久「ねえ須賀くん、姫はじめしない?」

元日も過ぎ、人込みを避けるために日をずらした参拝の途中で一人の少女が悪戯っぽく発言した

まこ「人のいるところでなんちゅうことを」

咲「え? え? え?」

優希「ヒメハジメってなんだ?」

その場に勢ぞろいしていた清澄高校麻雀部のうち、染谷まこは頭を抱え、宮永咲は顔を真っ赤にして久と京太郎の顔を交互に見、優希はきょとんと首をかしげる

京太郎「……は? は?」

そして唯一の男子部員である須賀京太郎は間抜けに口を開けて意味のある言葉を出せなかった

久「知らないの? 姫はじめっていうのは、」
和「姫飯はじめともいって祭りの際に食べていたおこわから、年を新たにして最初に柔らかいご飯を食べること、ですよね」

指をピンと立てて楽しそうにしゃべりだす先輩の言葉を遮り、さらさらと解説する電子界の天使こと『のどっち』、もとい原村和

久「私が言おうと思ったのに……。で、皆は何だと思ったのかしら?」

少し不満そうに口をとがらせるも、弄りを再開する元部長にして現三年生、竹井久。

優希「二人とも物知りだじぇ」

咲「ええっと、うん、私は知ってたよ?」

まこ「わざと勘違いさせるように言ったじゃろ」

素直に感心する優希、あからさまに焦っている咲、苦言を呈するまこ。

久「さあ、どうかしらね?」

ふふんと微笑とともに京太郎の傍を通りすぎ、他には聞こえない小さな声で

久「そういう意味でしたかったら、声かけてね」

囁かれた更なる爆弾に顔を朱に染めてすごい勢いで振り返る京太郎に、小悪魔は指を口に1本添えて朝日に照らされた笑顔で返すのだった


カン

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最終更新:2018年05月02日 16:46