◎清澄高校麻雀部:部室
京太郎「遅くなりまし…っと対局中か」
和捨牌:南2s5p9s1m3m中6s(リーチ宣言牌)5m
京太郎(場は平たい全員がアガりトップのオーラス。北家時は基本、親への牌の降ろしを絞る和のリーチか…
親のマホちゃんがまだシャンテンとの判断?どれ…)
マホ捨牌:1s2m北発8p8s9m1m1東中
マホ手牌:88m233345p34678s
京太郎(お?ドラの8mを雀頭に意外と良形のシャンテン。14pが埋まれば…)
和【打3p】
マホ「…!」
京太郎(和からラス牌の3pが出たか…さあどうするマホちゃん?)
マホ「それ!チーです!」
マホ手牌:88m333p34678s 234p≪副露≫ 【打5p】 【25s待ちテンパイ】
京太郎(…チーテンゴッパの現物5p打ち)
~次巡~
マホ(早く引かなきゃ和先輩にツモられちゃいます…コレじゃないです!)タン!
マホ【打6p】
和「ロン」
マホ「ええっ!?」
和手牌:567789m1178p567s ロン【6p】 裏ドラ【1p】
和「8000です」
マホ「うう…やっとコピーなしでも和先輩に勝てると思ったのに…」
ムロ「ラスに転落。でも惜しかったね」
まこ「チョンボも無かったしの。充分検討した方じゃ。」
和「中学生の頃と比べると格段に打ち筋は向上してます。このまま頑張りましょう」
マホ「うううう…ハイ…」グスッ
京太郎「最後の勝負どころで手順ミスをしてしまったみたいだね」
マホ「えっ?あっ!!須賀先輩!!来てたんですか!?」
京太郎「ああ。最後だけだけど後ろから見てたよ。ほら涙拭いて」ナデナデ
マホ「ふわっ…マホの打ち方、どこかおかしかったですか?」
京太郎「ああ。一巡前に…」カチャカチャ
88m233345p34678s
京太郎「この手牌でリーチをかけてる上家の和から3pが降りて、マホちゃんはカン3pで鳴いてチーテンを入れた」
88m333p34678s 234p≪副露≫ 【打5p】 【25s待ちテンパイ】
マホ「はい。な、鳴いたらダメでしたか?」
京太郎「そうだね…ムロちゃんならどうする?」
ムロ「わ、私ですか?そうですね…」カチャカチャ
88m234p34678s 333p≪副露≫ 【打5p】 【25s待ちテンパイ】
ムロ「ほとんどマホと変わりませんけど…私ならこうしてた可能性が高いです」
京太郎「なるほど。確かに和のリーチを警戒して現物の5pを打ちたくなる気持ちも分かるけど…」
マホ「けど?」
京太郎「河に注目して現物を見れるようになったらその次の段階だよ。昨日、場の捨牌から相手の待ちを読む方法を
ちょっとだけだけど教えたよね?」
マホ「え、えっと確か…そうです!“床”!!」
まこ「床ておんし」
和「それを言うなら“壁”です…」ハァ
京太郎「ハハハ…」
ムロ「確か、『人間の目は前にしか付いてない。だから身を守るときは“壁”を背にすることが基本』…でしたよね?」
京太郎「その通り。ムロちゃんはちゃんと覚えてたね」ナデナデ
ムロ「わわっ///」
マホ「むうっ…」ムスッ
京太郎「さてマホちゃん。この時点のマホちゃんから見て2pと3pはそれぞれ何枚見えてるかな?」
ムロ捨牌:1m北東3s1p2p西北8p南
まこ捨牌:9p南白2p8s2m北4m2s1m
マホ「えっ!?えっと…2pが3枚で、3pが4枚見えてます!」アセアセ
京太郎「正解。つまり2pは“ワンチャンス”、3pは“完全壁”と言われる状態だね。するとどうなると思う?」
ムロ「どうなる…ですか?えっと…」
マホ「う~…分からないです…」
京太郎「じゃあ大ヒントだ。麻雀の待ちを全言ってみて?」
マホ「はい!リャンメン・カンチャン・ペンチャン・シャンポン・単騎です!」
京太郎「そうだね。じゃあそれを踏まえた上で…」カチャカチャ
34p【25pのリャンメン待ち】
13p【2pのカンチャン待ち】
2266p【2pと6pのシャンポン待ち】
2p【2p単騎】
京太郎「ペンチャンは今は関係無いから除外するとして…さっき確認した
『自分から見て2pは“ワンチャンス”、3pは“完全壁”』の状態で、他家にあり得る待ちはどれかな?」
ムロ「えっと、3pが無いのでリャンメン待ちとカンチャン待ちはないですね」
マホ「ああっ!!2pも手牌にあっても1枚だけだですから、2pと何かのシャンポン待ちも無理です!」
京太郎「その通り。つまりこの場況で2pで当たるとすれば単騎待ちしかないんだ。さあここで偉大なる和先輩には
怒られるかもしれないけど…ちょっと“人読み”をしてみようか」
ムロ「人読み」
マホ「ですか?」
京太郎「そう。なあ和?」
和「なんでしょう?」
