カチッ

京太郎「ここはこっちかな」

和「うん……牌効率がしっかりしてますね。 ちゃんと裏ドラも見てますし」

京太郎「あれ以来裏ドラが何か当てるのが楽しくなっちゃってさ。 ……っと」

 リーチッ

京太郎「うげっ……安牌無い……」

和「捨て牌見るにそこまで心配するほどじゃないと思いますけど……」

京太郎「そ、そうなの?」

和「ええ。 多分……123か234での三色。 待ちは1-4mか2-5じゃないかと」

京太郎「ぜ……全然わかんねぇ……。 ……あっ」

ツモッ. サンショクドージュンッ

京太郎「ほ、ホントに下の三色だ……!」

和「えっへん」

京太郎「やっぱ和はすごいなぁ……」

和「ふふっ。 それほどでもっ♪」


京太郎「今日もありがとう、和」

和「どういたしまして。 お疲れ様です」

京太郎「後半、和に頼りっぱなしだった気がする……」

和「須賀くんは基礎と牌効率はわかってきても、捨て牌読みはまだまだなんですね」

京太郎「うぐっ……。 で、でも嶺上開花を4回も決めたぜ!」

和「そ、それはたまたまです! 今日はたまたま運が良かっただけです!」

京太郎「そうなのかなぁ……。 咲の打ち方を真似してだけなのに……」

和「そんなオカルト……ありえませんよ……」


京太郎「じゃあ、俺こっちだから」

和「はい。 気をつけて帰ってくださいねっ」

京太郎「そりゃこっちのセリフだよ」


京太郎「おやすみ、和」

和「ええ。 おやすみなさい、須賀くん」


咲「……これは?」

京太郎「うーん………。 ま、マンズの3-6?」

咲「ぶー。 正解はソウズの1-4でしたー」

京太郎「ま、まるで違う……。 ……次」

咲「……これは?」

京太郎「何だこの捨牌……。 ……ヤオチュウ牌……だと思うけど……」

咲「よく見てよ京ちゃん……ピンズが1つもないんだよ?」

京太郎「あっ……」

咲「ダメダメだね!」

京太郎「ぐぬぬ……」

咲「ふふ……」


咲(悔しがってる京ちゃん……可愛いなぁ……)


