京太郎「んー……こんな感じですかね」
美穂子「手伝ってもらってごめんね、須賀くん。本当は私一人で間に合わせるつもりだったのに……」
京太郎「これぐらい別にいいですって。福路先輩一人じゃ流石に手が回らないでしょう」
京太郎「それにしても、風越の部員全員分用意するなんて、思い切りましたね」
美穂子「この一年あの子には良くしてもらったから。団体では全国に連れて行ってあげられなかった不甲斐ないキャプテンだったけど、何か感謝の気持ちを伝えられたらな……って」
京太郎「そんな!福路先輩には皆感謝してますよ!部のことを率先してやってくれて、寧ろもう少し俺たちを頼ってくれたって構わなかったのに」
美穂子「後輩の子たちには少しでも多く練習してもらいたかったから。きっと来年はあの子たちが風越を引っ張って行ってくれるわ」
美穂子「それに、須賀くんもね」
京太郎「……いや、俺には無理っすよ。精々がこうやって試合の関係ないところで皆を支えるくらいです」
美穂子「ううん。須賀くんも大切な部員だもの。華菜たちだってあなたのことは大事に思っているわ」
美穂子「……少し、妬けちゃうくらい」
京太郎「え?」
美穂子「ううん、何でもないの。それでね。団体に出られるほど男子が揃うかは分からないけど、須賀くんが全国まで行けるように私もサポートしていくから」
京太郎「福路先輩は色々抱え込みすぎですよ。俺のことなんかどうでも……」
美穂子「『なんか』なんて言わないで。私の好きでやってることだもの」
京太郎「……ありがとうございます」
美穂子「ふふ……どういたしまして」
美穂子「ねえ、須賀くん。今日は手伝いに来てもらったわけだけど、本当はそれだけじゃないの」
京太郎「はい?」
美穂子「勿論、風越の皆にはこれをちゃんと配るけど……須賀くんには特別なのをあげたくて」
美穂子「皆のいるところでは恥ずかしいから。だから、二人っきりの時間が欲しかったの」
京太郎「っ、それって……」
美穂子「良かったら、その……受け取ってくれるかしら」
美穂子「私の、気持ち」
『好き』の詰まった、ハート型のチョコレート。
カン
最終更新:2018年05月02日 20:41