真夏の夜の淫夢 ver.ネコ


「ニャ~」

京太郎「猫?」

 後ろから猫の鳴き声が聞こえた。

 振り返るとそこには毛並みの良い三毛猫がぺたんと座り込んでいた。

京太郎「どうしたんだ?親とはぐれたのか?」

 しげしげと俺の顔を覗き込む野良猫は、その頭を撫でようとした俺の手を

するりと抜け、まるで勝手知ったる我が家のように廊下を闊歩し始めた。

京太郎「あっ、おーい待て」

 とっとっとっと。とリズム良く小走りに走る猫は廊下の角を二度三度曲がって

とある部屋の前で止まったのだった。その部屋は小蒔さんの部屋だった。

京太郎「なんだよ?俺に入れって言うのか?」 

猫「にゃん」

 嬉しそうに一声鳴いた猫は、そのままするりと部屋の中へと入り込んでいった。

京太郎「大丈夫だよな?」

 誰に確認を取るわけでもなく、一人呟いた俺は意を決して部屋の中に入る。


ドアを開け、小蒔さんの部屋に入ると


「「「「「にゃ~~~~~~!!!!!」」」」」 


京太郎「うわっ!?なんだこりゃ!?」

 五匹のネコ達が一斉に俺に飛びついてきた。

黒猫「にゃっ!にゃッ!にゃ~~~!!」 

白猫「にゃ~!にゃー!にゃ~」

チビネコ「にゃにゃにゃっ!」

デブネコ「にゃんっ!にゃんッ!にゃ~~~!!」

三毛猫「にゃあ!!」

 まるで飼い主にじゃれつくようにして、俺に飛びついてきたネコたちだが、

当の俺はこのネコたちがどこから来たのか分からず、途方に暮れるしかない。

京太郎「困ったな....でも...」 

 小蒔さんのベッドに腰掛け、遊んで欲しいとじゃれつく五匹のネコたちを

座らせ、どうしたものかと考える俺の目にある物が飛び込んできた。

 それは乱雑に脱ぎ散らかされた5着の巫女服だった。

京太郎「いや、まさか...いやいやいや、ありえないって...」

 頭の中に浮かんだあり得ない答えを否定する。

ネコたち「にゃあああああ!にゃああああああ!!にゃああ!!」

 頭をブンブン振って思考の外に今思ったことを忘れようと努める俺に

ネコたちは必死に鳴いて、何かを訴えかけてくる。

京太郎「人がネコに変わるなんて、カフカの変身かよ...」

 確かあの話の最後は、主人公は二度と元の姿に戻れなくなったんだっけ?

京太郎「困ったな....」 

 もし俺の考えている事が当たっていたら、彼女達はこの先ネコの姿のまま

命尽きるその時まで余生を送らなければならない。

 しかし、俺にはどうする事も出来ないの。

 となると....

京太郎(よし!これは夢だ。夢なんだ)

 もうこの状況を楽しむしかないじゃないか!

