全国出場してついでに何故か俺も連れてこられた。

そして今、俺は道に迷ってます。

しかも今、目の前に『校庭に迷って入ってきた犬』を見つけた子供のような表情をしたお姉さんがこっちを見ています。


豊音「子供だよー……」

豊音「カワイイ男の子だよー……」


むちゃくちゃ怖いんですけど、この人……

その人が一歩を出してきたので俺は二歩下がる。

5歳くらいの197の身長差はコンパスの開き具合にも現れる。

じりじりと美人のお姉さんが近づいてきて恐怖心を煽ってくるんですけど!?

そして堰を切ったかのようにお姉さん突っ込んできた!


豊音「お姉さんの子供になろうよー!!」


何言ってるんだこの人!?

そんな事思いながら逃げようと思ったが足が竦んで動けない。

ああ、終わった、多分俺は連れ去られるんだろうな。

そして次の瞬間推定197cmの巨体が110cm台の俺に飛び込んできた。


京太郎「らめえぇぇ!!そんなに大きいの突っ込んできたら壊れちゃうのぉぉぉ!?」

豊音「ゲットー!」


こうしてこのあと捕まった宇宙人のごとく連れられてった俺を、清澄メンバーが救ってくれるのはまた別の話。

----

【咲「京ちゃん、私の子供を産んで!」京太郎「」】

京太郎「あれ、俺の耳がおかしくなったかな……」

京太郎「今、咲が俺に子供を産んでほしいって言われた気がするんだけど。」

咲「うん、そうだよ!」

和「あの、咲さん、子供が欲しいなら私が産んでも……」

咲「ガチな淫乱ピンクレズさんはNGの方向で。」

まこ「大変じゃあ!優希と和が息をしとらん!」

咲「私、実はNL派でお父さんとお母さんみたいに男女で家庭を育みたいの!」

咲「だから京ちゃん、私の子供を産んで!」

京太郎「うん、おかしいよね、色々突っ込みどころがあるよね。」

咲「あ、京ちゃん。」

京太郎「あー、咲もおかしい事に気が付いたか。」

咲「ツッコむのは私の方だよ!主に下半身的な意味で!」

京太郎「女の子がそんな下品な事言っちゃいけません!」

京太郎「そもそもどうやって男の俺が子供産むんだよ!?」

咲「ねぇ京ちゃん、iPS細胞って知ってる?」

京太郎「ああ、確か同姓間とかでも子供が出来るってやつ……まさか!?」

咲「アーノルド・シュワルツェネッガーの「ジュニア」の方法でも良いし。」

咲「男と女が協力して出産に取り組むって良いことだよね。」

京太郎「いいか咲、男女で子供を作るんだったら普通女の方が産むものなんじゃないかな?」

咲「え、だって出産って痛いって聞くし……」

京太郎「それを俺にやらせるつもりだったの!?」

咲「京ちゃんが父親ならいいかなーって。」

京太郎「俺はなんもよくねぇよぉお!?」

久「咲、それはおかしいわ。」

京太郎「部長(元)!何とか言ってやってください!」

久「生物学的には産む方が母親よ、だから須賀君は父親じゃなくて母親よ!」

咲「それは盲点でした!」

京太郎「突っ込むところはそこかい!」

咲「さぁ京ちゃん!私の子供を孕んで!」

京太郎「くそ!こんなところにいられるか!俺は逃げるぞ!」

咲「あ、京ちゃん待って!」






―龍門渕家―


京太郎「ハギえも~ん!」

ハギヨシ「どうなされましたか、京太郎君。」

京太郎「咲が俺のこと孕まそうとするんですよー!」

ハギヨシ「なるほど、よくわかりました。」

京太郎「今の言葉で理解できるんですか、執事ってすげー。」

ハギヨシ「何を隠そう、私も実は既に透華お嬢様の子供を身篭っておりまして。」

京太郎「」

ハギヨシ「妊夫の先輩としてアドバイスなら出来ますよ。」

京太郎「妊夫なんて言葉初めて聞きましたよ!」

ハギヨシ「大丈夫ですよ、男の出産は意外と楽ですから。」

京太郎「ハギヨシさん出産したの!?」

ハギヨシ「既に衣様の子供も産ませていただきましたので。」

ハギヨシ「育児のアドバイスも出来ますよ。」

京太郎「色々とおかしい!」

ハギヨシ「まぁ、京太郎君、少しお茶でも飲んで落ち着いてください。」

京太郎「あ、はい、これはどうも。」ズズズズ

京太郎「あれ、なんか体が……」

ハギヨシ「申し訳ありません、京太郎君。」

ハギヨシ「宮永様から連絡を頂いておりまして、『京ちゃんが行ったら捕まえておいてください』と……」

京太郎「裏切り者ー……」バタンッ







京太郎「はっ!?」

ハギヨシ「お目覚めになりましたか。」

京太郎「も、も、もしかして……」

ハギヨシ「はい、宮永様のお子様をご懐妊されていますよ。」

京太郎「いやー!?」



―数ヵ月後―

京太郎「ふぅ、よっこらしょ。」ドサッ

まこ「あ、こらこら、椅子に座る時はもっとゆっくり座りんしゃい。」

京太郎「おっとと、染谷先輩、すいません。」

まこ「それにしても思ったより腹が出てこんもんじゃのう。」

京太郎「女の人とは腹筋の出来が違いますから、あんまり目立たないんですよ。」

優希「赤ちゃんが窮屈にならないんだじぇ?」

咲「ちゃんとこの間、腹部エコーで見たら順調に育っていたよ。」

和「気持ち悪いですね、早く須賀君は死んでください。」ペッ

和「咲さんの子供を産むのは私一人で十分ですから。」

咲「NL派の私たちに近づかないで原村さん。」

和「苗字呼びに降格しました……」ズーン

京太郎「NLってなんだっけ……」

優希「男女の恋愛の事だじょ。」

京太郎「おかしい、何かがおかしい。」





―更に数ヵ月後―


京太郎「こんちはー、あれ、今日は和だけか?」

和「ええ、他の皆は帰りました。」

京太郎「そうか。」

和「須賀君、もう臨月でそろそろ産まれる頃ですね。」

京太郎「ああ、そうだな、最初は抵抗があったけど、もう気にならなくなったよ。」

和「前は産みたくないって言ってましたものね。」

京太郎「慣れって怖いな、今は子供が生まれるのが楽しみなんだ。」

和「そうですか、須賀君、非常に腹立たしいので腹パンします。」

京太郎「話の脈絡がおかしい!?」

和「前々から思っていましたが咲さんに須賀君は相応しくありません。」

和「咲さんも子供が死産だったら悲しむでしょうが諦めも付くでしょう。」

京太郎「させるかよ!」バッ

和「ふん!」ガッ

京太郎「うっ!?」

和「とっさにお腹は守りましたか、気持ち悪い。」

京太郎「流石に子供を狙われる訳には行かないからな。」

和「必死にお腹を守って、もう父親気取りですか!」ガッガッ

京太郎「悪いが、子供を産む方が母親って言うらしいぜ?」

和「……本当に気持ち悪い!」ガッ

京太郎「ぐわ!?」

京太郎「ちょ!マジでやばいから!?」

和「知りませんよそんなこと!」

京太郎「だ、誰か助けて……」

和「助けを呼んでも誰も来ませんよ!」




「CAFF!!(コークスクリューアナルフィストファック)」

和「んほおおぉぉぉぉお!?」ドリュリュリュリュ

「危なかった、間に合ってよかった、大丈夫京ちゃん?」


京太郎「あ、貴女は……照さん!?」

照「そう、私だ。」

京太郎「助けてくれてありがとうございます、でもなんで照さんが?」

照「親として子供を守るのは当然の事だろう?」

京太郎「親って……」

照「京ちゃんは咲の子供を妊娠したと思っているみたいだが、実は私の子供なんだ。」

京太郎「ええ!?」

照「咲も既に知っていて、私の子供が生まれた後に産んでもらうつもりのようだ。」

京太郎「マジですか……」

照「因みに私も咲と同じ考えで、両親のようなNLの家庭を育みたい。」

京太郎「突っ込むの疲れた、もうどうにでもなれ。」

カンッ!