咲「つ、次行こ! 次!」ハァハァ

京太郎「息荒いなお前」


京太郎「あー………」

咲「結局一回も当たらなかったね。京ちゃん」

京太郎「んなこと言ったって……捨て牌だけで待ちを正確に当てることなんて出来るわけねえよ……」

咲「京ちゃんの場合、おおよそすら当たらないじゃん?」

京太郎「……うっせ」

咲「えへへっ」


咲「さーて罰ゲーム、罰ゲーム」スッ

京太郎「あれ……。 箱おっきくなってねえか?」

咲「え? そ、そうかな~?」

京太郎「前の箱……それの半分位だった気がするんだけど……」

咲「き、気のせいだよ。 うん、気のせい気のせい!」

京太郎「そうだったっけ……」

咲「ぶ、ぶつくさ言わずにさっさと引く!」グッ

京太郎「痛い痛い! わ、わかったから押し付けんなって!」

咲「ううー!」


京太郎「……実際どうすりゃいいかねぇ……」

咲「んー? 待ち牌読みのことー?」ゴロゴロ

京太郎「ああ……。 数こなすのが一番ってのはわかるんだけどさ……」

咲「今日だって和ちゃんと一緒にお勉強したんでしょ?」

京太郎「和には牌効率について重点的に教わってるからな。 捨て牌読みはそんなに……」

咲「んー……。 じゃあさ、牌譜読んでみればいいんじゃない?」ゴロゴロ

京太郎「牌譜? 牌譜か……。……でもウチにそんなのねえし……」

咲「そこの本棚にいくつかあるよ。 好きにとってっていいよ~」ゴロゴロ

京太郎「おお、助かる」

咲「それじゃ、牌譜貸す代わりに後10分追加ね~」ゴロン

京太郎「えぇ……。 いい加減膝疲れてきたんだけど……」

咲「~♪」ゴロゴロ

京太郎「聞いちゃいねえわ」


――罰ゲーム:幼馴染に膝枕



京太郎「ここでリーチ入って……」ペラッ

京太郎「……? 何でここで5s打つんだ……?」ペラッ

京太郎「あ、通るのか……。 うーん……」ペラッ


京太郎「あー………」ゴロン

京太郎「……駄目だ……さっぱりわかんねぇ……」


「なんじゃ京太郎。ダレとるのぅ?」


京太郎「あっ」

京太郎「まこ先輩」


まこ「ようっ」




まこ「牌譜読んで勉強か? 感心感心」ナデナデ

京太郎「んっ……。 そうなんすけど……」

まこ「ん?」


まこ「ふむ……なるほど」

まこ「待ち牌読みの為に牌譜を読み始めたはいいもののさっぱり身につかない、と」

京太郎「はい……」

まこ「この牌譜……プロの牌譜じゃな。 京太郎にはまだ難しいじゃろうに」

京太郎「全ッ然考えがわかりません……。プロは何見て打ってるんんだ……」

まこ「あー……」

まこ「京太郎。 ちょっくら待っとれ」

京太郎「?」



まこ「いらっしゃーせー!」

京太郎「……」

まこ「とは言っても今日は客じゃがのうっ」

京太郎「あの……確かにリアルの方が良いとはいいましたけど……」


京太郎「なんでまたメイド雀荘なんすか」


―――
――

まこ『多分お前は文字面で見たところでイメージが湧かんじゃろ』

京太郎『んまぁ……できればリアルの牌のほうがわかりやすいっすね』

まこ『じゃろ? んなら話は早い。 行くぞ京太郎』

京太郎『へ? 行くって……どこへ?』

まこ『決まっちょろう?』


まこ『リアルで打てる所じゃ』


―雀荘:roof-top

咲「お、おかえりなさいませ……」

和「おかえりなさいませっ、須賀くん」

京太郎「さ、咲に和! どうしてここに……」

まこ「わしが呼んだ。 ……つーか呼ぼうとしたらあっちから来たんじゃ」

京太郎「へぇぇ……。 流石、和。 メイド服もよく似合う」

和「そ、そうですか? ふふっ、ありがとうございますっ」

咲「……。 ……きょ、京ちゃん!」

京太郎「おう?」


咲「お、おかえりなさいませ……ご、ご主人様っ」

京太郎「……」

咲「……」

京太郎「……」

 ナデナデ

咲「! ……えへ、えへへ……」


まこ「ほらほら、イチャイチャすんのは後にせいっ。 バイトじゃバイトっ」

和「はい。 じゃあ私はあそこの雀にでも……」

咲「い、イチャイチャなんて……してないもん……」

スタスタ...


京太郎「……それで? 俺も一緒に打ってこいって事すか?」

まこ「んーにゃっ、ちと待っとれ。 あと一人、待ち人がおる」

京太郎「……?」

まこ「この雀荘はノーレートなんじゃがな。 それでも好んでここに来るプロ雀士がおる」

京太郎「……そ、それって」

まこ「そう。 ……人は彼女を」


まこ「『まくりの女王』と呼ぶ」


ガチャッ

藤田「ふいー。 まこー、カツ丼おねがいねー」




まこ「藤田さん、いらっしゃい。 今日はよろしくおねがいしますわ」

藤田「ん……。 例の子がその子?」

まこ「そうです。 一年の須賀京太郎です」

京太郎「あ、どうもっ」

藤田「ふぅん……。 走りだしの新米って感じね……」

京太郎「むっ……」


まこ「京太郎。 今日はお前、打たなくていい」

京太郎「えっ?」

まこ「藤田さんの打ち筋を見せてもらえ。 そんで考えろ」

京太郎「は、はぁ……」

まこ「……いいか? 京太郎。 これはちゃんと覚えとけ」


まこ「藤田さんは、プロじゃ」

京太郎「………」


藤田「ふむん……」チャッ

京太郎「おっ……」

京太郎(東一局、6巡目でチートイ一向聴……)

京太郎(このままリーチ……か?)

