京太郎「もし俺が勝ったらレディースランチ奢ってくれよ」
咲「じゃあ私が勝ったら本屋に付き合ってもらおっかな」
それはほんの他愛のないどうでもいい賭けから始まった。
日常の延長、どちらが勝っても後を引かないじゃれ合い。
だが、延長であるがゆえに拒否感もなく度々繰り返される。
時には相手を変え、日常に定着していく。
そしていつの間にか要求が少しずつ大きくなっていった。
喫茶店、一緒に食事、一日デート、ずっと手を繋ぐ、徹夜でゲーム、そして……
咲「今日は私が勝ったら唇にキスね」
和「では私が勝ったら上半身裸になってハグということで」
久「私はそうね、そこのベッドで一緒に寝るとか」
卓上で女性陣が目を合わせるたびに飛ぶ火花。
京太郎「みんな、なんか怖いよ?」
きっかけを作ってしまった男の困惑をよそに、事態は時を追うごとに加速していく。
競争心に煽られた少女たちはどこまでも過熱し、ついには
京太郎「……どうしてこうなった」
ベッドでシーツのみに抱かれる男女が発生するのも、ある意味では必然だったのかもしれない。
そこで勝負がつけばまだましだったのだが、認められない少女がゲーム続行を告げてしまった。
彼の身は今日も卓上で取引される。そんな非日常が日常に置き換わっていた。
カン
最終更新:2018年04月30日 19:53