照「」カチカチ

照「・・・う、うう」ホロホロ

照「奇跡は・・・起きないから・・・」

照「栞ルートがこんなにいいものだったなんて」

照「・・・」

照「私に妹なんていない・・・か」


翌日

咲「あ、お姉ちゃんおはよー」

照「ん、おはよ・・・!」

照(香里と栞はすれ違いを乗り越えて姉妹の絆を深められた・・・)

照(なら私と咲の絆をもっと深めるためには・・・)

照「・・・」プイッ

咲「あ、あれ?お姉ちゃん?」


照「ということがあった」

菫「・・・」

照「丁度本編とも年齢的に合致するし、そろそろ最大限に絆を深める頃合だろ思う」

菫「・・・」

照「時期的にズレてるけど、多分大丈夫」

菫(こいつは何を言ってるんだ・・・)


菫「いやいや・・・それはちょっと」

照「?」

菫「関係を修復しようというその姿勢はいいと思う」

照「うん」

菫「でも、妹を避けてた理由が唐突過ぎるというか弱いというか・・・無いよね?」

照「? 絆を深めるためだから、理由としては大きい」

菫(だめだこいつ・・・)


照「そうと決まれば即断実行」

菫「え?」

照「咲のいる街まで行こう」

菫「え? もう夜なんだけど」

照「急いで名雪。七年ぶりにあの街に行かないと」

菫「誰!?」


ブロロロロ・・・

菫(夜行バスなんて初めて乗ったなあ)

照「う、うぅーん・・・咲ぃ・・バニラアイス・・・」

菫(寝付くの早いなあ・・・何の夢見てるんだろう)

菫(そういえば名雪って誰なんだろ)カチカチ

菫(・・・Kanon?)


照(夢・・・夢を見ている)

照(終わりの無い、夢)

?「・・・る・・・」

照(懐かしいこの街で)

?「照・・・照ってば」

照「・・・遅いぞ」

菫「いいから早く起きて! すみませーん!今起きたのですぐ降りますー!」


照「着いたか・・・約束の街に」セノビッ

菫「照ってば寝付きいいのに起きるのは弱いよね・・」

照「はは・・お株を奪ったかな、ゴメン名雪」

菫「だからぁ・・・」

照「さあ行こう。学校まではもう少しだ」

菫「いいけど・・・こんな朝っぱらに人いるのかな」

菫「まだ六時前なんだけど」


菫「というわけで来てみたけど・・」

照「」

菫「・・・本日休校?」

照「馬鹿な」

菫「なんか書いてあるけど」

照「これは策略か?私と咲を会わせないための・・」

菫「なになに・・・」

『昨日校舎の窓が大量に割られる事件が起こりました。安全上の都合により本日は休校とします』

菫「物騒だなあ」


照「・・・・窓?」

菫「これは難しいかな・・・とりあえずホテルに戻って・・」

照「」ヨジヨジ

菫「照、戻ろ、って何してるの!?」

照「この先に魔物がいる・・・それが私と咲の邂逅を邪魔するというのなら」

照「・・・潰す!」ゴッ!

菫「パンツ、パンツ見えてるから!」


菫「これは相当まずいんじゃ・・他校に侵入って・・」カツカツ

照「仕方無い。これしか方法がないと言うのなら」カツカツ

菫「はあ・・・でも、ほんとに窓ガラスが割られてる・・・不良とか?」

照「いや、違う。これは間違いなく魔物の仕業」

菫(なんだそれ・・・)

照「・・・来るぞ」

菫「え?」

カツン・・・カツン・・・


菫「な、なに?段々近づいてくる!?」

照「シッ、相当近い・・・この廊下の先だ!」

菫「ろ、廊下の先って、行き止まりなのに誰も・・!」

カツンカツンカツン・・・タタタタタタ!