藤田「……」

藤田「気に入らないわねっ」チャッ

京太郎「えっ!」

京太郎(りゃ、二向聴に戻すか? 6巡目だからって余裕持ってんのか……?)


藤田「……」チラッ

京太郎「……?」

藤田「……ふふっ」


藤田(わっかんないだろうねぇ……。 トーシロちゃんにはっ……)


藤田「ごめんなさいね。 それ、ロンよ」

京太郎「……な、なんだと……」

京太郎(結局6巡目チートイから……わずか4巡でメンタンピンイーペーコードラドラの跳満手……)

京太郎(あのままチートイで引っ張ってったら……テンパイが出来なかった……)

京太郎(それどころか……!)チラッ


モブ「あっちゃぁ……。 和了りは純カラだったかぁ……」

京太郎(当たり牌を阻止しての和了り……!)

京太郎(チートイだったら振ってたかもしれない……)


藤田「ふふっ……」ニヤニヤ

藤田「どうよ? 少しは勉強になりそうかね?」クルッ


京太郎「……っ、」

京太郎(場の流れを読む力と相手の当たり牌を事前に読む能力……)


京太郎「これが……プロかっ……!」


藤田「またねー」

まこ「ありやとーしたー」

 バタンッ

まこ「……どうじゃった? 少しは勉強になれそうじゃったか?」

京太郎「……」ブツブツ

まこ「……ん?」


京太郎「降りる様に攻め、攻めるように降りる。 テンパイ気配は悟られないようにする。 流れは掴んだら離さない……」ブツブツ

まこ「……お、おう……」

京太郎「んっ……、ああ、まこ先輩」

まこ「わりゃぁ大丈夫か? 顔が赤うなっとるが……」

京太郎「ああ……。 ちょっと興奮気味でして…・…。 やっぱプロはすごいっすね……」

まこ「……得たものは合ったか?」

京太郎「はい! 間違いなく!」

まこ「……ふっ。 そうかそうか」

 ナデナデ


まこ「いいか、京太郎。 お前は確かに素人じゃ」

京太郎「……うっ」

まこ「じゃが、素人らしい吸収力がある。 お前の持ち味はそこじゃ」

京太郎「……」

まこ「見たモノをしっかりと刻み、そして活かす力が……お前にはある」

京太郎「……」

まこ「焦るな京太郎。 大丈夫、お前は日々強くなっとる」ナデナデ

京太郎「……」

京太郎「……どうも」

まこ「ふふっ」


まこ「……若さにまかせて突っ走るのもええじゃろが、無茶だけはするなよ?」

まこ「お前を待っとる子がおるんじゃから」スッ

京太郎「?」


咲「京ちゃーん!!」



京太郎「あっ……」

まこ「ふふっ……咲に心配かけたらゲンコツ食らわしたるわ!」

京太郎「そ、それは嫌ですね……ハハッ」

まこ「……そら、行ってこい」

京太郎「……はいっ!」


京太郎「ありがとうございましたっ!!」

ダッ...