----

【咲「お姉ちゃんが車の免許取ったんだって。」京太郎「へー」】

咲「それで今日お姉ちゃんが家に帰ってきて私たちをドライブに連れて行ってくれるんだ。」

京太郎「もしかして私"たち"って俺も含まれてるの?」

咲「うん。」

京太郎「なんで俺を入れたんだよ?姉妹二人で行けば良いじゃん?」

咲「お姉ちゃんも友達連れてくるって行ってたし久しぶりに二人きりになったら緊張して上手く話せないかなと思って。」

京太郎「なら、和や優希でもよかったろ?」

咲「都合が合わなかったんだよ。」

京太郎「それなら仕方ないか。」

京太郎「でも、こういうのもなんだが咲のお姉さんだろ?」

京太郎「方向音痴のぽんこつとかじゃないよな……?」

咲「そんなことない……と思うよ?」

京太郎「そこははっきり言えよ……不安になるだろ……」





ピンポーン


咲「あ、お姉ちゃんかも?」

咲「はーい。」

照「ただいま。」

咲「おかえり、お姉ちゃん、こちらの人は?」

菫「照と同じ部活をしている弘世菫です。」

咲「白糸台の部長さんですね。」

菫「もう引退した身だがな。」

照「立ち話もなんだし、中に入ろうか。」

照「お父さんから車借りてくる。」

京太郎「あの、弘世さん?」

菫「ええと君は……」

京太郎「あ、咲の部活仲間の須賀京太郎です。」

菫「弘世菫だよろしく。」

京太郎「それでですね、弘世さん……」

菫「なんだね?」

京太郎「咲のお姉さんの運転の腕前ってどうなんでしょう?」

菫「すまないが、私もまだ知らないんだ。」

京太郎「そうですか。」

照「鍵を持ってきた。」

菫「そうか、じゃあ車に乗るとしようか。」

京太郎「そういえば座る場所はどうします?」

菫「どうする?私は別にどこでもいいが……」

照「どうかした?」

菫「いや、どこに座るかをだな……」

照「そう、なら、私は先にエンジンを掛けておくから。」



カチ

チッチッチッチ……ブオン!

ドゥルルルルゥ……

----


菫「おい、照どうした?」

照「いや、エンストを起こした。」

菫「…………」

菫「君のお家の車はMT車なのか?」

咲「えっと、家の車はオートマです……」

菫「」

京太郎「あ、いけね、俺ペットのカピバラの世話しなくちゃ行けないんだった!」

菫「まぁちょっと待とうじゃないか、須賀君。」ガシッ

菫「君のペットとやらは別に親御さんに任せても良いんじゃないのか?」

京太郎「いや、でもカピバラが寂しがっちゃうといけないんで!」

菫「世話なら帰ってからでも出来るだろう!?」

京太郎「いやー!お家帰るー!まだ若い身空で死にたくないですもん!」

菫「私だってまだ若い!君は私たちを見捨てる気か!」

咲「京ちゃん!私たちを見捨てないで!」

照「なにをしているの?早く乗って。」



咲「誰がどこに乗りますか……?」

菫「そういえば事故時に一番死亡しやすいのは助手席と聞いた覚えが……」

咲「あ、私後ろがいいかな!」

京太郎「じゃあ俺も後ろがいいな!」

菫「ちょっとまて!私に前に乗れというのか!?」

京太郎「助手席に座るという事は咲のお姉さんと話すことになるじゃないですか。」

菫「……そうだな。」

京太郎「という事はお姉さんと仲が良い人の方がいい。」

菫「そうだな、それなら妹さん、君はどうかな?会話も弾んで死ぬほど楽しいぞ!?」

咲「いえ!助手席って事はナビゲーターもやらないといけないと思うんです!」

咲「お姉ちゃん方向音痴だし、そして私も方向音痴なので弘世さんが適任だと思います!」

照「座る位置は決まった?」

京太郎「俺と咲は後で、弘世さんが助手席でナビゲーターです。」

菫「くそ!卑怯者!卑怯者!」

京太郎「泣かないで下さいよ!」

照「全員乗った?」

菫「……ああ。」

咲「これから始まるんだね、男塾名物が……」

京太郎「両親に挨拶しとけばよかったかな……」

照「シートベルトはきちんと閉めといてね。」

京太郎「シートベルトが命綱ってどこかで聞いたな……」

咲「命綱ってこんなに頼りなかったっけ……」

照「じゃあ出発する。」





ギギギギギギ


菫「何だ、この音……」

京太郎「咲のお姉さん!サイドブレーキ引きっぱなしです!」

照「忘れてた。」

菫「ヒイィ!?大丈夫か!?おい!?」

照「ちょっとミスをしただけなのに菫は大げさだな。」

咲「お母さんに会っておきたかったな……」

照「それじゃあ改めて出発。」

ブオン!

グオンッ

菫「ちょっと待て!スピード出しすぎじゃないのか!?」

照「このくらい大丈夫。」

咲「あばばばばばば!」

京太郎「ヒイィ!?咲!?大丈夫か!?」

照「初めてのドライブではしゃいでるね。」

菫「勘弁してくれ!!」


「照!そっちは一方通行だぞ!」

「咲のお姉さん!対向車!対向車が!」

「お姉ちゃんそっち優先標識あるから!?」

――――――
――――
――


照「よし、少し休もう。」

照「咲?菫?」

咲・菫「」

京太郎「生きてるってだけで素晴らしいな……」

菫「ジェットコースターって安全だから楽しいんだな……」

咲「おばあさんを轢かなくてよかった……」

照「須賀君、ちょっといいかな。」

京太郎「はい、なんでしょう、咲のお姉さん。」

照「私の事は照でいい。」

京太郎「はい、分かりました、照さん。」

照「……咲が再び麻雀するようになったのは、楽しめるようになったのは君のおかげなんだろう?」

照「感謝している。」

京太郎「いや、俺はただのきっかけですよ。」

京太郎「和や竹井先輩がいなかったらわかんなかったですし。」

京太郎「それに楽しんで麻雀をするようになったのは咲自身がやったことです。」

京太郎「俺は照さんにお礼を言われるほどのことはやってませんよ。」

照「そうか、でも言っておきたいんだ、ありがとう。」

京太郎「その言葉は照さんと咲が元に戻ってから受け取りますよ。」

照「そうだな……」

照「じゃあ休憩終わったらそこら回って帰ろうか。」

咲・菫「!?」

京太郎「そうか、帰り道があるんだった……」


カンッ


----


ガチャ


淡「あれ、スミレ、その子どうしたの?」

菫「ああ、この子は迷子らしくてな、私が一時的に見ているんだ。」

京太郎「いや、あの違うんです。」

京太郎「俺迷子なんかじゃないんです。」

菫「いや君は迷子だ、だから私の膝の上に座りなさい。」ポンポン

京太郎「意味がわかりません。」

菫「良いから座るんだ。」

京太郎「まさかこの歳で女の人の膝の上におつくべするとは……」

淡「おつくべ?」

照「方言で座るって意味。」

照「君、どこの出身?」

京太郎「長野です。」

照「やっぱり私と同じか。」

照「私も弟が欲しかったなー。」

淡「というかボク何歳よ?」

京太郎「15です。」

淡「5歳?」

京太郎「 1 5 歳です。」

菫「5歳ならちょっと背伸びしたいお年頃だろうな。」

京太郎「うわ、この人、話聞く気ないぞ!?」

菫「あ、そういえば大きいボストンかキャリーバッグが持ってきてなかったかな……」

京太郎(この人やべぇ!?)

淡「ね、テルー、白糸台から犯罪者が出そうだよ?」

照「私に振らないで。」


どうする俺!?どうなる俺!?


----




――東京――

京太郎「うっす」

咲「遅いよ、京ちゃん!」

和「遅刻ですよ。」

京太郎「いやーわりぃ、大学の講義が長引いてさ。」

優希「しかしみんな東京に集まってるとは思ってなかったじょ。」

京太郎「まったくだ。」

京太郎「咲はお姉さんと暮らす為に、和は親の都合で、そして俺と優希は大学のために上京。」

和「すごい偶然ですね。」

京太郎「で、咲は今どうなのよ?」

咲「優希ちゃん、和ちゃんやお姉ちゃんと同じ大学に通いながら打ってるよ。」

優希「と言ってものどちゃんも咲ちゃんも咲ちゃんのお姉さんもプロだからきついじょ。」

咲「あ、そうそう、この間衣ちゃんに打ったよ。」

京太郎「衣さん元気そうだった?」

咲「前よりパワーアップしてプロと暴れていたよ。」

京太郎「そうかー衣さんもプロなんだよなー、今度長野に帰ったときに打つか。」

咲「あ、京ちゃんその時は私も付いていって良い?お父さんや龍門渕さんとも会いたいし。」

京太郎「おお、良いぞー。」

和「咲さんが行くなら私も……」

優希「のどちゃんが行くなら私も行くじぇ!」

京太郎「あいよー、夏休みに迎えに来てもらおうか。」


京太郎「ただいま、母さん。」

透華「おかえりなさい、京太郎君。」


清澄・龍門渕「「「「!?」」」」



透華「ところで京太郎、何故"女の子ばかりと一緒に"帰省したのかしら?」

京太郎「久しぶりに実家や友達に会いたいって言ってたから連れて来たんですよ。」

透華「友達?本当にそうでしょうか?」ジロリ

咲「ヒッ」ビクッ

優希「~♪」ギュ-ッ

和「…………」ニコニコ

透華「……まあいいですわ。」

透華「まだ品定めには早いですもの。」

京太郎「?」

カンッ


----


~~♪

京太郎「あ、一さんからメールだ。」

京太郎「ん~?何々?」


―――――――――

国広一

件名:

本文:

大変だよ京太郎君!透華が男の人といなくなっちゃったよ!