菫「っひ、いやああああああ」

照「名雪!くっ・・・待て、一人じゃ危ない!」

タタタ・・・カツ、カツ・・・


菫「っはあ、はあ、ふう・・・」

照「落ち着いたか、名ゆ・・・菫」

菫「な、なんだったのあれ!」

照「わからない。けれど状況を考えるに・・・」

菫「な、なに・・?」

照「魔物か、それに類するもの・・か?」

?「なかなかいい洞察かな」


?「ただ魔物というには、私達では随分非力だ」

?「間近で見た身としては、辞退させてもらいたいな」

照「その顔・・・見たことがある。なぜこんなところに?」

?「なぜ、ということもあるまい。同じ県内だ、練習試合程度ならいくらでも都合がつく」

照「・・・質問を間違えた。なぜ、こんな魔物の徘徊する場所にいる?」

照「加治木、ゆみ」

「・・・ふ、決まっている」

ゆみ「私が、魔物を狩るものだからだ」


照「魔物・・・さっき、上の階に姿の見えない足音があったが」

菫「そ、そう!近づいてくるのに見えなくて!気配も無くて!まだ朝なのにっ!」

ゆみ「ふむ・・・それは例えば」

照「ん、すみ」ピクッ

?「こんなふうっすね~!?」ガバチョッ

菫「っひいいいいいいいいやああああああああ!!!!」

照「れ、後になにかいるぞ。気をつけたほうがいい」

ゆみ「・・・君は随分冷静というか・・・動揺しないようだな」


ゆみ「そうか・・・妹に会いに来たのか」

照「ん。それなのにこんな状況で・・・咲ぃ・・・」

ゆみ「ふむ、しかし本校舎はこの有様だが、部活棟は無事のようだ」

ゆみ「それに今日は四校練習試合の日でね。そっちで待っていれば来るんじゃないかな」

照「!そ、そうか!よし、待っていてくれ咲!」


桃子「私達は先輩の車が飛ばしすぎちゃって、早く着いてしまったっす」

桃子「それで好奇心で潜入して・・・ちょっとふざけてみたけど、やりすぎちゃった感じっすね~」

菫「ううう・・」


部室にて

智美「わははー、お前らよく来たなー。まあゆっくりしていけー」

ゆみ「果報は寝て待てというだろう。まあ寝る必要は無いが」

照「待つか・・・7年待ったんだ、今更数時間程度、どうということはないな」カタカタカタカタ

ゆみ「・・・どうも、君は立つか歩くかしていた方が良さそうだな」

桃子「うーん、菫さんもこんな調子っすからねー。気晴らしに散歩でも行きましょうか?」

菫「だ、誰のせいだと・・・うう」

桃子「ほらほら、いくっすよー」

智美「わははー、じゃあまたなー」


照「・・・この辺りは、随分と風が心地良い」

菫「はあー・・・うん、だいぶ良くなってきた」

桃子「眺めもいいっすからねー。ものみの丘っていうらしいっす」

ゆみ「物見というわけか・・・確かに、街を一望できる良い場所だな」

ゆみ「そういえば、少し行くと神社があるらしいが・・・」

照「神社か・・・7年の誓いを果たすために、願掛けにでも行こうか」

ゆみ「そうか。私とモモはもう少しここに居てから戻るから、君達も好きに戻るといい」

照「ああ、わかった」


照「ここが神社か、小さいけど趣はある」

菫「ん・・・木漏れ日とか、良い感じかな・・」

?「そう?それは良かった。細々と掃除してたかいがあるわ」

菫「ひぇっ!」

照「・・・その顔は」

?「予定外のお客さんだけど、身内というか、部員のお姉さんを無碍にするわけはいかないか」

久「いらっしゃい、宮永照さん。私は清澄高校麻雀部部長、竹井久です」

菫(なぜ巫女服・・・?)


照「・・・咲は、まだ居ないか」

久「うん?それは、まだ六時過ぎたところだもの。早すぎるわよ」ヨッコラセ

照「早すぎるというわりには、わざわざ朝早くに巫女服で掃除する物好きが居るようだけれど」

久「あはは、まあねえ。でも毎日ってわけじゃなくてね。今日はたまたま」オイショ、ット

照「・・・部長が部室を他校の生徒に任せてもいいの?」

久「うーん、いいんじゃないかしら。県内じゃ顔も売れてる人達だし・・・あー腰痛い」トントン

菫(なんだか、おばさんくさい)