まこ「ふぅ……」

まこ「………わしにも子供ができたらあんな感じなのかねぇ……」

まこ「………」

まこ「……京太郎が子供……か」

まこ「ふむ……」

まこ「悪くないな」ニヤリ



咲「こ、これはっ?」

京太郎「……1-4-7s。 役は多分……一気通貫……かな?」

咲「す、スゴイスゴイ! 大正解だよ京ちゃん!」

京太郎「おー当たったか」

咲「一日でこんなになるなんて……。 ……雀荘行った甲斐があったね!京ちゃん!」

京太郎「おうっ」


京太郎「つーわけで今日は罰ゲームしなくていいよな?」

咲「えっ……」

京太郎「そ、そんな泣きそうな顔しなくても……」

咲「そ、そうだよね……京ちゃんは上手くなったんだし……」

京太郎(めっちゃ涙ぐんでる!!!)

咲「……罰ゲームの必要は……もう……」

京太郎「……・あー」


京太郎「や、やっぱ罰ゲームが無いとやる気でねえなー」

咲「っ、」ピクッ

京太郎「今日はどんな罰ゲームやる予定だったのかなー。 気になるなー」

咲「き、気になる!!?」

京太郎「うおっ」

咲「そ、そんなに興味があるならやってあげようかなー」

京太郎「お、おうおう! 興味津津!」

咲「えへへ……しょ、しょうがないなぁ~京ちゃんはぁ……。そんなに言うんだもん、仕方がないなぁ~……」ゴソゴソ

京太郎「ははは……う、嬉しいなぁ~……」

京太郎(傍から見たら俺、ドMみたいだ)




ナ,ナンデ メイドフク モッテキテンダヨッ !!

ニアウカラッ! ゼッタイニアウカラッ!!

イ,イヤダ-!! ソレダケハイヤダー!!!


優希「うが~流局かぁ……。 アタシの6-9pどこに居るんだじぇ?」

和「私は持ってないですよ」

咲「あ、9pなら一枚……」

京太郎「ああ、やっぱ6-9pだったか」

優希「じぇ?」

京太郎「ホラよ」パタッ

優希「じぇじぇー!? 6pカンツ持ちに9p頭ー!?」

京太郎「あと多分……槓ドラ裏ドラに9p一枚……かな」

和「お見事っ。 次の槓ドラが9pですね」

咲「京ちゃんすごーい……」

優希「ぐぬぬ……。た、たまたまだじぇ! 偶然だじょ!」

京太郎「ハハハッ。 はいはい、偶然偶然」

優希「その余裕腹立つじぇー!!」



久「……ふぅん?」


久「須賀くん、最近調子いいわねー」

まこ「朝は優希と。 放課後は和。 帰ったら咲とお勉強じゃからのぅ。 そりゃ強うなるわ」

久「ず、随分タイトなスケジュールね……。……なんでアンタ知ってんの」

まこ「京太郎から聞いた」

久「あ、そう……」


咲「カンッ! ……っと、ツモッ! ツモ嶺上開花トイトイ……かなっ?」

京太郎「それ四暗刻じゃねえか! トばされたー!!」

優希「お、親っかぶり……」

和「さ、咲さんも絶好調ですね……」

咲「そ、そうかな? ……えへへ」


久「……咲も順調ね」

まこ「ああ……前より強うなっとる気がするわ」

久「……」

久(須賀くんのおかげ……かしら……)


優希「次だじぇ次! 今度は負けん!」

和「私も、負けてられませんね……!」

咲「負けないよぉ……!」

京太郎「おお……めっちゃやる気だ……」


久「ほぉ……」

久(みんなのモチベーションが上がってる……須賀くんを中心に……)

久(須賀くんが上手くなるほど……部のまとまりがより強くなる……)

久「……ふむっ」

久「咲。 交代してくれない?」

咲「部長」

京太郎「あ、なら俺が代わりますよ」

久「いや、須賀くん。 あなたはかわらなくていいわ」

京太郎「そっすか?」

久「ええ……」ニヤ

咲(……? な、なんか……怖い……)


久「リーチよ」チャッ

京太郎「おっと……」

京太郎(今出したのは3s。その直前に8s切りだから……)

京太郎(典型的間四軒……。 4-7s待ちで2sは通るな……)

