

「いやっ…ちょっ、お願い○○!助けて!このままじゃお父様はミイラにされちゃう!」

「入定できていいんじゃない?」

「宗教がちが」ピシャ

「さて、荷物まとめよっと」



カン!