久「ま、好きに部室なり使ってちょうだい。貴方と卓を囲みたいって人は多いと思うし、飽きないと思うわよ」

照「今日は打ちに来たわけじゃない・・・けど、まあ構わないか・・・」

菫「じゃあ・・・部室に戻る?」

照「そうしよう」

久「そ。私もそう時間かけるつもりはないから、後で合流するわ」

照「・・・その前に」

久「?」

照「・・・この辺りに狐とか」ウズウズ

久「見たことないわねえ・・・」


菫「照って狐好きだったっけ?」

照「いや・・・ただ、狐くらいいてもおかしくないかな、と」

菫「ふうん・・・それにしてもそろそろ秋めいてきたね・・・風に穂が揺れて、朝なのに幻想的」

照「ん。雰囲気としては悪くない。咲と一緒に来れたら・・・」ハフゥ

菫「ははは、照は妹が好きだね・・ちょっとベクトルずれてるけど・・・やっぱり彼氏とかより、妹が大事?」

照「男なんて別に・・・」

菫「そーか・・・」


菫「あ・・・誰か居る」

照「!咲!?」ハッ

?「ほう・・・咲ちゃんの名前を知っているとは、おぬしも呪われたタコスの末裔・・・」

?「我がタコスを見出す力はさすがだじぇ」

照「・・・」

菫「えっと」

?「しかしタコスの屋台は神出鬼没!それに合わせて起きられない様じゃまだまだよのう」

?「なぜ屋台は帰ってしまうのか・・・永遠の謎だじぇえ・・・」

?「屋台が来て・・・ずっと屋台だったらいいのに・・・」

照「行こう」


照「・・・部室まで戻っては来たものの」

菫「なんだか人が増えてる・・・」

透華「あら・・・なんだか見たことのある人ですわね」

智紀「・・・チャンピオン」

純「はー?なんでそんなもんがここに居るんだよ」

ゆみ「ああ・・・妹さんに会いに来たとかでな」

純「ふうん・・・宮永咲、か?」

照「・・・」

純「それならここで待ってた方が早いだろ、なあ、それまでどうだ?」

照「・・・わかった」


ヒュウゥゥ

照「ツモ、300・500」

純「へえ、チャンピオンってのは随分軽い手で上がるんだな」

一(・・・純くん、ああ言ってるけど・・・)

ゆみ(彼女の上がり方からすれば、ここからが・・・)

ヒュウウウウウ!

照「ツモ」

照「ツモ」

照「ツモ。11600オール」

ゆみ(・・・止められない・・!)

純「っく・・・」


照「ツモ。これで下家がトんで終わり・・・」

佳織「あ、あわわわわ」

智美「わはは、圧倒的だなー」

智紀「・・・・お疲れ様でした」



久「さすがチャンピオンねー、手も足も出なかったわ」

菫「まあ・・・なんだか今日はやる気に満ち溢れてるみたいだし」


照(気配がする・・・)

照(咲の近づいてくる気配が!)


カチャ・・・
まこ「やー、おはようさん」

久「あら、まこ。おはよう」

まこ「また人が多くきとるのー」

久「ええ、まあね・・ああ、丁度いいわ。咲も一緒だったのね」

咲「は、はい・・・おはようございます」

久「おはよう。今日は貴方にお客さんよ」

咲「え?」


照「・・・・・・・・・・・・・・」ピクピク


照「・・・・・・・」

咲「あ、お、お姉ちゃん・・・」

照「・・・・・・・」

咲「会いに来てくれたの・・・?」

照「・・・・・・・」

咲「あ、あの・・・」


照「わ・・・・・」

咲「う、うん・・・」

照「私に妹なんていないわ」

菫(おいいいいいいいいいいいいいいいィッ!)


咲「え・・・?」

照「」

ゆみ「あー、えっと、照、でいいか? 照が来たのは妹さんと会うためなんだろう?」

菫(表情が凄いことになってる。あんな照は初めて見た・・)