京太郎「俺もリーチです」チャッ

久「あら、強気ね。 ……でも忘れてない? 須賀くん」

京太郎「?」

久「私の打ち方がどんなものか……ってこと……!」

京太郎「……あっ!」

久「ふふっ。 ロン、よ」パタッ

和「三枚切れの2s待ち!? こっちを切るほうが待ちは多いのに……」

久「裏が2つのってリーチ一発ドラ4。 12000よ、須賀くん」

京太郎「ぐっ……」

久「さぁ……」


久「次、行きましょ?」


京太郎「と、トビ……」

久「ま、こんなもんね」

和「三連続ハコテンとは……」

優希「アハハハ!! ざまあないじぇー!」

京太郎「うるせえこのやろ!」グリグリ

優希「ギャー!!」


久「さってと。それじゃ、生徒会の仕事残しちゃってたから行ってくるわ」

まこ「おーう」

久「咲、咲」

咲「あ、はい」

久「須賀くん、基礎はもう大丈夫だけど応用が全く出来てないわ」

咲「あー……。 やっぱり……」

久「そろそろステップアップしてもいい頃だと思うわ」

咲「……うーん……」


咲「だってさー」

京太郎「んー……。 応用なぁ……よくわかんねえなぁ」

京太郎「牌効率がわかって、相手の待ちが読める様になって、流れがつかめればいいんじゃねえのか?」

咲「確かに基礎がしっかりできるのは良いことだよ」

咲「でも逆に、基礎しか出来てないんじゃそこを狙い撃ちされちゃう」

京太郎「今日の部長みたいに、かぁ……」

咲「京ちゃんはどんな打ち方がしてみたい?」

京太郎「んー……あんま考えたことないな……」

咲「じゃあ個人のフォームを持ってみる、とかどう?」

京太郎「?……どういうことだ?」

咲「例えば私は嶺上開花の流れを読んでそれを応用にしてる。 和ちゃんは基礎を超えたデジタル麻雀だし、優希ちゃんは速攻の達人」

咲「自分にしか無いフォームを作るのっ」

京太郎「はぁ……なるほど……」


京太郎「とは言われてもなぁ……」チャッ

咲「あ、それだよ京ちゃん。 ロン」

京太郎「げっ」

咲「ちょっと考えがブレちゃったかな。ごめんね、京ちゃん」

京太郎「いや、別にいいよ。 確かに俺なりのフォームってのが欲しいと思ってた頃だし」

咲「いい心がけだねっ。 ……あ、ドラが6つ乗った」

京太郎「……はっ?」

咲「面前混一色三槓子ドラ6赤2……。 役満だねっ」

京太郎「……これで今日5回目のトビ……」

咲「えへへ……ごめんねっ。 はいっ、罰ゲームっ!」スッ

京太郎「……またメイドフクを着る……とか無いよな……?」

咲「な、無いよナイナイ! 大丈夫だから、安心して罰を受けてねっ!」

京太郎「変な日本語だ……」ゴソゴソ

咲「トんだから三枚引くんだよー」

京太郎「わかってらい」ゴソゴソ


京太郎「無難なのがいいけど……」スッ

咲「一枚目ー」

『幼馴染についてどう思うか』

京太郎「……なんだこれ」

咲「どう思います?」

京太郎「いや、そんな他人事の様に聞かれても……十中八九お前のことだろ」


京太郎「言うの?」

咲「言うの!」

京太郎「あー……なんていうかそのー……」

咲「うんうんっ」ドキドキ

京太郎「恥ずかしいけれど……」


京太郎「無くちゃならない存在、かな」

咲「 」


咲「うぇえええ!?」

京太郎「麻雀がこんなに楽しいなんて知らなかったし……」

京太郎「言っていいのかわかんねえけど、まぁ……強くなってきてるみたいだし?」

京太郎「元をたどれば全部お前のおかげなんだよなっ」

咲「あ……あう……////」

京太郎「毎日俺の面倒見てくれて、ありがたいったらない」

京太郎「それに、お前と一緒だと麻雀がすごく楽しいんだ」

咲「そ、そんな……////」

