淡「そういえばさ、テルーはなんで妹と喧嘩したの?」
菫「おい淡、人の家庭の事情に土足で踏み入ることは……」
照「構わない。咲がどれだけ人間の心が分からないか知っていて欲しい」
きりっと手に持ったお菓子から目を上げ、目線を合わせながら慄くように宮永照は告げる。
照「咲は、私が好きだった人と自分が仲睦まじい様子を語り続けた。悪魔のような人間」
淡「うわーっ、それはひどいね、うんうん。私でも絶交物だよ」
菫「いや、向こうは気付かずに近況報告のつもりなんじゃ?」
照「しかも、しかも、東京まで同伴させてるっ」
世界の終わりだと言わんばかりにお菓子に逃避する様に周囲の聞き耳を立てていた人間たちは興味を失い散会していく。
そして、空気を読まない金髪娘は奔放に言い放った。
淡「んー、でもそれってチャンスじゃない? 今いるんだったら拉致っちゃえば」
照「っっ。その発想はなかった。淡は天才」
淡「でしょー、でしょー? もっと褒めてもいいよ」
菫「いや普通に犯罪行為だからな。白糸台がスキャンダルで敗退とか勘弁してくれ」
淡「そこはほら、さらった後に体を使って溺れさせて、向こうの意思でこっちにいるってことにさせてしまえばよくない?」
照「完璧な作戦っ。今すぐ実行すべき」
菫「男女関係のスキャンダルが追加されるだけだろうが。却下だ却下!」
照「実は菫が結構タイプだって言っていた開会式で大きな声で応援してた彼がそう」
菫「……まあ、少し遊びに誘うだけなら問題はないんじゃないか。その後彼がいたいというなら自由意志だな、うん」
あっさりと陥落した部長の男日照りのひどさに、白糸台の部員はみな自分の将来を垣間見た。
照「では作戦を決行する」
一人のお男子高校生の身柄をめぐる戦いがインターハイの水面下で開始されたりしたのだが、その詳細は別の話。
カン
最終更新:2018年04月30日 20:53