今、必死で捜索してるんだけど透華の居場所とか知らない!?


―――――――――


京太郎「……ああ、ついに来てしまったか、この日が。」

京太郎「とりあえず返信。」

京太郎「こんなもんかな。」


―――――――――

京太郎

件名:落ち着いてください

本文:

透華さんからは何も聞いてないからどこにいるかはわかりません。

けど透華さんも子供じゃないんだから大丈夫だと思いますよ。


―――――――――


京太郎「というか、まぁ大丈夫なんですがね。」






――数ヵ月後――


~~♪

京太郎「あ、今日は純さんからのメールだ。」

京太郎「何だろう。」



―――――――――

井上純

件名:やべぇよ……やべぇよ……

本文:

今日、透華が帰ってきたんだけど……

何か透華が妊娠してるみたいだってよ……

しかも相手が居ないんだよ。

相手、消されたとかないよな?

透華は産む気みたいだぜ。


―――――――――


京太郎「ああ、やっぱりか。」

京太郎「まぁなんとかなるでしょ。」


―――――――――

京太郎

件名:透華さんの妊娠について

本文:

透華さんが妊娠ですか、本来ならおめでたい事です。

相手はどうなったんでしょうね……

ただ、透華さんが産む気なら、あの人は意地でも産むでしょう。

その時は透華さんの味方でいてください。

元気な子供が生まれるといいですね。


―――――――――


京太郎「……なんかこの文章白々しいな。」

京太郎「元気な男の子が生まれると良いな~ってか生まれないと困る。」

京太郎「それにしても俺の父親は一体誰なんだ……」




――数ヵ月後――


~~♪

京太郎「今日は智紀さんからのメールか。」




―――――――――

沢村智紀

件名:緊急事態

本文:

透華が居なくなったと思ったら、ひょっこり帰ってきた。

しかも身重の体だったのに、戻ってきたらお腹がへこんでいた……

もしかして、堕胎じゃないよね?


―――――――――


京太郎「不安になるような事言わないでくれ……」

京太郎「下手したら俺が消えるから……」


―――――――――

京太郎

件名:大丈夫だと思います。

本文:

多分ですがどこかで産んだんだと思います。

透華さんは子供を堕せる人じゃないし。

それは家族を大事にしてる透華さんを見ればわかりますよね?

だからなんか理由があって、今は子供とは離れているんだと思います。


―――――――――


京太郎「ん?って事はそろそろ透華さんが俺の事を息子だって気付くのか。」

京太郎「これで透華さんを母さんって呼べるな。」



~~♪

京太郎「咲からだ……」


―――――――――

宮永咲

件名:こんばんは

本文:

明日会わない?優希ちゃんと和ちゃんも来るよ。

―――――――――


京太郎「OKだ、っと……」

京太郎「あいつら皆して東京に居るんだよなー」


カンッ!

----

「母さん」

透華「へ?」

京太郎「……あ、その、違くて。」

純「プッ……クククク」

透華「流石に子供産むような歳ではありませんわよ……」

一「あれだね、小学校の時、先生を間違えてお母さんと呼んじゃった的な。」

京太郎「は、恥ずかしい!」

衣「気にするなきょうたろー。」

智紀「きっと誰でも通る道。」

透華祖父(母親なのは間違ってはいないんだが、透華はまだ彼を産んでいないからな。)

透華祖父(……微笑ましい限りだな。)

----



どうしてこうなっておりますの……


「うーあー」


なんでこんなところに赤ちゃんが……


「あーあー」

衣「これが赤子か、小さくてかわいいぞ。」

一「おーよしよし。」

純「にしても、どこの子供だ?」

透華「気付いたら私の部屋にいましたの。」

智紀「透華に懐いてる。」



京太郎(あーあの赤ちゃんって……)

透華(未来)「…………」ニコニコ

京太郎(やっぱりいたー……)

京太郎(ってことはあの赤ちゃん、俺かー……)

京太郎(赤)「あーまんま、まんま」ペチペチ

透華「え?」

京太郎(赤)「うー」

純「きっと腹が空いたんだろ。」

京太郎(赤)「あー」ペチペチ

透華「ちょ、ちょっと!?そんなとこ触られても母乳はでませんわ!」

京太郎「俺ちょっと粉ミルクとか探してきます。」

透華(未来)「…………」ニコニコ

京太郎「なんでここにいるんですか……」

透華(未来)「過去の私に子供の素晴らしさを伝える為ですわ。」

透華(未来)「あと、これが粉ミルクですわ。」

京太郎「どうも……」





京太郎(赤)「あー」ペチペチ

純「もう透華の胸を吸わせれば良いんじゃねぇか?」

一「透華、このこ諦めそうに無いよ。」

透華「うっ……」

京太郎(赤)「まんま、まんま」ペチペチ

透華「……わかりましたわ。」

プチプチ

ファサ

京太郎(赤)「ん……っく……」チュパチュパ

透華「///」

純「おい、大丈夫か?」

一「この子すごい落ち着いてるね。」

透華「でも、なんでしょう……すごく収まりが良い感じがしますわ……」

智紀「透華が母性に目覚めた。」

衣「衣もしてみたい……」

純「……あー、やめとけ。」

一「衣がやると、ね?」

衣「納得いかないぞ!」

京太郎「粉ミルク哺乳瓶に入れて持ってきましたよーって……」

透華「京太郎?前にも言いましたわよね?」ジロリ

京太郎「すみません!?」





透華「飲み終わりましたわね。」

衣「乳飲み子は飲ませた後にげっぷをさせないとダメらしいぞ。」ドヤァ

純「おーコロペディアとか久しぶりだな。」

透華「こうでしょうか……」ポンポン

京太郎(赤)「……ケフッ」

智紀「出た……」

一「……ねぇ透華、ボクも抱っこして良いかな?」

衣「あ、衣も!衣も!」ピョンコピョンコ

透華「はい、どうぞ。」

一「よいしょ……」

衣「一!どんな感じだ!」

一「これはやばいね……」

衣「やばいのか!?」

一「赤ちゃん抱いてるだけで笑顔が止まらない。」ニマニマ

純「一まで母性に目覚めたか……」



京太郎(赤)「…………」ペチペチ

一「まだ飲み足りないのかな?」

京太郎(赤)「……うーん」

一「あ、ぐずりだした。」

衣「衣があやしてやる!」

一「はい。」

衣「おお、ちっちゃいぞ!」

純「当たり前だ。」

京太郎(赤)「…………」ペチペチ

衣「おお、おお。」

京太郎(赤)「…………」プイッ

衣「衣……何か悪い事をしたか……」ズーン



智紀「今度は私が。」

京太郎(赤)「…………」ペチペチ

京太郎(赤)「…………」ペチペチ

京太郎(赤)「…………」ペチペチ

京太郎(赤)「キャッキャッ」ペチペチ

純「智紀はお気に入りなんだな。」


京太郎(あれ?俺この頃からおもち好きなの?)

透華(未来)「…………」ニコニコ ゴゴゴゴ

京太郎(すっげぇ視線感じる!?)

京太郎(てか、こえぇ!)

透華「……」ムスッ

京太郎(あっちもあっちで何かご機嫌斜めだし!)