京太郎「俺の人生……もう半分はお前のもんだよ……」

咲「京ちゃん……」

京太郎「咲……」

―――
――

咲「なんてことになったりして! キャー!」

京太郎「な、なにトリップおこしてんだ……?」


咲「むー……」

京太郎「いや……幼馴染は幼馴染だろ」

咲「そーいうのじゃなくてぇ……もっとこう……」

京太郎「なんだよ? 超えるべきライバル、とでも言えばよかったのか?」

咲「な、なんか嫌だ……」

京太郎「だろ?」

咲「うー……」

京太郎「………」

京太郎「咲」

咲「?」

京太郎「確かにお前は俺の幼馴染でそれ以下でも以上でもない。 ……だけどな?」

咲「う、うん」


京太郎「少なくとも、今の俺があるのはお前のおかげだよ」

咲「ふぁ」

咲「……////」 


京太郎「これは答えにならないか?」

咲「そ、そんなこと無いよ……」

咲「……すごく嬉しい……」


京太郎「それじゃ、また明日な」

咲「う、うん……またね……」

咲「きょ、今日やったことを明日にも活かせるようにするんだよ?」

京太郎「おーう。 じゃーなー」

咲「……」

咲「今の京ちゃんは私のおかげ……」

咲「……えへへっ……」

咲「……あっ!!」

咲「あと二枚! 引いて無いよ京ちゃん!」

京太郎「っ、」ギクッ

京太郎「じゃ、じゃあな~!!」ダッ

咲「こ、こら~!!」


優希「フォーム? そんなの気にしたことないじぇ」

京太郎「そりゃそうか。優希だもんな」

優希「……今の馬鹿にされた?」

京太郎「いや、褒めたつもり」

優希「そうかそうか!」


優希「アタシはただ流れに乗せて打ってるだけだじぇ」

優希「東発でとにかく決める!速攻ってかっこええべ?」

京太郎「南場は逃げるってかっこ悪いな」

優希「うるじぇー! 南場は流れが来ないだけだじょ……」

京太郎「ふむ……。 でもなんだかんだで優希の打ち方はわかりやすいよな」

優希「だろ? ほら、アタシ凄い!」

京太郎「ああ、ホント単純だよなお前は」

優希「……今の馬鹿にされた?」

京太郎「いや、褒めたつもり」

優希「そうかそうか!!」


和「フォーム……ですか? あまり考えたことはありませんね……」

京太郎「和もか……」カチッ

和「打ち方なんてものは自然と出来てるものだと思います。 私の場合はデジタル麻雀だったんですよ」

京太郎「やっぱそんなもんなのかなぁ……」カチッ

和「……あ、そこは」

京太郎「こっちだろ? 牌効率考えたらこっちのほうが良いよな」カチッ

和「あ……はい……」

京太郎「フォームなぁ……。 んっ」

リーチッ

和(さ、三巡目リーチ……)

京太郎「わっかんねぇなぁ……・。っと」

カンッ

和(ど、ドラ4……)

京太郎「どうすりゃいいんだろ……。 あ、ツモった」

和(SOA……)


和「す、須賀くん……。 今のは狙って?」

京太郎「ん? いや、ツイてたよ」

和「で、ですよねぇ……」

京太郎「ただ、なんとなく……」

京太郎「咲と和と優希のマネして打ってみようと思っただけだよ」

和「………」

和(もしかして……須賀くんのフォームって……)


京太郎「部長ー」

久「あら、須賀くん。 今、生徒会の仕事中だから……」

京太郎「あの、部活ん時俺とまた打ってくれませんか?」

久「? 構わないわよ?」

京太郎「よっしゃ! 楽しみだ!」

久「……」


久(昨日あれだけやったのに、随分と元気ね……)



―部活

久「それじゃあ、始めましょ」

京太郎「よろしくお願いします」

優希「まーす」

まこ「よろしゅう」


久「さて……と……」

久(また沈んてもらいましょうか……!)