 半開きになっているドアを閉め、鍵を閉める。

 同時に窓の戸締まりも完璧に済ませ、蟻一匹逃げられないようにする。

京太郎「さーて、お前ら。もふもふされる心の準備はいいか?」

 しまった!というような声が聞こえてきそうな鳴き声を上げたネコたちは

三々五々に散らばって俺から逃げ出し始めた。

 チビネコは飛び上がり、何とかドアノブに手を伸ばそうと悪戦苦闘するも

悲しいかな子猫が少し大きくなった程度の身長ではドアノブに掠る事さえ

出来なかった。

 その点、白猫と三毛猫は賢かった。

 勉強机の裏側に潜り込み、何とかして自分達の身を守る事にとりあえずは

成功したからだ。

 そして、最初の犠牲となってしまったのは一番とろそうなデブ猫だった。

デブ猫「ニャーっ!にゃーっ!にゃあああーっ!」

 他の四匹と比べ二回り以上大きなデブ猫は、必死に逃げようとするも、

その余分についた肉のせいで暫くするとハァハァと息切れを起こし、耳を伏せ、

尾っぽを後肢の間に巻き込んでいた。

京太郎「ありゃ、嫌われちまったかな」

 体を丸め、目をぎゅっと閉じて俺を拒もうとするデブ猫だったが、それが妙に

男に対してウブなあの人の反応を否応なしに想起させる。

京太郎「霞...可愛いぞ...」

デブ猫「ニャ、ニャ..ァッ...///」

 伏せられた耳に息を吹きかけ、他の猫達に聞こえない程度の囁き声で囁く。

 人の体とは勝手は違うが、ついている器官は殆ど同じだった為、どこを触れば

気持ちよくなるのか、どこを撫でれば感じるのかを探すのには苦労はしなかった。

 前足の肉球を親指の腹で擦りながら、少しだけ立った左耳を甘噛みし、前足の

付け根から肋骨、腹部をさわさわと痛くならないように何度も愛撫する。

 時々モニュッ!モニュッ!と強く腹や背の肉を握るようにして撫でるのを

織り交ぜながら、俺はずっとデブ猫の全身を余す所なくいやらしく触り続けた。

デブ猫「アウウ....アウウウ~~~~...///」 

 盛りのついた雌猫が雄を求め、本能を揺さぶる鳴き声が部屋に木霊する。

黒猫「ナーオ...///ナーオ...///」

チビ猫「フーッ!フーッ!」

三毛猫「オアーン!オアーン!」

 姿が猫に変わったとは言え、六女仙のまとめ役があられもない醜態を曝しながら

公開羞恥プレイをしているのだ。発情しない方がおかしい。

 ズリズリと自分の身体を俺に押しつけ、もっと快楽を貪ろうとする卑猥な雌猫は

物欲しそうな視線を向ける三匹の仲間に勝ち誇ったような顔をし、満足げに喉を

ゴロゴロと鳴らした。

 ふと俺は自分のズボンが少し湿っている事に気が付いた。

 デブ猫はトロンとした表情で、俺のズボンの上で腰をクイクイと押しつけながら

恍惚に浸っている。

京太郎「見てろよ...見てろよ...」

 デブ猫を抱きかかえた俺は、彼女の体を真っ正面へとその向きを変え...

京太郎「っせーの!」

 ネコが反応できない早さで、後ろの両足を引っ掴み左右へと広げた!

デブ猫「ニャアアアアアアアアアア!!!!!」

デブ猫「フギャッ!フギャッ!フギャァアアアアッ!」

 痛みからか、それとも羞恥からなのかは分からないが、デブ猫はとにかく

今まで聞いた事の無いような耳を劈く大声で泣きわめいた。

白猫「だめぇええええ!!!」

 その瞬間、白猫の口から聞き慣れたあの人の声が飛び出してきた。

京太郎「小蒔さん?!く、くそっ!やっぱりそうだったのか!」

 白猫、もとい小蒔さんが声を発したと同時に残りの三匹も声を取り戻した。

初美「クソッ!ってなんですかー!京太郎ー!」 

 子猫のように小さな身体のネコが

巴「変態!スケベ!」

 つやつやの黒い毛並みのネコが

春「また霞ばっかり...ずるい...」

 しょげかえって元気を無くした三毛猫が

 徐々にネコの姿から人の姿へと戻りつつあった。

京太郎「あわわわわ....」

京太郎「嘘だろ?なぁ...嘘だって言ってくれよぉ!皆ァ!」

 まだ撫で足りないのに...まだ四匹もモフモフしてないのに...

京太郎「あんまりだろ...あんまりだぁああああ!!」

~~~

~~


京太郎の寝室

京太郎「やめろぉおお....俺をもふもふするなぁ...」

京太郎「こらぁ!春、どこ触って....にゃ~っ!」

小蒔「まぁ、ふふふ....」

小蒔「京太郎様、私はいつでも準備は万端ですからね」

小蒔「でも、出来る事なら夢の中でも私を一番に考えて欲しいです」

小蒔「霞ちゃんよりも、私の事を...」

小蒔「では、これにて真夏の夜の夢はお仕舞いといたしましょう」

 完!

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最終更新:2018年04月29日 23:08