今日は私の誕生日で3月15日、つまりホワイトデーの次の日。
クリスマスに誕生日が被った子たちと同じように一緒くたに祝われるのが普通。

でもいつもはそんなの気にしない。皆に『誕生日おめでとう』って言ってもらえるだけで幸せ。

玄「だったん、だけどね……」

去年まではそれで満足していた。だってずっと弟みたいって思ってたから。
『玄ねえ玄ねえ』って後ろをついてきてくれるだけで楽しかった。

今年、皆の気持ちに気付いてしまうまでは。
私だけ、なーんにも考えてなかったのに。

玄「みんな、京太郎くんのこと男の子として見てたんだ」

そう私以外、彼に恋してた。そしてその恋心のまま彼にアタックを繰り返していた。
私はそれを見てたのに『みんな仲良しで楽しいな』なんてのんきなことを考えてた。
私だけ、何もしてなかった。

玄「だから当然、だけどね」

ジワリと涙がこぼれそうになる。
今頃になって、自分も京太郎くんのことが好きなんだって、弟としてだけじゃなかったって知っちゃった。
憧ちゃんがわざわざ宣戦布告しなければ、きっと気付きさえしなかった。

『ホワイトデーに返事が欲しい』って憧ちゃんの言葉は、全員の気持ちの代弁だったのだ。

そしてもう、日付は変わった。
つまり、そういうこと。
私は、選ばれなかった。

ポロポロと涙がこぼれる。何もしてなかった私にそんな資格あるはずないのに。

そんな時、コンコンってドアがノックされる。きっとお姉ちゃん。泣いてる私を慰めてくれる大好きな姉。
お姉ちゃんも泣いてるのか、それとも選ばれたのか。そんなことを考えていたらドアが開く。
そして私は、自分の目が信じられなかった。自分の耳がおかしくなったと思った。だってそこにいたのは

京太郎「ごめんなさい玄さんっ。みんなのところ回ってたら思ったより時間かかって。俺は玄ねえが、いや玄さんが――」

今日は3月15日。今までの私の人生の中で一番嬉しかった誕生日。今年もホワイトデーと一緒くた。


カン

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2018年05月02日 20:59