久「リーチよっ」チャッ

京太郎「むっ」

和(部長の先制リーチ! ……須賀くんは?)

京太郎「………」

京太郎(最初の赤5p打。 その後も中張牌をまんべんなく切ってる……)

京太郎(普通ならチャンタ型の端っこ待ち……。 ……だけど)

久「ふふっ……」クスッ

京太郎(部長……だもんなっ!)


京太郎(これは……通すだろ……!)チャッ

 打1m

久「あら」

京太郎「……通し、ですか?」

久「ええ……通しよ」

優希「危なっかしいとこ切るじぇ……。 ベタオリベタオリっと……」打4p

久「ごめんなさい、それよ。 ロン」

優希「じぇー!? 第一打赤5pなのに間4p待ちー!?」


京太郎(……よっし。 やっぱり最初の一打はフェイク)

京太郎(『部長なら』……きっとそう打つはず……!)


久(これぐらいの待ちは読めてるってことかしら……)

久(ふふっ……面白い子……)


―東3局 親:京太郎

京太郎「んっ……!」チャッ

京太郎(いきますよ……部長!)

京太郎「ダブルリーチ!」ダッ

久「!」

京太郎「きましたっ、ツモッ! 4000オール!」

まこ「は、はえぇ……」

優希「そ、そういうのウチのお株なんですけど!」

京太郎「おう。 だからマネしてみたぜっ」

優希「んだとー!?」


久(本当に……優希のような打ち筋……)

久(……まさか……!)


京太郎「んっ……ツモりましたっ。 2000、4000!」

久「むむっ……」

和(凄い! ムダヅモ無しの満貫和了り……! 卒のない打ち方……!)

咲(まるで……和ちゃんのような……)

まこ「い、勢い付いてきおったな……」


久「リーチッ!」チャッ 打:4p

久(1p7pのバッタち……これなら?)

和(上手い! ピンズの処理を早めにしてからの4pで引っ掛け……!)

和(いくら須賀くんでもこれは……)

京太郎「………」

京太郎(……咲なら……どう打つ?)チラッ

咲「あっ……」

咲「……」グッ

京太郎「………」グッ

京太郎(そりゃ……そうだよな……!)


京太郎(咲だったら……!)


京太郎「その4pカンッ!」

久「なっ!」

京太郎「まだいきますよ!」

京太郎「んもいっこカンッ!」 5pカン

優希「おおおっ!?」

京太郎「まだまだっ!」

京太郎「さらに、カンッ!」 6pカン

まこ「なんじゃと!?」

和(こ、これで……)

和(これで……部長と同じ待ち……!)

和(1pと7pのシャボ待ち!!)

京太郎(和了れはしないけど振込もしない……)


京太郎「これで……どうです……!」


まこ「の、ノーテンじゃ」

優希「ノーテンだじぇ……」

京太郎「……部長……あなたの待ち、当ててみますよ」

久「、っ……」

京太郎「1pと7pのバッタ待ち……。 そうでしょう?」


京太郎「俺もそうですから」パタッ

久「……」


まこ「え、えーっと……親は優希のオーラス。 京太郎と部長に1500ずつだから……」

和「ど、同点……! 須賀くんと部長が、同点!」

優希「親に近い方優先だから……」

京太郎「あー……ははっ。 一歩及ばなかったなぁ……」


久「私の……勝ち……か……」




京太郎「ありがとうございました、部長。 やっぱ勝てないっすね」

久「………」

まこ「? ……部長?」

久「あ、あー! そういえば生徒会の仕事、まだ残ってたわ!」

咲「へ? それ、昨日終わったはずじゃ」

久「ちょっとだけ残しちゃったの! だから行かなきゃー!」

久「みんなお疲れ様! 気をつけて帰ってねぇー!!」ダッ

バタンッ....


