京太郎「ハオって、旧正月派?」

ハオ「香港で過ごしていた頃は、そうですね」

京太郎「元旦ってなにしてたんだ?」


ハオ「お祝いはしますけど、日本ほどでは。本当にささやかなものです」


ハオ「通常の祝日と変わりありません。基本的に、日本で言うところの寝正月でしたよ」

京太郎「へぇ、そうなんだ」

ハオ「ですが今年……ではなく、来年は日式で迎える予定です。郷に入れば郷に従え、と言いますし」

京太郎「そりゃよかった。俺も、新年はハオと一緒にお祝いしたかったからさ」

ハオ「ふふ、そう言ってもらえると嬉しいです」


ハオ「ところで、日本の正月には色んな風習がありますね。例えば、門松なんて面白いです」

京太郎「あれ見ると正月って感じがするなぁ」

ハオ「あれってただの飾りではないですよね? なにか意味があるんですか?」

京太郎「たしか、家に神様を呼ぶための目印みたいなものらしいぞ」

ハオ「なるほど。ちなみに、中国では春節に蜜柑の鉢を玄関に置いておくんですよ」

京太郎「へえ! それが中国風の門松なんだ」

ハオ「縁起物なんですよ、蜜柑」

京太郎「おっ、あそこにも門松があるぞ」

ハオ「本当ですね」

京太郎「……ん? その上に飾ってある植物はなんだ? 見慣れないな」

明華「うふふふ……アレは、Gui。日本語でヤドリギです」ニュッ


京太郎「おや、風神様」

ハオ「明華が飾り付けたのですか?」

明華「はい。フランスではヤドリギを飾るんですよ」

京太郎「やっぱり縁起物ですか?」

明華「そうですね。冬でも葉をつけているので、繁栄や長寿の象徴になってるんです」


ハオ「中国でも竹や松など、生命力の強いものは縁起が良い。どこも同じなのですね」

明華「それとひとつ、面白い伝承がありまして……ヤドリギの下に立ってもらえますか?」

京太郎「わかりました……えっと、ここでいいですか?」

明華「はい」ズイ

京太郎「それで、伝承って……あの、ちょっと近いんですけど……明華さん?」

明華「はい」ズイイ

ハオ「明華……明華?」


京太郎「あの、顔がちか――」

明華「――チュッ」

ハオ「ミョンファァァァーッ!?」


明華「えへへへ……ヤドリギの下でキスすると、その一年は幸せになれるんですよー?」

京太郎「ふ、ふーん。そ、そうなんですか。へぇー」

ハオ「…………」

明華「それでは、来年もどうぞよろしくお願いいたします。Au voir!」

京太郎「行ってしまった……」

ハオ「おっと、そこから動かないでください」ガシッ

京太郎「ハオ!?」


ハオ「縁起物と聞いては黙っていられませんから。ええ、まったく他意はありませんので」

京太郎「ちょ、ちょっと待てって! なに、怒ってるの?」

ハオ「怒るとは? いいから頭、すこし下げてください」ググッ

京太郎「いててて、耳ひっぱるなって……!」


ハオ「ふぅーっ」

京太郎「あふん」ゾクゾク


ハオ「やっと大人しくなりましたね」

京太郎「ふ、不意打ちとは卑怯な……」

ハオ「ああ、そういえばもう一つ、正月の風習について教えてほしいんですけど」

京太郎「なんだよわかったよ……なんでも言えよ」

ハオ「そうですか? ありがとうございます。では……」


ハオ「なんでも……姫初め、と言うのがあるらしいのです」

京太郎「って、それは……んむっ! んんーー!!」



カン

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最終更新:2018年05月02日 16:46