京太郎「アガりトップの状況だけど、和ならこの状況で2p単騎のリーチを掛けるかい?」
和「ありえません。仮に単騎リーチを掛けるとしてももう少し狙い頃の牌が来るまで待ちます」
京太郎「だ、そうだ」
ムロ「つまりリーチを掛けてるのが和先輩である以上、ここで2pを打っても当たることはほぼ無いってことですね」
京太郎「その通り!」
まこ「まあ相手が久なら話は別じゃがの」
京太郎「でしょうね」トオイメ
ヒッサ「クシュン!…誰か噂でもしてるのかしらね」ズビビ
京太郎「2pは和にはほぼ安全牌。じゃあ逆に危険な牌はなんだろう?」
ムロ「今度は危険牌ですね」
京太郎「ちなみにヒントは、“早い巡目”と“遅い巡目”だよ」
マホ「あ!一昨日に須賀先輩が言ったことです!確か…“メコ○ジ”と“マンス○です”」
京太郎「ブハッ!ちょ、ちょっとマコちゃん!」ゲホゴホ
和「須賀君!!!アナタは後輩の女の子に何て言葉を教えてるんですか!!!////////」カアアアアアアア
京太郎「違うって!!ああもう!それを言うなら“裏スジ”と“跨ぎスジ”だよ!」
まこ(やはり和はムッツリじゃったか)
ムロ&マホ「?」キョトン
まこ「おんしらは純粋なままでおりんさい」
京太郎「ゴホン…き、気を取り直して2人とも?さっき現物の5pに着目してたけど、何か違和感がないかな?」
ムロ「違和感ですか…」
マホ「あ!言われてみれば、まだ端牌の整理も終わってない3巡目に5pがでるのは早いぎる気がします!」
京太郎「そう!よく分かったね。例えば…」カチャカチャ
1369m3449p113s東白【ツモ5s】
京太郎「東場の早い巡目でこの手牌だと仮定すると…重なりを期待して字牌2枚は後回しとして、
この場合打牌候補は9mか9pのどっちかだけど、上メンツのフォローが効くのと二度引きを嫌うから、場がフラットなら普通は…」
ムロ「すみません…ちょっと付いていけません」
マホ「マホもです…ゴメンなさい」
京太郎「ああ!こっちこそゴメンね!そんなに難しく考えなくていいよ」カチャカチャ
①136m3449p1135s東白【ツモ7m】
②1369m344p1135東白【ツモ8p】
京太郎「もし①みたいに9mを先に処理しても、6mが手の内にあるから後で7mを引いてきても58mのリャンメンに受けられるでしょ?
でも②みたいに9pを払っちゃうと、7pや8pがを引いてきてもツモ切るしかないから一巡無駄になる。しかももしこれらがドラなら…」
ムロ「ちょっと痛すぎますね…」
マホ「マホなら9pより先に9mを打つと思います!」
京太郎「そう!まさしくそれが、一昨日教えた『早い巡目に切られた牌の内側にある牌の筋(=裏スジ)は危険』ってことなんだね」
ムロ「ということはこの場合5pに着目すると、その裏スジは…」
マホ「14pです!」
京太郎「だけかな?」
マホ「?あ!69pもです!また忘れてました…」
京太郎「ど真ん中の5は裏スジが二種類あるから気を付けようね。とは言っても、14pは自分が一番欲しい牌だから
引いても出ないし、他に早切りされたとこで言うと、2sの裏スジ36sはリーチ宣言牌の6sが否定、
9sの裏スジも8sはワンチャンスで5sは自分の有効牌」
ムロ「つまり一番警戒するべきは69pですね」
京太郎「でも親だし、9pは押すしかない。となると、6pをいかにして止めるかがキーになるから…」カチャカチャ
88m345p34678s 333p≪副露≫ 【打2p】 【25m待ちテンパイ】
京太郎「俺なら和の3pでポンテンを入れるとこまではムロちゃんと同じだけど、現物じゃないにせよほぼ安牌の
2p打ってのこの形かな。こうしておくと次順でツモった6pを3pと振り替えて…」
88m456p34678s 333p≪副露≫ 【ツモ6p:打3p】 【25m待ちテンパイ】
京太郎「この形へ変化。あとは和の現物2sかその筋の5sが降り打ちされるのを狙ってダマに構えておけば…」スッ
ムロ次巡ツモ【2s】
ムロ「あっ!」
京太郎「ムロちゃんも止まらなかったんじゃないかな?」
マホ「うううう…ちゃんと須賀先輩の教えてくれたことを覚えていれば勝ててたかもしれなかったんですね…」
京太郎「ちなみに、和はこれを一巡回るまでに全部考えつくしてるよ」
マホ「ゴメンなさい須賀先輩…マホはまだまだダメダメです…」グスッ
京太郎「俺だって和から色々教わってここまできたんだ。マホちゃんも焦る必要はないんだよ」ナデナデ
マホ「ふうっ…須賀先輩…」
京太郎「今度の新人戦、いいとこ見せてくれよな。応援してるよ。勿論、ムロちゃんもね」
ムロ&マホ「はい!」
和「…」
カン!
最終更新:2018年05月02日 21:00