優希「……あっという間に行っちゃったじぇ……」

まこ「……なんじゃありゃ……」


まこ(部長が……顔真っ赤じゃった……)





―女子トイレ

久「はぁ……はぁ……」


京太郎『部長……あなた待ち、当ててみますよ』

京太郎『1pと7pのバッタ待ちでしょう?』

京太郎『俺もそうですから』


久「~!!」ブンブンブン


久(なによなによなによ! 何があなたの待ち当ててみせるよ!)

久(私と同じ待ちってなによ! そんなんでドヤ顔してんじゃないわよ!)

久(すっごくすっごくすっごく……!!)


久「ドキドキしちゃう……」

久「うわぁ……うわぁああああわわわわわ……!」



――

久「ふうぅ……。 なんとか収まったぁ……」

久「………」

久「あの打ち方……まるで咲のようだった……」

久「狙って? ……それにしては出来過ぎてる……」

久「……私が言えることじゃないかっ……」


久(あ、やっぱりまだドキドキしてる……)

久「……麻雀打ってこんなに胸打つの、久々だわ……」

久「………」

久「ふふっ……」

久「……あーあっ」


久「これだから麻雀って面白い!!」


咲「今日はすごかったね京ちゃん!」ナデナデ

京太郎「あ、ああ。 ありがとう」

咲「惜しくも部長に一歩届かなかったけど、それでもよくやったよ!」ナデナデ

京太郎「そ、そうか」

咲「えへへへ……。 京ちゃんの先生としては、お鼻が高いですよぅぉぅぉぅ」ナデナデ

京太郎「久々に怖いよお前」


咲「今日の試合で京ちゃんが一回りも二回りも大きく見えるよ」

京太郎「そりゃどうも。 まぁ確かに、得たものは大きかったな」

咲「でもこれで京ちゃんのフォームができたねー」

京太郎「えっ?」

咲「えっ?」

京太郎「俺……なんかフォーム出来てたか?」

咲「……」


咲「えっ?」


咲(ひょっとして……無意識? あれが?)

咲「きょ、京ちゃん。 打ってる時なにか意識してなかった?」

京太郎「ん? いや、特には」

咲「……」

京太郎「…・…ただ」

咲「?」

京太郎「『もし咲だったらどう打つかな』ってことだけ考えてた」

咲「………」

 ナデリ

京太郎「んっ」

咲「もぉ~京ちゃんは~!」ナデリナデリ

京太郎「な、なんだよ」

咲「ほんとにもぉ~。 京ちゃんはぁ~!」ナデリナデリ

京太郎「な、なんか、いつもと撫で方が……」

咲「もぉ~。 しょうがないんだからぁ~」ナデリナデリ


―それから数日後


京太郎「合宿ですか?」

久「そうよ。 長野4校合同合宿」

優希「龍門渕と~風越と~鶴賀と~」

まこ「そんでウチら清澄の4校での合宿じゃ」

和「県の団体決勝4校での合宿……ですか」

京太郎「そりゃ凄いな」

咲「衣ちゃんとまた打てるのかぁ……」

久「まぁそんなわけで、夏休み中に一週間の合宿をします」

久「周りは因縁付けた高校ではあるけれど、合宿中は共に戦う友達」

久「変な争いごとは避けるように」

咲「はい!」 優希「じぇー」 和「はい」 まこ「あいあい」


京太郎「それじゃあ俺はお土産を期待して待ってますよ」

久「えっ? 何言ってるのよ」



久「あなたも来るのよ? 須賀くん」



まこ「えっ」

優希「えっ」

和「えっ」

咲「えっ」

京太郎「 」



京太郎「 えっ? 」



―――続く?