カンッ

----

すがさんち 衣ver


衣「京太郎!」

京太郎「どうしたの姉さん。」

衣「衣と遊ぶぞ!マリオカートとやらで!」

京太郎「なんでマリカー……しかもスーファミの……」

衣「智紀に何か遊べるものが無いかと訊ねたら貸してくれたぞ。」

京太郎「まぁ、いいか。」


セッティング中……


衣「よし、出来たな!やるぞ京太郎!」

京太郎「はいはい。」

衣「時に京太郎、これはどうやるんだ?」

京太郎「えーと、ここがアクセル、ここがブレーキ、でここがアイテム使うボタン。」

衣「成る程、わかった。」

京太郎「50ccのキノコで良いか。」

衣「衣はこの亀を使ってみる。」

京太郎「ノコノコかぁ、俺はキノピオでいいか。」

衣「おお、なんか始まったぞ。」

京太郎「姉さん、シグナル出るから二つ目辺りでアクセルだ。」

衣「わかったぞ!」


ピッ ピッ ピー

キュキュキュキュ シュイーン

衣「!?」

京太郎「姉さん、ボタン押すの早すぎ。」

衣「いや、それより何で京太郎はいきなり飛び出したんだ!?」

京太郎「これはロケットスタートってやつ、タイミングよくボタン押すと最初からトップスピードで走れるんだ。」

衣「そんな隠し技があったのか……」


暫くプレイ中


衣「おー……」グイーッ ←←←

衣「んー……」グイーッ →→→

京太郎(これ、やるより姉さん見てるほうが面白いなぁ。)



今日も須賀さん家は平和だぞ。

京太郎「カーブを曲がるとき体が傾くのってなんだろうねあれ」



----


龍門渕高校での普通の一日


朝 リムジンに乗って皆で登校。

その後普通に授業を受ける、最近ここの教室の空気にも慣れてきた。

昼 皆でお昼を取る、ハギヨシさん特性の昼食で、文句の付け所がないくらい美味い。

放課後 杉乃さんと一緒に部活に行く。


最初に卓に入ったのは俺、衣さん、透華さん、純さん。

衣さんは俺の上家、純さんが下家、対面は透華さん。

純さんが凄い苦い顔をしていた。

それで結果はと言うと……


純「だから京太郎の下家は嫌だったんだよ……」4位

透華「キー!全然目立てませんでしたわ!」3位

衣「きょうたろーは腕を上げたな、それ以上に打ち方が厭らしくなったが。」2位

京太郎「この面子でなんとか逃げ切ったー!」1位


智紀「完全に京太郎の作戦勝ちだった。」

京太郎「運が良かったのもありますけどね。」

一「衣と透華が本気を出せてないのを差し引いてもすごいよ。」

衣「トーカやジュンに鳴かせた後に場を凍らせるとは考えたな。」

衣「衣が海底牌を取り損ねたのは久しぶりだったぞ。」

純「余りに流れが来ないからと思って鳴いたら……まんまと踊らされてたわけか……」

透華「くー!悔しいですわ!」

一「透華も能力使えばよかったのに。」

透華「地味だから嫌ですわ!」

京太郎「親跳ツモれてなきゃ、逃げ切れて無かったですよ。」

京太郎「後半ジリ貧でしたし。」

純「よし次だ!次!」

京太郎「じゃあ、俺が抜けま――」ガシッ

純「勝ち逃げなんてゆるさねぇよ?」

一「じゃあ次はボクが入るよ。」

智紀「私も入る。」


で今度の結果は……




純「京太郎の下家じゃなきゃこんなもんよ!」1位

一「能力を上手く使えなかったんだね。」2位

智紀「下家は不利。」3位

京太郎「」4位


衣「不甲斐無いな、きょうたろー。」

京太郎「返す言葉もございません……」

透華「やっぱりさっきのは漁夫の利でしたのね。」

透華「相性も有るのでしょうが、単純に面前派が相手でしたら雀力が物を言いますわね。」

京太郎「もうちょい能力とかの応用が出来る様になりたいですね。」

透華「雀力を特訓ですわ!」

衣「異能の特訓なら衣に任せろ!」

京太郎「お手柔らかにお願いします……」

カンッ


----


【シロと鬼子】


シロ「ダルいダルいと思ってたら妊娠してた……」

宮守メンバー「!?」

塞「妊娠したってどういうこと!?」

胡桃「相手は誰!?」

豊音「シロの一大事だよー!?」

エイスリン「アワワッワワ……」

トシ「皆は少し落ち着きな、シロの話をまず聞こうじゃないか。」

塞「そ、それもそうですね……」

シロ「ん、じゃあ少し話すよ……」

シロ「最近妙にダルくて体調が悪い時があってさ。」

シロ「風邪かと思って病院に行ってきたら、妊娠3ヶ月と言われた。」

シロ「以上。」

塞「みじかっ!?」

胡桃「それで相手は誰なの?」

シロ「いないよ?」

胡桃「へ?」

シロ「だって彼氏もそれらしき相手もいないし。」

シロ「そもそも花の女子高生だと言うのに彼氏一人出来ない私に相手なんていなかった……」

胡桃「なんだろう、それ凄く私にも刺さる言葉なんだけど……」

塞「あれ、なんでだろう、私も凄く心が痛いんだけど……」



豊音「お父さんがいないのに赤ちゃんって出来るのー?」

胡桃「そうだよ!?どうして相手がいないのに妊娠するの!?」

シロ「う~ん、ダルい謎だ……」

シロ「未だに"おぼこ"だけど妊娠するとかダルすぎる……」

エイスリン「オボコ?」

塞「エイスリンは知らなくて良い言葉だよ。」

トシ「……シロ、もしかしてあんた、森の社に行ったかい?」

シロ「あ、そういえば一ヶ月前に散歩がてら行きました。」

胡桃「なんでまた散歩なんかに……」

シロ「動いてないせいか、お腹周りがちょっと……」

トシ「はぁ……間違いなくそれだねぇ……」

塞「どういうことですか、熊倉先生?」

トシ「あそこの森にある社は随分古くからあるんだけどねぇ。」

トシ「本来あそこは、子供が中々出来ない夫婦や妊娠中の母親が安産祈願で行く所なんだ。」

トシ「多分のそこの御神体にでも触れたんだろう。」

シロ「そういえば社の中に変な形の石があった。」

トシ「一人で行って、しかも御神体に触れたから孕んでしまったんだろうねぇ……」

塞「どうにかならないんですか?」

トシ「まず、無理だろうねぇ、多分あと2~3ヶ月程で産まれると思う。」

胡桃「それって早くないですか!?」

トシ「一ヶ月前に触ったのに今はもう妊娠3ヶ月、ここまで言えばわかるだろう?」

豊音「赤ちゃんだけに三倍の早さなんだよー。」

トシ「しかも確実に鬼子だろうね、堕ろしたら村や周りに災いが降り、産んだら親を不幸にする。」

トシ「多分古い連中は災いを恐れて産ませようとするだろうね、断ったら村八分、産むとなったら支援される、そんなもんさ。」

塞「まさに八方塞がりですね……」

胡桃「そんな……」

シロ「まぁ頑張って産んでみるよ、自分の蒔いた種だし。」

トシ「わかった、村の年寄りどもには私から話をつけとくよ。」

豊音「私はシロの手伝いするよー!」





一ヵ月後

シロ「妙に腹が減る。」

トシ「なんせ二人分食べないと行けないからねぇ。」

トシ「それも通常の三倍の早さで成長するんだ、そりゃ腹も減るさ。」

エイスリン「シロー!ゴハンモッテキタヨー!」

シロ「あー、日に日に増える重みがダルい……」

塞「体重が?それともお腹が?」

シロ「どっちも。」

胡桃「軽く運動もしといた方がいいらしいよ。」

胡桃「動かないと体に悪いって聞くから。」

シロ「体を動かしたくない……」

胡桃「……豚になるよ?」

シロ「そいつは勘弁。」



更に一ヵ月後

シロ「うっ……」

塞「どうしたの?」

シロ「腹がつっかえて向こうの山牌が取れない。」

豊音「大分大きくなったもんねー。」

シロ「誰か代わりにツモって。」

塞「はいはい。」


また更に一ヵ月後

シロ「そろそろ生まれるかな……」

塞「最近シロ、母親の顔になってきたね。」

シロ「この子生まれるのまだかな?」

豊音「赤ちゃん楽しみだよー!」

胡桃「そろそろ生まれると思うけど……何にしろ3ヶ月で臨月とか気持ち悪い……」

シロ「自然分娩は痛いって聞くけど帝王切開の方がいいかな?」

エイスリン「テーオーセッカイ?」

トシ「お腹を切って赤ちゃんを取り出すことさ。」

エイスリン「シッテル!ハラキリノコトダネ!」

シロ「切腹は怖いな……」

豊音「聞くだけでお腹痛いよー……」

胡桃「麻酔とかするでしょ。」

塞「いや、誰かハラキリを否定しなさいよ。」


無理やりカンッ!

