• 阿知賀バレンタイン、松実玄の場合

玄「京太郎くん、手作りチョコなのです」

京太郎「て、手作り!? ありがとうございます、俺なんかのためにわざわざ」

玄「ううん、気にしなくていいんだよ。だって愛がたっぷり入ってるから」

その言葉に胸の鼓動が大きくなり、手渡された箱を開けると、そこに入っていたのは……

京太郎「玄さん、これは?」

玄「阿知賀の皆のおもちを20分の1サイズで正確に再現したんだ。えっへん」

京太郎「威張るとこじゃないですよ。こんなの持ってるの誰かに見られたら殺されますって」

玄「え、そんなに?」

京太郎「当たり前じゃないですか。男におもち情報が漏れたら普通は切れます」

玄「そ、そっかあ。じゃあ皆のは処分するよ。でも、頑張ったからせめて私のおもちのだけでも食べてくれる?」

京太郎「あの、それ俺に形とか教えるのと同義なんですけど」

玄「おもち未満だから食べたくない、かな?」

京太郎「あわわ、分かりました、食べます」

涙目に見上げられて、正直堪能する余裕もなくモグモグと咀嚼する。

玄「私のおもち、おいしかった?」

京太郎「え、ええ。一つじゃ足りないぐらいですよ」

あせあせと返答をする男にそっと彼女は身を寄せて、

玄「わ、私一人のだけじゃ物足りないよね。だったら、その、お詫びに今日は私のおもちを好きにしていいですのだ」

そのぶっ飛んだ提案を実行に移したかを知るのは、一組の男女だけである。


カン

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最終更新:2018年05月02日 20:41