• 須賀京太郎の偵察(白糸台編)

京太郎「すみません、私清澄高校の須賀と申すものですが、お話を聞かせて頂ければと思って」

菫「清澄? Aブロックの高校じゃないか。悪いが話すことは何もない、帰っ」

扉越しの返事にガタガタと何かをひっくり返す音が響き、次いで扉が勢いよく開け放たれる

照「京ちゃん、久しぶり。私に会いに来たの?」

某幼馴染の姉(ただし本人は認めない)が、ひょっこりと顔を出して袖をつまむ。こういうところ、すごく姉妹なんだがなあ。

菫「おい照、そいつは対戦校の人間だぞ。何を勝手に」

京太郎「あ、こちらお土産の長野プリン専門店『春夏秋冬』の詰め合わせになってます」
照「『春夏秋冬』……ごくり。ああ、懐かしい」
淡「貢物とかやるじゃん! ねー菫、話くらいいんじゃないの? 私も食べたい」

菫「ふ、ふむ。ま、まあプリンは長持ちしないからな。腐らす前に食べた方がいいかもしれないな」
尭深「あ、じゃあお茶入れますね」

誠子「ふーん見た目は全然プリンっぽくないね。いただきます……うまっ!」
照「ああ……半熟カステラにほろ苦いカラメル、そして中のプリンの卵とミルクの味が濃厚な最高プリン……長野の名産」
淡「しかもおっきい! 5号ケーキくらいあるじゃん! これ取り寄せできるの? テルー」
菫「くっ、シフォンケーキのような口当たりで噛むと中から濃厚カスタードのような旨味、そしてほろ苦さが後を引く……」
尭深「うん、紅茶が合うのは当たり前だけど緑茶やほうじ茶で後味すっきりさせるのも悪くないかも」

京太郎「気に入っていただいてよかったです。照さんは長いこと長野に帰ってないからやっぱりこれかなって」
照「京ちゃんっ。やっぱり私のことを一番わかってくれるのは京ちゃんだよ」

京太郎「あはは、光栄です。でも白糸台の皆さんってすごく強いですよね。俺なんか素人同然だから見てても点数の推移ぐらいしか分かんないんですが」

菫「うちは照が不動のエースだからな。あいつの稼ぎっぷりは見てて分かりやすいだろう」
照「えっへん」
淡「私はまだ本気出してないだけだもん! 本気ならもっと強いから覚えておくこと!」

誠子「というか清澄は君の指導はしてないの?」
京太郎「あー、うちは女子が定員ぎりぎりだし顧問も麻雀分かってないので、時間割いて教わる相手が……」
尭深「それは、寂しいね」
照「うん、京ちゃんは伸びしろはある。なのに育てないのは怠慢」

淡「え、そーなの?」

菫「ふむ、照がそこまで太鼓判を押すとはな。よかったら君、うちの部員と何回か打ってみないか? 多少は参考になるだろう」

京太郎「いいんですか!? うわー、白糸台の方々は気前がいい上に美人で、しかも気が利くなんて……尊敬しちゃいます!」

淡「ふっふーん! まあ私が美少女なのは疑う余地もないからね! この淡ちゃんが教えてあげよー!」


都合半日、白糸台の面々は親切にもいろいろと教えてくれた。俺はお暇してからメモ帳を取り出し、

京太郎「よし、なかなか偵察の収穫あったぞ。ところでもらったこの電話番号やアドレス、どうしよう? まあ今後何かの役に立ちそうだし持っておくか」

こんな偵察をいくつもの高校で繰り返したため、他校の女子からロックオンされるなどと言う弊害に気付いてなかった。

カン

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最終更新:2018年04月30日 19:50