----

――夜・龍門渕邸庭――


透華「あら?あれは京太郎?一体こんな時間に何を……」


京太郎「今晩は。」

透華(未来)「今晩は。」

京太郎「今夜もお茶会をご一緒していいですか?」

透華(未来)「勿論ですわ。」


透華「?誰ですの、あの方……」

透華「お母様にも似ている気がしますが……」

透華「それにしても何か楽しそうですわね……」

透華「…………」

透華「それにしても何でしょう、京太郎とあの女が話しているのを見ると……」

透華「こう、何か体の一部を持ってかれたような感じが……」

透華「…………」

透華「何か!何か!すっきりしませんわ!」


透華(未来)「……ふふ。」

京太郎「どうかしましたか?」

透華(未来)「ふふふ、何でもありませんわ。」


カン

----

――出産後――


京太郎「かーちゃん、かーちゃん。」

シロ「何……?」

京太郎「腹減った。」

シロ「んー……」モソモソ

シロ「何もない……」

京太郎「買い物に行くか!?かーちゃん!?」

シロ「……いや、ちょっと待とう。」


ピンポーン


京太郎「かーちゃん客だ!」

シロ「かーちゃんダルい……京太郎が出て。」

京太郎「わかった!」

京太郎「だれだー!?」ガチャッ

塞「こんにちはー京太郎君、お母さんいる?」

京太郎「かーちゃんは今だらけてます!」

京太郎「そして俺はおなか減ってます!」

塞「あー、もー……仕方ない、ちょっと待っててね、今なんか作ってあげるから。」

京太郎「やたっ!」

シロ「京太郎、誰が来たの?」モソモソ

京太郎「塞おばちゃん!」

塞「おば!?」

シロ「いつもダルいね、塞。」

塞「そこは『いつも悪いね、塞。』じゃないの!?」

京太郎「かーちゃんはいつもダルいからな!」





ピンポーン


塞「あ、誰か来たかな。」

シロ「京太郎、ごー。」

京太郎「だれだー!?」ガチャッ

塞「元気だなー京太郎君。」

シロ「すこしは落ち着きが欲しい、付き合うとダルい。」

塞「シロはもう少し動くべきだよ。」

京太郎「かーちゃん!かーちゃん三号が来た!」

豊音「三号だよー!」

塞「え、なにそれ、三号ってなに!?」

シロ「私一号、塞二号、豊音三号。」

塞「私かーちゃん二号なの!?」

京太郎「かーちゃん二号はいつもご飯食べさせてくれるから二号だ!」

塞「ああ、そういうことなの……」

京太郎「かーちゃん三号はいつも遊んでくれるから三号だ!」

豊音「ありがとー!」

塞「エイスリンと胡桃は?」

京太郎「四号とクルミだ!」

塞「なんで胡桃だけ名前……」

京太郎「クルミはかーちゃんって感じじゃないから!」

塞「……熊倉先生はどうなのかな?」

京太郎「あれはばーちゃん!かーちゃんとは別!」

塞「そうかぁ、皆何食べたい?」

豊音「なんでもいいよー。」

シロ「おいしいもの。」

塞「なんか困る返答だなー。」

京太郎「三号かーちゃんのご飯は何でも美味いぞ!」

塞「ありがとう、京太郎君。」


カンッ


----



透華「…………」

優希「…………」

和「…………」

咲「……あの?」

透華「どうかしましたかしら、宮永さん?」

咲「どうして私たちはここで麻雀を打ってるんですか?」

透華「ええ、まぁ、当然の質問ですわね。」

透華「龍門渕の人間と「お付き合い」する方を良く見ておきたいのですわ。」

和「すg……京太郎君の交友関係の調査……っと言ったところですか……」

透華「大別して言えばその通りですわ。」

透華「京太郎は我が龍門渕家の次期当主ですわ。」

透華「なので、集る女を追い払わないといけませんですもの。」

咲・優希・和「……成る程。」

和「でも、それなら別に私がいなくても……」

透華「ついでですわ。」

和「はぁ……」

透華「それでは京太郎についてお聞きしたいのですが。」

透華「京太郎は普段どんな感じですの?主に女性関係で。」


一「どう思う、純君?」コソコソ

純「明らかに品定めって奴だと思うぜ。」コソコソ

智紀「お嫁さん候補……私も立候補してみようかしら……」コソコソ

純「やめとけやめとけ、あんな相手達に生半可な気持ちで勝てるわけない。」

一「本当にね~。」

純「でも、京太郎が次期当主になるとはな~。」

一「最近、透華が京太郎君を養子に入れ直したって話だからね。」


和「京太郎君はそこそこモテますね。」

優希「顔は中々いいし、麻雀もそこそこ強いしな。」

咲「気遣い出来て、面倒見がいいし……」

和「更に龍門渕家の御曹司ということで結構女の人が寄ってきますね。」

咲「でも京ちゃんはそういうの気にしてない感じだったよね。」

透華「ふんふむ。」

透華「で、貴女達の中で京太郎に想いを寄せているのは誰ですの?」

優希・咲「!?」

和「……誰なんでしょうね。」

和「私としては少し複雑です。」

カンッ


----

完全IF


透華「ということで私の苦労を知ってもらうべくタイムマシンを用意しましたわ。」

京太郎「え、なにそれ聞いてない。」

透華「つべこべ言わずにゴーですわ!」

京太郎「うわ!?なにすんですかー!?」


京太郎「いてて……一体どこなんだよここ……」

「あのー?だいじょうぶですか?」

京太郎「あ、大丈夫です。」

京太郎「それより、そのここはどこですか?」

「茨城ですよ」

京太郎「茨城!?」

京太郎「てか、貴女小鍛治健夜プロ?」

健夜「え、プロではないですけど。」

京太郎「若い!というか今何歳だ!?」

健夜「え……17です……」

京太郎「十数年前かよー!?」

健夜「えっともしかしてお困りですか?」

京太郎「帰る家がどこにあるかわからない状態です……」

京太郎(透華母さんはどうやってたんだよ……)

