『秘密のバイト始めませんか?』
そんなあからさまに怪しい文言に須賀京太郎が応募したのは、ある事情からであった。

簡単に一言でいうと『IHでの滞在費は自腹』。そう、高校生にはきつい出費だ。
全国行きに直接関係してない人間に部費を割くほど、学校側は甘くはなかったのである。

故に他言無用の守秘義務が強いられようと、辛い仕事でも耐えて見せる、そんな男の覚悟があった

しかし実際のバイトの現場の状況はというと

はやり「はいダーリン、あ~ん☆」

現役アイドルとの共同生活、しかも彼氏役。
他言できないのは当然である。即スキャンダル事案だ。
しかも合間に麻雀を教えてもらえたりもする。それで時給3000円、賄い付き。

家の中に半ば軟禁されていたが、それ以上のものが与えられていた。
その待遇の破格さと甘やかす瑞原はやりの手腕に、一高校生が陥落しかけても無理はない。

その陥落の瞬間こそが雇用主の目論見とも知らず、蜘蛛の糸に絡めとられるように彼は深みに入っていく。

そして清澄は、麻雀部員であり雑用係兼タコス料理人を失った。


『瑞原はやりの歪んだ婚活』、カン

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2018年05月02日 20:39