憧「~~♪♪♪」
穏乃「昨日の今日でよくご機嫌でいられるなー、憧は」
宥「今日はいつもよりあったかいから」
灼「そう?」

いつものように会話をしている面子だが、全員が明らかに浮足立っている。その理由は

憧「何しろ今日から恋人だもの」
穏乃「え? 京太郎は昨日私に返事くれたよ」
灼「……選ばれたのは私」
宥「なんだか空気が、熱い?」

バチバチと火花が迸る仲、連れ立った一組の男女が姿を現す。

京太郎「おー、みんな今日も元気だな、おはよー」

穏乃「ねえ京太郎、昨日私に好きって言ってくれたよね?」
京太郎「おう」

灼「私、選んでくれたんじゃ」
京太郎「ん? ああだから今日から恋人だろ」

憧「あんた、昨日私の初めてあげたの忘れてるわけ!?」
京太郎「忘れられるわけないだろ、あんなこと」

宥「な、なんだか寒気が……」
京太郎「大丈夫ですか? 抱きしめましょうか?」

一体何がどうなっているのか、理解できない女性陣に満面の笑顔で玄が興奮気味に話しかける。

玄「みんな聞いて! 私たち全員京太郎くんの恋人になれるんだよ! 誰も傷つかない、さすがは京太郎くんだよねっ」

その目はキラキラとしており、一切の曇りもなかった。本機で嬉しがっていた。

玄「えへへ、みんなと疎遠になっちゃうのかなって心配事も全部解決だよっ」(ふんす

だが、全員がそれに納得できるかと言えばそうでもなく

穏乃「それって、五股……」
灼「大暴投すぎる」
憧「アンタちょっと顔を貸しなさい。大丈夫死にはしないから」

ぐいぐいと人目のつかないところに連れていかれる男子。

玄「あれ? みんなどうしちゃったんだろ? 嬉しくないのかな」
宥「うーん、それを嬉しいと思うのはたぶん私と玄ちゃんだけかなって」

結局のところ京太郎は顔にあざを作ったものの、最終的には全員から許された。
これはひとえに阿知賀に恋愛対象となれる年頃の男子が他にいないという奇縁のおかげであっただろう。
田舎の過疎化、少子化はすでに深刻だった。それを解消するにはこの形しかなかったのである。

玄「えへへ、最高の誕生日プレゼントだよねっ」

中でも一等お気楽な少女は終始笑顔であった。


カン

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最終更新:2018年05月02日 20:59