健夜「大変ですね……そうだ!家に来ませんか?」

京太郎「流石に悪いですよ……」

健夜「大丈夫です!困っている人を放っては置けませんから!」


こうして俺は半ば強引に健夜さんに連れられて居候になった。

数年後のこととかは敢えて言わない。

色々有ったとしか言わない。

もう直ぐ俺も父親かー……

カンッ

----


忘れられないと言う事は生き辛い。

記憶が、思い出が沢山あるだけ、その思い出や記憶に引きずり込まれてしまう。

そうとわかっていても、私は割り切れなくて、ついに長野に来てしまった……

知り合いのプロに頼んで同行させてもらった。

まず彼の家に行った。

そこには人は居なかった……

この世界の彼は、私が知っている彼とは違う道を歩いているのだろうか……

数少ない手掛かりも心許無い状況になってしまい、途方に暮れそうになる。

そんな時、彼の家に尋ね人がやってきた。

清澄の彼が気にかけていた女の子だ。

彼女に訊ねたら彼は龍門渕という家に行ったらしい。

やはりここの彼は、私の知っている彼とは歩んできた道が違うみたいだ。

それから彼の身請け先のことを調べつつ数日が経った。

その間は知り合いの家に泊めてもらっていた。

そしてある日、龍門渕家に近い公園を巡っていた時、偶然だがブランコに揺られている彼を見つけた。





「あ……京太郎君……」





思わず声が漏れた。

だが、彼に会うべきか否か、迷っていた。





「小鍛治プロ?もしかして彼がそうなんですかー?」


「……うん。」

「でも、私の事覚えてないかも知れないし、なにより……」

「なにより思い出して彼を苦しめる事になったら……嫌だもの。」


「思ったより小鍛治プロはチキンですねー。」


「う……」


「でも私なら彼とコンタクトを取ってもノープロブレムですよねー?」


「たしかにそうだけど……」


「じゃあ、行って来ますねー。」





そう言って彼女は行ってしまった。

もし彼が他の彼の記憶を持っていたら、私の事を覚えているのだろうか。

家族として居た記憶、思い出、そんな懐かしくも煩わしいものを背負っているのだろうか。

でも彼が覚えて無くても、私は覚えているだろう。

それは私にとって……

捨て去れない……

忘れきれない……

あまりにも美しくて大事なものだから……





そんな事を思っていると彼女が戻ってきた。


「若干出会いに怪しまれましたがノープロブレム。」

「会ってトークしてきましたが、多分小鍛治プロの思っているような彼ではないと思いますねー。」


ああ、やっぱりそうか。

あの京太郎君は、私の知っている京太郎君じゃなかったんだね。

この世界に他の京太郎君を知っているのは私だけなのかな……





「一応私の電話番号渡しましたが彼から連絡来たら伝えますかー?」


「ううん、大丈夫。」

「ありがとね、良子ちゃん。」


「いえいえ、ノープロブレムですよー。」


「ねぇ、良子ちゃん。」


「なんでしょう?」


「あの京太郎君とは別に京太郎君がいるって言ったら信じる……?」


「まぁ、私の体質上否定しきれないですねー。」


「大切な思い出を忘れられないのって辛いね……」


「……大人なら、割り切らなきゃ行けない事もありますよね。」


「……うん、そうだね。」





もう長野には来ない。

来てはいけない。

次にここへ来れば彼と会いたくなるだろう。

会ってしまったら彼に迷惑が掛かる。

だから、もう、ここへは来ない。

でも、もし、彼が偶然私と会うことがあるなら……

その時は、頼れるお姉さんでありたいな……


カンッ


----

「時にきょうたろー。」


それはオカルトの特訓をしていたときに言われた。


京太郎「はい?どうしたんですか衣さん。」

衣「明日は母の日らしいな。」

京太郎「……そうですね。」

衣「きょうたろーは何か贈らないのか?」

京太郎「衣さんが知っている通り、俺の母親は……」

衣「亡くなった方のではない。」

京太郎「……知っていたんですか。」

衣「時折来る女を見て、何となくだが、な。」

衣「前の赤子の件もあの女の仕業であろう?」

京太郎「まぁ、そうなんですが……」

京太郎「何となく憚られて……」

京太郎「それに、俺には家族がいますし。」

衣「あの女もきょうたろーにとって家族だろう。」

衣「衣たちに気を使う必要はないぞ。」

衣「それに衣たちも母君に会いに行くしな。」

京太郎「そう、ですか。」

京太郎「……俺も何か贈るかな。」





――翌日――


まだ新しい色を放っている墓石の周りを軽く掃除したあと、花を供えて手を合わせる。

うん、やっぱり仏花よりカーネーションだよな、母の日なんだから。

もうちょっとで一周忌だからそのときまた来るよ。





――龍門渕邸・夜――


カーネーションの花を持って庭へ向かう。

今はもう来るかどうかわからない人となってしまったが、未来から時々透華さんが来る事がある。

今夜たまたま居れば渡すし、居なければいつものところに花瓶を持ってきて活ければ良い。

見覚えのある金髪が風で靡いていた。

透華さんだ。

俺は手に持った花を想いと共に彼女に渡した。





京太郎「今晩は、これをどうぞ。」

透華「あら今晩は、これは……カーネーションですわね。」

京太郎「ええ、母の日といえばこの花ですから。」

透華「そうですわね、でも何故私に贈るのですの?」





あ、しまった。

この透華さんはこっちの透華さんだったことに今更ながらに気付いた。


京太郎「日頃の透華さんを労うために買って来ちゃいました。」

透華「そうですの、ならこれは有り難く受け取っておきますわ。」


透華さんはクスクスと笑いながら花を眺めていた。

まぁいいか、同じ人だし、何より苦労しているのは間違いではないのだから。

そういえば買うときに見たんだが。

赤いカーネーションの花言葉って「純粋な愛情」とか「母の愛」だって書いてたな。

他の意味も含まれているならまだ透華さんは自分が母親だって気付かないんだろうな……


カンッ


----


完全IF


雅枝「あんたー!あんたー!」

京太郎「」


何故俺が今絶句しているかというと。


透華「オーホッホッホ、この男は私達が頂きますわー!」


母親が俺をタイムスリップさせたあと雅枝さんと家庭を持ったら。


「帰りますわよ。」


と、言われました。


雅枝「あんたー!カムバーック!」

京太郎「雅枝のりのりやんけ……」


そんなこんなで元の時代に強制送還されたんだが……


更に今絶句しております。

何故なら今……


                 /: :`ヽ
           ,   -‐=f-: :、!ハ
          /: : : : : : : : : : : :.`ヾ:. 
          , ': : : : : : : : : : : : : : : : : :i
          /: : : :/i :_」: : :,ハ:.」_:ハ:.:.`トi、
      //: : : :7´「 ハ: : :| !:}.`メ;.: :.iミ \
     {:{ .{: :i: : :ト,x=テ \i テミ=x!: :;} :iヾ::}、   ジ
      ゞ=:八: :.i .廴ノ   .乂,ノ厶イ: :: ノノ: :.   |
.        ((i :| 、、    、、 i.:|;イ: : : : :.}.  |
         `'i ! 、   △    /!:! .|: : : :/i:i  
.           リ `  ュ--‐t'"  .リ i: : :/ リ
             / \/ヽ_   //
            r ''"´{._人_.} ` イ
         / i   《从》   i  |
          /  .!    ||    l  .!


女の子にすっごい見られているから!

京太郎・洋榎(何か見たことある顔だ(や)なー)

絹恵「お姉ちゃんどうしたん?」

洋榎「あんなー絹ー、ちょっと見覚えがある顔やなーと思て。」

絹恵「?」

洋榎「浩子なら知っとるやろか?」

京太郎(浩子?どっかで聞いた覚えがあるな……)

京太郎(ああ、そうだ姪の名前と同じだ。)

洋榎「あ、ついでにおかんもおったら呼んで来るわー。」

絹恵「あ、お姉ちゃん!?」





絹恵「えー……」

京太郎「えっと……」

絹恵「どうしてこんなんなったんやろね。」

京太郎「あはは……」

京太郎「あ、名前を聞いても良いですか?」

絹恵「あ、はい、うち、愛宕絹恵っていいます。」

京太郎(愛宕?すっげー聞き覚えが……)

絹恵「んで、さっきのがうちのお姉ちゃんの愛宕洋榎です。」

京太郎(ひろえ!?俺の子供と同じ名前じゃん!)

京太郎「あの……もしかして、君たちのお母さんの名前って雅枝とかって名前じゃ……」

絹恵「あーうちのお母さんと知り合いですか……やからお姉ちゃん見覚えあるって言うてたんやねー。」

京太郎(あれ?俺拙くね?今更どんな顔して雅枝に会えば良いんだよ!?)

絹恵「あの……汗すごいですよ?」

京太郎「あ、俺、急用があるんで……」

絹恵「あれそうなんですか?家のお姉ちゃんが無理やり引きとめてしもたんですね……」

京太郎「まぁ、その、後で伺いますんで……」

絹恵「なら、またあとでー。」




京太郎(そうか……あの子達が俺の娘か……)

京太郎(絹恵の方はあの時お腹の中に居た方か、てことは今三年か?)

京太郎(で、赤い方は洋榎か……大きくなったな……)

京太郎(実年齢1才差の娘は戸籍上年上の娘になるのか……)