照「・・・・!」ダッシュ

咲「あ、お、お姉ちゃん!待って!」



透華「なんですの、この空気・・・ちょっとすばらですわっ」

一「透華って昼ドラとか好きだもんね・・」


照「う、う、うううううう~!!」ダダダダダ

照「む、無理だっ。顔を見るだけで・・・・」

照「私の馬鹿ァああ!」

照「うーーーーーーーっ!」



照「はあ、はあ・・・」

照「・・・・学校の、門まで来てしまった」


照「もう嫌だ・・・・私がこんなに弱かったなんて・・・」

照「せっかく、せっかく思い切って会いに来たのに・・・」

照「菫まで巻き込んで、逃げられないようにしたのに」

照「勝手な理由で咲を避けて・・・」

照「勝手に菫を振り回して、逃げ出して」

照「もう嫌だ・・・このままどこかに消えてしまいたい・・・」

照「う・・・・ひっく、ううううううううう」


京太郎「ふんふふーん」

京太郎「・・・・世界1位です」

京太郎「なんてなー」

京太郎「今日は合同練習だから、女の子いっぱいだぜ!」

京太郎「ま、見てるだけだけど・・・風越の部長も来てるかなーっと」

京太郎「・・・ん?・・・あれって」


照「う、う、うわあああああああ」


京太郎「照さん・・・だよな?咲のお姉さんの」

京太郎「今日の練習試合って県内だったよな?・・・それよりなんで泣いてるんだ」

京太郎「・・・えーい、ままよ!」


京太郎「あ、あのー、どうしたんですか?」

照「! う、うぎゅ、っく、な、なんでもなひっ!」

京太郎「なんでもないって・・・それなら泣かないんじゃ」

照「!? う、うるさいっ!」ドン!

京太郎「う、うわ!?」ギュッ

照「ううううー!」

京太郎(な、何かよくわからないけど)

京太郎(腕の中が柔らかい!)


京太郎「あ、あのー」

照「・・・う、うっく」

京太郎「その・・・咲に会いに来たんですか」

照「う、っく」ビクッ

京太郎「・・喜ぶと思います。あいつ。結構ことあるごとに言ってましたから」

照「・・・・」

京太郎「お姉ちゃんに会いたいとか、嫉妬しちゃうなーってくらい・・・はは」

照「・・・っ」

京太郎「だから・・・泣いたりするより、笑顔のほうがあいつも喜ぶんじゃないかなー、なんて」

照「う、う・・・・」

京太郎「だからその・・・もう少ししたら、部室行きません?それまでは・・・俺も男ですし、胸くらい貸しますよ」

照「・・・・・ん」


照「・・・・」グスッ

京太郎(く、臭すぎたか・・・?)

照「一つ・・・・教えて欲しい」

京太郎「は、はいっ!」

照「私は・・・私は何のためにここに来たの・・・だろう」

京太郎「え、あの、えーっと」

京太郎「わかりません」

照「・・・ふふっ」

照「ありがとう。君のおかげで少しだけ勇気が出たよ。今なら、行ける気がする」

京太郎「はは、どういたしまして・・・少しだけですか」

照「ああ、少しだけね・・・すまないけど、部室まで案内してくれないかな」ギュ

京太郎(な、ナチュラルに手を握られてしまった・・・)


咲「はっ、はっ、はあっ!・・・」

咲「お姉ちゃんどこいっちゃったんだろう」

咲「会いにきてくれたんじゃないのかな・・・どうして・・・」

咲「う・・・」ジワッ


菫「安心していいよ」ポン

咲「う、え、あ」

菫「照は今日、君のために来たんだ・・・多分ね」

菫「どんなに動揺していても、一度決めたことは覆す奴じゃない。だから君は、ぐっとこらえてあの馬鹿を待っていてやって欲しい」

咲「で、でも、私は・・・お姉ちゃんみたいに強くないし・・・」

菫「強い?まさか、さっきも見ただろう。照はてんでダメだよ。君のほうが遥かに強い」


菫「だから申し訳ないけど、私は君に頑張って欲しい」

咲「え・・・」

菫「君が頑張って照を受け止めてくれれば、きっと照は自分を出せるんだ」

菫「まったく・・身勝手な奴だよ、宮永照は」

咲「わ、私に・・・できるでしょうか・・・」

菫「できるとも。及ばずながら応援させてもらうよ」

咲「・・・・」

菫「さ、照が戻ってきた」

菫「ふぁいと、だよ」


照「・・・さ、咲」

咲「う、うん。お姉ちゃん」

照「」

咲「・・・」

菫(おい、照!そこで固まるなッ!)

照「!あ、え、と、そ、その、あの」

咲「う、うんっ!」

照「えっと・・・・」

咲「うん・・・」

照「」

京太郎(こ、これは・・・)

菫(こうなったら・・!)

京太郎・菫「「麻雀しよう!」」


照「ま、まーじゃん」

咲「・・・麻雀?」

菫「そう、せっかく4人居て、それぞれ麻雀が得意なんだ・・・多分」

京太郎「そ、そうですよ!俺だって麻雀打つくらいはできますし!」

菫「よ、よし!なら会話は麻雀の中で!牌で語り合おう!」

咲「・・・うん、私はいいよ、お姉ちゃん。もう一度、麻雀を打とう?」

咲「点数じゃなくて、お互いのこと、知るために!」ゴッ!

照「・・・・」

照「ん、私も、こっちのほうが随分とわかりやすい・・!」ゴッ!

