東京に着いた初日、俺は部長に呼び出され一つの命令を受けていた。

久「須賀くん、偵察してきてちょうだい」

京太郎「それはいいですけど、俺は牌譜とる以上のことできませんよ」

久「大丈夫、貴方にしかできない方法を教えてあげるわ」

京太郎「何か秘策が?」

久「まず『あなたの打ってる姿を見て好きになりました。迷惑かもしれないけど』って口説いて、『貴女のことが知りたいし俺のことも知って欲しい』ってデートに誘うの。
  その後はムードのあるこの本の場所に行って『思い出が欲しい』とか言いながら一夜を過ごして、ベッドテクでメロメロにしなさい」

京太郎「部長、あんた……」

久「で、夜は何度も『あいしてる、〇〇が好き』って囁いて、『偵察に行って来いって言われたけど君に本気になった』とか言っとくの。
  最後に『結果が出せなきゃ地元に帰されるけど仕方ないよな、君のことは売れない。せめて、何か成果でもあれば別なんだろうけど』と下を向いて悔しそうに告げなさい」

京太郎「その手口は結婚詐欺師じゃないですか!」

久「相手をちゃんとメロメロにできてるなら情報がゲットできるわ。あとは似たようなことを繰り返したり『君の全部が知りたい』とか言って搾れるだけ搾ってきてね」

居太郎「いやいやいや、冗談ですよね?」

久「勿論多角関係になるから『仕事で他の人のところにも偵察に行くけど、お前しか愛してない』って飴と『同じ学校の〇〇さんに聞くしかないよな、ダメもとで行ってみるしかないよな』って乾いた笑いの鞭を使い分けなさい」

京太郎「……部長、あなたまさか風越や鶴賀相手に実際にやったなんてことないですよね?」

久「さあ行ってきなさい須賀くん! 相手は女子校で育った免疫のない子ばかりよ! 多少趣味を交えて胸が大きい子を狙ってもいいわ!」

京太郎「こ、この人、人間の屑だ! やりません、俺はやりませんよ!」

久「もしうまくやったら、私も体を差し出してもいいわよ。そうね、たくさん功績を上げたら、和たちも適当に言いくるめてあげるわ」

京太郎「ごくり……いやダメだ、誘惑に負けちゃ。俺はまともに生きるんだ」

久「もう、仕方ないわね。なら事前報酬をあげるわ。こんなこと初めてなんだからね」

はらりと布が落ちた後のことは、残念ながら記載できない。もちろん実際にそんな偵察をしたかどうかもだ。
こんな日記を残してしまうのは、この罪を残すことでいつか裁かれたいからかもしれない。

〇月×日、須賀京太郎の日記より。


カン