雅枝「ん?」

京太郎「え?」

雅枝「…………」

京太郎「」

雅枝「あんた……今までどこにおったん?」

京太郎「いやその……」

雅枝「…………」

京太郎「拉致られてました……」

雅枝「うん、そんなもん知っとるわ、うちの目の前やったからな。」

京太郎「うん、そうだね……」

京太郎「大変だったよな……」

雅枝「……実はそんなでもないんやで?」

京太郎「……え?」

雅枝「お義母さんが事前に養育費とか色々手ぇ回してくれとったから。」

京太郎「はい!?」

洋榎「あ、おかん!こんなとこにおったんか。」

絹恵「あれ……さっきの人……」

雅枝「ああ、ひろにきぬ。」

雅枝「この人はな……」

京太郎「…………」

雅枝「あんたらのおとんや。」

洋榎・絹恵「…………」

京太郎「…………」



洋榎「おかん、冗談キツイわー……おとんはうちが小さい頃にショッカーに改造された言うてたやん。」

京太郎「それ、信じるのどうよ……」

絹恵「それにどうみたってうちらと同じくらいの年やし……」

絹恵「あ、お母さん、もしかして新しいお父さんとかそういう意味なん?」

雅枝「あんた実の娘たちに言われたい放題やで。」

京太郎「おれはこの瞬間に対する心の準備はしてきたッ!だがやはりドス黒い気分になるぜ!汗がふき出すッ!」

洋榎「え?いきなりなんなん?」

京太郎「ちょっとお父さんブルーになっただけ……」

洋榎「あんた面白い奴やなー!」バッシバッシ

京太郎「あだだ!?」


カンッ

----


「井上さん。」


突如オレに声が掛けられる。

聞きなれた声だった。


「ん?あ、ヨッシーどうした?」


「んん、ここはどこで、貴女は今何者ですか?」


あ、ついやっちまった……

仮にもオレは今、龍門渕家の仕事服を着ているんだった。


----


純「……失礼しました、萩原さん。」

純「それで、ご用件はなんでしょうか。」

ハギヨシ「大変結構です。」

ハギヨシ「それで今、お客様にお茶と菓子をお運びしようと考えていたのですが。」

純「今清澄の大将が来てるんだっけか。」

ハギヨシ「つまり私が申したい事はですね……」

純「オレが――」

純「私がお客様にお茶を出せば宜しいのですね?」

ハギヨシ「よろしくお願いします。」

純「承知致しました。」


----


ノックをして衣の部屋に入る。


「失礼致します。」

「お茶とお菓子をお持ちしました。」


なんか京太郎と宮永のやつ驚いてやがった。


----


京太郎「どうしたんですか?純さん、熱でもあるんじゃ……」

純「しばくぞコラ。」

純「今のオレはお仕事モードなんだよ。」

京太郎「ああ、それで。」

純「ほれ、お茶と菓子だ。」

咲「あ、ありがとうございます。」

純「じゃ、オレは仕事に戻るから何かあったら言ってくれ。」

衣「純、その前に打っていかないか?」

純「この面子の中に入れって言うのかよ……」

衣「何か問題でもあるのか?」

純「いやさぁ……うちの大将に、清澄の大将、そしてオレの天敵……」

純「どう考えても……」

京太郎「まぁまぁ、とりあえず打ちましょうよ。」

咲「麻雀って楽しいですよ!」

衣「さぁ!衣たちと打つのだ!」

純「……あいよー。」


結果はお察し。





戻る最中、国広君と会った。


一「あれ?純君どうしたの?」

純「衣に捕まって雪月花と打たされてた……」

一「雪月花?なにそれ?」

純「雪は京太郎、月は衣、花は宮永のことだよ。」

一「……ああ、成る程ね、随分風流な言い回しだね。」

純「ロマンチックだろ?」

一「確かに、純君って意外と乙女チックだもんね。」

純「意外は余計だ、意外は。」

一「それでそんな乙女チックな純君に質問です。」

純「なんだよ。」

一「恋とかしてないの?」

純「はぁ!?」

一「いやだって、ボク達花の女子高生なのに浮いた話がないじゃん。」

純「いやだからって何でオレに振るんだよ。」

一「ボクの女の子センサーによると純君が恋してるって反応を捉えたんだよ。」

純「捨てちまえ、そんなもん。」

一「で、実際のところどうなの?」

純「知らねーよ。」

一「好きな人の特徴だけでも!」

純「絶対教えねー。」

一「『教えない』って事は居るんだね!?」

純「!」

一「ねぇねぇ?どんな人?」

純「おら、さっさと仕事にもどれ。」

一「ちぇ~、折角聞けると思ったのにー。」

純「ったく、からかいやがって……」

一「あ、そうそう。」

純「ん~?」

一「ボクは応援してるからね?」

一「だからいつでも相談に乗るよー。」

純「余計なお世話だっての……」

純「物好きな奴もいるもんだな。」

純「にしても国広君の女の勘も馬鹿にできねぇな。」





実際、オレは恋に近い事をしている。

恋と言っていいのかわからない、憧れにも尊敬にも似た感情。

こんなオレにもそんな風に想える相手ができた事自体不思議だ。

多分告白しても相手は大人、オレは子供。

上手い事、諭しながらやんわり断るんだろうな。

あの人はオレの事を見ていないのは知っている。

女としてみていない、それはやっぱり女らしくない体格だからだろうか。

それとも男勝りの性格だからだろうか。

そのほかに何かあるのだろうか……例えば好きな人とか……

あの人を、振り向かせたい。

でも、出来ないだろう。

俺にはそんなの似合わないと思っているからだ。

オレは、素直になれないオレが恨めしい。

例えあの人に告白してもしなくても、あの人を忘れる事はできないだろう。

この体に染み付いた作法は。

この手に染み付いた技能は。

全てあんたがオレに教えてくれたものだから……


カンッ

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ASSASSIN'S CREED -Sideモモ- ~現代最後の女アサシン~

それは突然のできごとだったっす。

怪しげな男たちに囲まれた先輩と私は死を覚悟するまで追い詰められていたっす。

先輩は震える体で怪しげな男たちから私を庇っていたっす。

どうやら見てはいけないものをみてしまったらしいっす……

私たちは恐くて目を瞑ってたっすけど、男たちが変なうめき声をあげたっす。

恐る恐る目を開けたら、そこには……白いフードから幽かに金髪を覗かせた青年が立っていたっす。

それが師匠とのファーストコンタクトっす。


師匠からの教えられた心構えは3っつっす。

1つ、汝の剣を罪無き者に振るうな。

つまりこれは無関係な人は巻き込むなってことっす。


2つ、我等の力は鞘の中の刃。

不用意に力を振るってはならない、また、私たちの存在は覚られてはならないってことっす。


3つ、兄弟を危険に曝す無かれ。

これは一番重要で、仲間を危険にしたり見捨てたりしたらいけないってことっす。


最後に師匠の口癖っす。

「真実など無く、許されぬことなど無い。」

だそうっす。

----

――清澄――

豊音「たのもーだよー!」バターン!

