私は弱っちいやつが嫌い。だってあいつらは努力もしないで人のことをズルしてるだの陰口ばっかり。
ま、努力したって勝てたりなんかしないんだけどね。それが才能の違いってやつ。
私より強いのはテルーぐらい。あとは全部下。まー、虎姫の皆は遊び相手になるくらいにはついてこれるからいい。
でも亦野先輩はずっこい。牌を円状に並べるとか角がないじゃん。あまりにひどい。
あ、泣いてないよ? 泣いてないからね?

なんかちょっと話がそれたけど、とにかく私は弱いやつは認めない。
だからテルーの幼馴染ってだけででかい顔をしてる、金髪のうどの大木は邪魔。
今日もテルーに差し入れってお菓子を持ってきたから半分奪ってやった。やーい、やーい、悔しいだろ。

ていうか金髪で一年とか私とかぶってるから染めてくるべきだと思う。弱いやつは弱いなりに立場をわきまえるべき。
どうせあの金髪も裏では私のことを悪く言ってる。だから正面から悪く言う私の方がずっと正しい。

なのにテルーも他の虎姫の皆もあの金髪に甘い。そんなに男に嫌われたくないのか? ちょっと色気づきすぎじゃない?
なんでか私が悪いことにされる。ずっこい、卑怯だ、なんかやましい手口で皆を騙してるに違いない。
この大星淡ちゃんは高校100年生だから騙されない。
そうだ、あいつの本性をばらせば皆も目を覚ます。そうと決まったら尾行開始。

1日目、ぼろを出さない。流石に人を騙してる奴は演技してるんだ、生意気な。

2日目、3軍に麻雀で負けてた。これだから弱いやつは。悔しそうにしてるのに打つのはやめない、無駄なのに。

3日目、調理室でクッキーを作ってた。差し入れは手作りだったのか、既製品だと思ってたのに。
美味しいのが悔しいから4分の3とったらテルーが泣いた。わ、私は悪くないよ?

4日目、2軍の雑魚がまーた私の悪口言ってる。ふん、痛くもかゆくもないもんね。
でも金髪は『実力で見返した方が向こうはもっと悔しがると思いますよ』なんて言ってた。
いやいや実力で淡ちゃんに勝つとか無理だから。だこらそいつらは万年2軍なの。
こそこそと逃げていく2軍の姿に金髪は不思議そうにしてた。こいつ、なんかずれてない?

5日目、無謀にも金髪が私に勝負を挑んできたのでコテンパンにしてやった。
『次は負けねー』だって。次も負けるよ、だって淡ちゃんの方が強いもんね。なんで諦めないんだろ。

10日目、なんかもう飽きてきた。いつまでたっても誰の悪口も言わないし、負けると悔しがるくせに何度御勝負を挑んでくる変な奴だし。
そういや名前、なんて言ったっけ?

13日目、須賀が告白されてた。生意気な。でも好きな奴がいるからって断ってた。
須賀の好きな人、テルー? いやいや不釣り合いでしょ、諦めなよ。

14日目、テルーに探りを入れてみる。なんと脈あり。
すっごいむかむかする、今日はサボる。

15日目、須賀が手土産持って見舞いに来た。いやただのサボりなんだけど。
言い出すのもなんだから美味しくお菓子は頂きました、ご馳走様。
ところであんたテルーは諦めた方がいいよ。え? 『好きなのは目の前にいる』? それって……


私は過去の日記を見返してその時々の自分の想いを思い出す。
結局、あいつの強さが麻雀とは全く別のところだって気付くのにかかった時間はそこからも長かった。
いやー、高校100年生でも間違うこともあるよね、あはっ。

京太郎「おーい淡、早くいくぞー」
淡「少しぐらい待てキョ-タロー、ほら愛しの淡ちゃんが腕を組んであげる」
京太郎「お前、また照さんに飛ばされたいのか?」
淡「つ、次は勝つしっ」

48日目、大星淡は彼氏のキョータローと楽しく毎日を過ごしてます、まる

カン

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最終更新:2018年04月29日 23:05