それは咲が入部した日、一組の男女がこっそりと会っていた。

久「これでよかったの? 須賀くん」

京太郎「ええ、あいつらは不器用で口下手ですからね。結果的には和がゴールを入れたんで俺が威張るとこじゃないですが」

久「まあね。和があんなに熱くなるなんてちょっと意外よね」

京太郎「よく言いますよ。あんな煽っといて」

久「でも須賀くん、こうなったからにはあなたに目をかけてあげられないわよ?」

京太郎「ま、夏までは独学とちょちょっと教わりながらで何とかしますよ」

久「あなた初心者じゃない。本当に好きなのね、あの子のこと」

京太郎「放っておけないだけですよ。あのポンコツ姉妹」

久「ありがとうね。あなたのおかげで全国への道が見えたわ」

京太郎「感謝は優勝してからにしてください」

久「ええ、終わったらたくさんお礼してあげるわ」

京太郎「じゃ、期待しておきます。これからもよろしくお願いしますね」

久「はいはい、あなたも頑張ってね。目立たない立役者さん」

こうして交わされた密約を知る者はこの二人の他はいない。

余談ではあるが、優勝インタビューで竹井久のやらかした感謝の内容がアレすぎて一種の阿鼻叫喚にその場がなったそうな。


カン