豊音「京太郎君はいるかなー?」

京太郎「ああ、また来た……」

照「案の定だったね。」

咲「お姉ちゃん……」

健夜「あーあー、家の弟はなんでこんなたらしに育ったのか……」

京太郎「ちょ!?俺はたらしじゃないですよ!?」

咲・照「え」

京太郎「何それ酷い!」

健夜「よし、話なんていい。」

健夜「京太郎君が欲しくば、卓に着きなさい!」

京太郎「え!?なんで!?」

咲「なんでいきなり麻雀なんですか!?」

健夜「ふふん、かわいい弟がどこの馬の骨ともわからない女にはあげられないよ!」

照「そういうことなら話は早い、誰が京ちゃんに相応しいか見せてあげる。」

豊音「京太郎君をおっかけるよー!」

健夜「三食昼寝付けてくれる弟はやらないよ!」

京太郎「姉さん本音が出てる!」

久「なんか大変なことになったわね。」

京太郎「竹井先輩すごい「面白くなってきたー!」って顔してますよ!?」

久「気のせいよ!」ウキウキ

京太郎「もうやだー!?」




――30分後――

健夜「ふふふふ、貴女達にそう簡単に弟は渡さないよ!」

照「京ちゃんの心は力づくでも奪ってみせる!」

豊音「引き下がる気はないよー!」

咲「えー……えー……なにこれー……」

健夜「あれ?そういえば京太郎君は?」

久「あー彼ならちょっと前に用事で出ましたよ。」

豊音「あ!?」

咲「どうしたんですか?姉帯さん。」

豊音「シロ途中で置いてきたの忘れてたんだよー!?」

照「…………!?」

照「やられた!とんだ伏兵が残ってた!」

豊音「シロに電話かけるよー!?」


――――――
――――
――

シロ「京太郎の背中は落ち着くな……」

京太郎「シロさん……送り迎えくらいしますから……せめて豊音さんと来たならそのとき呼んでくださいよ……」

シロ「いいじゃないか……ダルかったんだもの。」

京太郎「みつを風に言ってもダメです。」

ブーブー

シロ「ん……」

京太郎「電話ですか?」

シロ「……間違い電話。」

京太郎「そうですか。」

シロ「んじゃ次は京太郎オススメのデートスポットに行こうか。」

京太郎「はい?なんでまた……」

シロ「気にしたらダメ。」

ピロリロリーン♪

京太郎「今度はメールですかー?」

シロ「迷惑メールだった。」

京太郎「そうですか。」


豊音「シロが応答しないんだよー!?」


シロ「だから言ったのに、「今はダルいけど、ヒロインの座をいつか奪うかもよ?」って……」

京太郎「なんか言いました?」

シロ「なんでもない。」


----



純「京太郎、よくやったじゃねぇか。」

一「去年なんて県予選突破すら出来なかったのに、今回3位とかすごいよ。」

透華「一位じゃないとか目立っておりませんわ!」

京太郎「厳しいなー……」

衣「きょうたろーの実力からすればここまで来るには厳しい道程だったろう。」

衣「堅実な打ち回しをしながら、策を弄し、相手の力を計り、自身と相手の力をうまく使ったな。」

智紀「流石に一位はとれなかったけど、凄い事。」

京太郎「智紀さんが対策手伝ってくれたおかげでもあるんですよ。」

京太郎「運や巡り合わせがよかったのも大きいですがね。」

透華「京太郎、次は一位を狙うんですわよね?」

京太郎「……もちろんです!」



----



洋榎「浩子ー、応援に来たでー。」

浩子「いらんわ、んなもん。」

浩子「てか誰?その男。」

洋榎「うちのおとんやてー」

浩子「はぁ?」

泉「流石に意味不明ですね……」

京太郎「あはは、どうも……」

浩子「というかおばちゃんの旦那っておばちゃんに子供を二人も孕ましておいて別の女と蒸発した最低の屑野郎やん。」

京太郎「畜生……!伝え方に悪意があるけど事実が事実だけに反論出来ねぇ……!」

雅枝「あーあんたら何やってんの。」

京太郎「あ!?助けて雅枝!」

雅枝「う……人前ってか教え子の前で呼び捨てにすんなや!」バシィッ

京太郎「イッタ!?」

泉「監督が顔が真っ赤っかになっとる!?」

洋榎「おかんが真っ赤とか初めてみたわ……」

雅枝「あー浩子、信じられんとは思うけど、これウチの旦那や、ほれ、昔の写真。」

浩子「冗談きついわー……!?」

浩子「え!?まじですか!?てか年とって無いやん!?」

浩子「この男子がウチのおじちゃん!?」

京太郎「あーはい……どうも、最低の屑野郎です……」

浩子「あの、なんか、すんませんでした……」

京太郎「まぁその、事実っちゃ事実ですし……」

浩子・京太郎「あは、あはははは……」

泉「なにこのアウェー感……うちどないすればいいんや……」

カンッ



----


今から少し咲との話をしようと思う。

何年か前の話だ。


久「そう、お姉さんと一緒に東京に住む事になったのね。」

咲「……はい。」

久「それじゃ今から咲の送別会をやるわよ!」

久「送別会までに良い人呼んであげるから。」


送別会が始まった、和ちゃんは泣きながら優希ちゃんも元気一杯に楽しんでいた

そんな時一人が尋ねてくる。


京太郎「こんにちは。」

咲「京ちゃん?龍門渕にいたんじゃ……」

京太郎「お姫様の為に飛んできました。」

咲「え?……うふふ、変な京ちゃん。」

京太郎「とりあえず思いっきり楽しもうぜ?」

咲「うん!」


やがて私の送別会が終わり皆、帰宅の準備し始めた。

帰り道、私を送ってくれた京ちゃんに、思い切って言ってみる。





「京ちゃん、明日……一緒に街を回ってくれないかな?」


「ここでの事を覚えておきたいから……」


「おいおい、俺に学校休めってか?」


「……一生に一度のお願い、京ちゃん。」


「そんな顔すんな、断るわけがないだろ?」


「うん、そうだよね……」

「オシャレして来てね。」


「そっちこそちんちくりんのまま来るなよ?」


「もー!失礼だよ京ちゃん!」






明日は京ちゃんとデート……

いっぱいおめかししないとね……

美容院に行って髪を整えて来よう。

お気に入りのこのピンクのスカートに、前に京ちゃんがプレゼントしてくれたこの髪飾り。

「咲の得意な嶺上開花だから花なんだ」って……

ちょっと安直過ぎない?でもとても嬉しかったんだよ。



今日は咲とのデートだ。

今日で最後になるかもしれない。

だから咲との思い出を一杯作ろう。

いつもと違う感じの髪型にしてみよう。

服は……ジャケットと、咲から貰ったアクセサリー。

俺の趣味とはちょっと違うけど、凄く大切なものだ。

さぁ、準備は出来た、お姫様より早く待っていないとな。





少し早く着いてしまった俺は髪の毛をいじりながら咲を待つ。

咲は今日どんな格好をしてくるのだろうか。

俺は少し緊張しながら時計を見る。

待ち合わせまでまだ二十分も有った。

「早く来すぎたか」と内心の浮かれ具合に辟易していると咲がやってくるのが見えた。

咲の姿を見て、俺はドキッとした。

かわいいスカートに俺がプレゼントした花の髪飾りを付けていて、前髪も少し変わっていた。

いつもよりかわいい咲に、俺の視線は釘付けになっていた。




京ちゃんとの待ち合わせした場所に向かうと、そこには既に京ちゃんが待っていた。

京ちゃんはグレーのジャケットに私がプレゼントしたアクセサリーをつけて、

いつもとは違う髪型で私を待っていた。

どうしよう、いつもよりカッコ良くて、ドキドキする……




「待った?」

「おう、待った。」

「もうそういう時は『今来たとこ』って言うところだよ!」

「咲を待つのは苦にならないから良いんだよ。」

「なにそれー?」

(お前を今か今かと待ちわびてたよ、楽しみにしすぎたみたいだな。)


「なぁ咲、前髪弄ったんだな。」

「あ、うん、京ちゃんも髪型変えたんだね。」

「その、なんだ、似合ってるぞ。」

「あ、ありがとう……京ちゃんも、その、かっこいいよ……」

「お、おう、サンキュー……」


「「…………」」


((やばい、なんか目が合わせらない(よ)……))


「な、なあ、咲、そろそろ行こうか?」

「う、うん。」





色んなところを回る。

中学のとき、初めて会った場所。

よく行った公園。

今でもお世話になる図書館。

思い出が沢山だ。

途中、突然雨が降ってきた。

天気予報では晴れるって言ってたのに……

鞄の中には折り畳み傘が入っていた。

でも、それを使えば京ちゃんとの二人だけの雨宿りの時間が終わってしまう……

そう思ったら溜め息が出ていた。




雨が突然降ってきて雨宿りするはめになっちまった。

近くでビニール傘でも買ってくるかと思ったが、咲が鞄を見て溜め息ついていた。

最初は雨が降ったからかと思ったんだが、どうやら違ったようだ。

ちらりと見えた折り畳み傘がやけに使われたがっているように思える。

本当はすげー恥ずかしいけど、思い切って言ってみる。

「しょうがないから咲の傘に入ってやるよ。」

多分今の俺は顔真っ赤になっていると思う。



京ちゃんが溜め息を吐いた私に対して笑いながらこう言った。

「しょうがないから咲の傘に入ってやるよ。」って。






<そのとき確かに音がした。>

<そのとき確かに聞こえた。>

<私が京ちゃんに。>

<俺が咲に。>



《恋に落ちる音が。》







今、京ちゃんと相合傘をしている。

傘を持った右手が震えてる。

息もまともに出来ないくらい心臓がドキドキしてる。

恥ずかしくて京ちゃんの顔がまともに見れない。

でもこの状況が凄く嬉しい。

だから思ってしまう。


今、咲と傘を一緒に持っている。

正直傘を持つ左手の感覚も遠くて、震えている。

咲に聞こえているんじゃないかと思えるくらい心臓がうるさい。

でもこの瞬間が凄く愛しい。

だから願ってしまう。


《ああ、この時間が永遠に続けば良いのに……》






やがて雨が止む。

ああ、もう傘は必要ないのか、と残念な気分になってしまう。

傘を閉じて、しまう。

そのあとお互いに口を開いた。


「なぁ……」
「ねぇ……」

「「手を繋ごうか。」」




ほぼ同時だった。

お互い同じ事を考えていて嬉しくなった。

それから手を繋ぎながら駅まで一緒に歩く。

幸せな時間が続く。

相手の手のぬくもりが伝わってくる。

恥ずかしいけど、離したくなかったこの手が一番の思い出になりそうだ。

そうこうしている内に、駅に着いてしまった。


ねぇ、電車が来ちゃったよ……

これでお別れになっちゃうのかな……

行くなって言って抱きしめてくれないの?


ああ、電車が来ちまった……

これでお別れになるのかな……

今すぐにでも抱きしめて行くなって言いたい……





(なんてな)
(なんてね)


咲にそんな事出来ない、やっとお姉さんと一緒に暮らせるんだ。

俺が邪魔できるわけ無い。


京ちゃんがそんな事しないのわかってる。

きっと私のことを思って言わない。





「咲、俺、迎えに行くよ。」

「私も待ってる、電話もするしメールも一杯送るね?」

「ああ、俺もするよ、だから……」





発車のベルが鳴る。

かき消された声の先は唇の動きでわかった。

彼が何を言おうとしたか。

メールの着信が来た。


『俺以外の男に振り向くなよ。』

「京ちゃん以外の男なんて、見えるわけが無いよ。」

『必ず迎えに行く、そのときは聞かせてくれ。』

「うん、待ってる、答えはまた今度会った時に応えるね……」

カンッ!

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奥様、私は奥様の遺言が無くとも龍門渕家に骨を埋める所存でございます。

何故なら……私は……



私は彼女と神の前で誓ったのだから。


「病めるときも、健やかなるときも、死がふたりを分かつまで……」と。


私はこの身が朽ちるまで透華お嬢様、いえ、透華さんを一生かけて守っていきます。



【とある執事の誓い】

カンッ