菫「はは・・よし、私達も頑張ろうか」ゴッ!



京太郎「へっ?」


ジャラジャラ

透華「なんとなく状況は掴めますけれど」

優希「あの面子には無理だじぇー」

ゆみ「実力差は如何ともしがたい・・すぐに飛ばされなければいいが」



京太郎(聞こえてますって・・・)

照「ツモ」

菫「ロン」

咲「ツモ、嶺上開花」

京太郎「や、やばい・・・」


京太郎「頼む・・・!ここで飛んだら男の甲斐性が・・!」

照「・・・ふふっ」

菫「ん?」

照「い、いや、なんでもない」

咲「・・・?」

京太郎「ぬおおおおお!」





京太郎「ツモ!天和!」

菫「え」

照「な」

咲「は」


ざわ・・・ざわ・・・

京太郎「どーだっ!これが俺の実力!」

優希「なんというタコス力・・!奴はタコス王家の末裔か・・・」

佳織「はー、凄いですねー」

一「う、嘘でしょ!?初めて見た・・・」


菫「これは・・・」

菫(トップ取りは難しい・・・ならせめて)

京太郎「おーしっ!ここからだぜ!」

菫(しかし・・・このおかげで)チラ

照「・・・」ズズズ

咲「・・・」グググ

菫(二人とも、少しは心をさらけ出せるかな)

京太郎「りーちっ!」

菫「ロン、1万8000」

菫(残り1局。頑張って)


咲(最後の親番・・・)

咲(結局、普段通りの麻雀になっちゃったな・・)

咲(・・・もう、ゴールしてもいいよね。うん、お姉ちゃんと麻雀打てただけで満足だよ)




衣「ならば、去ね」

咲「っ! 衣、ちゃん」

衣「天意が降りるを見てみれば、垂れる金糸に目を向けない徒。衣の好きな咲じゃない」

菫「・・・そうだね、私に強制できることじゃ無いけれど、君はそれでいいのかい?」

咲「引世さん・・・」

菫「菫でいいよ・・・君には、どうか後悔しないで欲しい。その打ち方でいいのなら、いいけれど」


咲(打ち方・・・私の、後悔しない打ち方)

咲「・・・・」

咲「ツモッ! 500オール!」


マジ衣ちゃんのセリフとか無理


咲(私はお姉ちゃんと仲直りしたい!)

咲(なんて言葉をかけたらいいのか、全然分からないけど・・・!)

咲「ツモ!1300オール!」

咲(私は)

咲「ツモッ!7700オールッ!」

咲(お姉ちゃんが大好きなんだ!)

咲「ツモ!1万2千オール!」


照「咲・・・」

京太郎「照さん、俺には牌で語るなんてことできません」

照「・・・」

京太郎「でも、さすがにここまで咲が打ち方を変えるなんて・・・それもチャンピオンの打ち筋にするなんて、ただの気まぐれとは思えません」

照「・・・」

京太郎「何か伝えたいこと。照さんなら、感じ取れてるんじゃないですか?」

照「・・・咲」

京太郎「今度は、照さんの番だと思います。もうオーラスで、次上がったら咲が俺の点数を上回りますよ」

照「・・・ずるいな、君は。男ならもっとはっきり言ってくれ」

京太郎「いやあ・・・そういうのはもっと仲良くなってからというか」

照「ふふっ・・・そうか、もう少し、仲良くなってからか」


照(咲、咲の思いは痛いほど伝わってくる・・・!)

照(だから私の思い、口にできなかった私の思いを受け取って欲しい・・!)

咲「リーチ!」

京太郎「・・・」トン

照「っ、カンッ!」



和「大明槓・・・?」

睦月「なんでまた・・」

純「へ、面白いじゃんか。吉と出るか凶と出るかってな」


照(上がり牌)

照(でも・・・)

照「カン!」


照(また・・!)

照「カンッ!」

照(もう一枚・・!もう一枚来れば!)

咲「・・・本気なの?お姉ちゃん」

照「・・・」

咲「なにしようとしてるのかは、多分皆分かってるよ。でも、それって凄く難しいことだと思う」

照「それでも・・・」

咲「う、ん」

照「咲に、届けたいから」

咲「・・・うん!」


照「カン!」


透華「す、四槓子!?」

まこ「無茶苦茶やのー・・・」

ゆみ「頭が痛くなってくるな」



照(奇跡は・・・)

照(起きないから奇跡って言うんじゃない!)

咲「お姉ちゃん・・・」

照「来い・・・!」ギュルルルルル!









照「・・・・・」

照「ツモッ・・・!四槓子!」


菫「終わってみれば、えーと、京太郎君?の一人勝ちか」

京太郎「はは・・偶然ですし、照さんが上がってなければ、咲が勝ったと思いますけどね」

菫「いや、天和なんて珍しいものを見せてもらったんだ。運も実力のうちさ」




照「・・・咲」

咲「お姉ちゃん」

照「そそ、その、あの」

咲「・・・・ありがとうおねえちゃん」ギュ

照「!あ、あっ、あっと・・・・うん」ギュ

咲「私、ずっとお姉ちゃんと仲直りしたかった・・・」

照「うん、うん・・・私も・・・」



菫(原因はしょーもなかったけど、なんとかいい形に収まったかな)


ガチャ
美穂子「すみません、遅れました」

久「あら・・いらっしゃい。ちょっと出遅れちゃったわねー」

美穂子「え?」

久「いやいや・・・ところで、それ何?」

美穂子「あ、はい。これは」

池田「遅れた侘びだ!受け取れぃ」

美春「来る途中で屋台があって・・」

久「ふうん、たい焼き。時期が早い気もするけど、みんなでありがたくいただきましょう」


久「おー、人数分あるある。さすが美穂子、気が利くわねー」

美穂子「い、いえそんなことは」

池田「むむむ・・・」



照「咲はどれがいい?つぶあん?こしあん?カスタード?このオレンジ色のジャムは・・マーマレード?」

咲「つぶあんかな・・・なんだかそのジャムは嫌な予感がするからやめた方がいいよ・・」

照「京太郎は?」

京太郎「!?っぶ!ゲホッ!な、なんですか急に!」

照「いや、仲良くなる必要があるだろう」

京太郎「ひ、必要なんですかそれ!?」

照「・・・まあ、嫌じゃあ、ないな」



菫「あーあ、今朝からの昼でこの変わり様。怖いもんだ」

咲「・・・」

菫(こっちはこっちで・・・どっちを睨んでるのかよくわからん)


時間は流れ、夜

菫「じゃあ今日はこれで失礼します。駅まで送ってもらって、本当にありがとう」

照「咲・・・また今度、会いに来るから」

咲「うん、私からも会いに行くね」

京太郎「結構遠いんですよね?道中でこれでもどうぞ」

菫「缶コーヒー、か。ははは、ありがたく受け取っておこうかな・・・」

優希「夜行バスに缶コーヒーを渡すとは・・・鬼畜大魔神だじぇ」

まこ「そのへんはまだまだじゃのー」

久「ま、須賀君らしい気もするけどね」

和「?」

京太郎「え、あ、ああああああ!しまった・・・」


『3号車もうすぐ出ますー』

菫「っと、照、早く乗らないと」

照「ああ・・・」

咲「お姉ちゃん、またね!」

照「ああ!また・・・それと京太郎」

京太郎「は、はい」

照「一つだけお願いがあるんだ」

京太郎「お願い・・・?なんですか?」

照「ん・・・」

照「その、私のこと、なんだけれど」




照「私のこと、忘れないで下さい」


咲「・・・いっちゃった」

京太郎「だな。なんだか慌しかったけど、みんな楽しそうだったなー」

久「そりゃ、チャンピオンだからね。一緒に卓を囲めるだけで楽しいわ」

優希「あのちみっこと咲ちゃん姉妹、名雪姉ちゃんの卓はヤバかったじぇ」

和「偶然が過ぎる卓でした・・・見てて疲れました」

まこ「まー、確かに面白かったけどな」


咲「ね、京ちゃん」

京太郎「んあー?」

咲「お姉ちゃんと私・・・ううん、なんでもない」

京太郎「へ?」

咲「さ、帰ろう!」

京太郎「あ、ああ」


ブロロロロ・・・

照「ごめん菫、今日は急に付き合わせて」

菫「まったく・・・今度イチゴサンデーでも奢ってよ」

照「ん」

菫「7杯ね」

照「ん・・・んん?」

菫「あとはー、牛丼?肉まん?なんでもいいかな」

照「・・・ぐう」

菫「ちょっと、寝たふりは・・・」

菫「寝付くの早いなあ・・」

菫「ま、いっか」

菫「私も寝よっと・・・・」

おわり