阿知賀部室


京太郎「――これでよし」

京太郎「あー、やっと終わった。結構時間かかったな、新入生受け入れの準備」

 ガラッ

穏乃「お疲れー!」

憧「お疲れ様ー、こっちは準備終わった?」

京太郎「おう、お疲れー。丁度今終わったとこ」

玄「お疲れ様、京太郎くん。はい、これ差し入れだよ」>お茶のボトル

京太郎「ありがとうございます、玄さん」


憧「うん、確かにちゃんとできてる。これで準備は万端ね」

穏乃「だな! よーし、来たれ若人、どんとこい新入部員!」

京太郎「おいおい、まだ気が早すぎるだろ。部活見学は来週からだっての」

憧「シズ、テンション高すぎ」

穏乃「これがテンション上がらずにいられるかって話だよ! だって新入部員だよ!?」

穏乃「どんな子たちが来るんだろう、楽しみだなー!」

京太郎「そりゃ気になるのは俺も同じだけどさ」

憧「ちょっと京太郎、新入部員の女の子にセクハラしようとか考えないでよね」

京太郎「しねーよ! お前は俺を何だと思ってるんだ!」

京太郎「そういうお前こそ、新入部員の前で誤解させるようなこと言ったりするなよな」

憧「アンタが女の子の大きな胸が大好きなエロ男、とかそういうの?」

京太郎「そうそう、そういうやつ」

憧「今のは事実じゃない」

京太郎「そうだったわ」

玄「おもちが好きなのは悪いことじゃないよ!」

京太郎「玄さーん!」

憧「こらそこ、京太郎を甘やかさない!」

京太郎「あーそれにしても、動いたからちょっと暑いな。制服の前空けるか」

憧「あ、着崩すなら部室の中だけにしなさいよね。それこそ新入生に誤解されるわよ」

京太郎「分かってるって」バサッ

憧「ん……?」


京太郎「ふう」カピバラがプリントされたTシャツ

憧「(カピバラああああ――!?)」


憧「(えっ、ちょっと、待って。カピバラ? カピバラなのあれ!?)」

憧「(カピバラがプリントされた白Tシャツ――――だ、ダッサァ!)」

憧「(いくらカピバラが好きだからって、それはないでしょ!)」


玄「あ、京太郎くん、上着脱ぐなら私預かるよ」

京太郎「いいんですか? それじゃ、どうせだから脱いじゃうか」バサッ

玄「はい、お預かりします」ギュッ

憧「(スルー!?)」


憧「(え、どうして誰も突っ込まないわけ? 明らかにおかしいでしょあれ!)」

憧「(だってカピバラのプリントTシャツよ? 突っ込みどころ満載じゃない!)」

憧「(もしかして私が気にし過ぎてるだけ? 意外とアリなの? ヤバイ、訳分かんなくなってきた)」


憧「(――でも確かに、ずっと見てるとこれはこれでアリのような気がしてきたわ)」

憧「(こうクセになるダサさというか、イケメンがダサイ服着てるが故の愛嬌というか、無防備に見えるというか)」

憧「(そう思えば、なんか可愛く見えてきたかも――)」


灼「そんなにカピーのTシャツが気になるの?」

憧「ふきゅっ!? あああ灼さん、いつの間に後ろにっ!?」

灼「ついさっき、手続きが終わったから部室に戻ってきた」

灼「それより憧、カピーのTシャツなら憧の分も用意してあるよ?」

憧「え、私の分? ていうかカピー? あれカピーなの?」

灼「うん、そう」

京太郎「ああ、このTシャツか? 実はこのTシャツのプリント、うちのカピーなんだよ!」

京太郎「灼さんが作りたいっていうから写真渡したんだけど、俺たちの分も用意してくれてさ」

京太郎「結構気に入ってるんだよこれ」

穏乃「私も持ってるよ!」

玄「私も、この前灼ちゃんから貰ったんだ。お姉ちゃんも持ってるよ」

憧「なんだってー?!」

灼「」フンス


灼「大丈夫だよ、憧。憧の分もちゃんと用意してあるから」

憧「え、やーその、じゃ、じゃあ貰っちゃおうかなー!」

灼「はい、これ」サッ

憧「あ、ありがとうございまーす(っていうか私の分、持ち歩いてたんだ……)」

灼「これでカピーTシャツ愛用者がまた一人……」フフ

京太郎「やったぜ灼さん!」



憧「(……どうしよう、これ)」>カピバラプリント白Tシャツ



このTシャツが、後に阿知賀のマスコット『カピー』誕生の切っ掛けとなること、

そしてカピーグッズの先駆けとなることを、誰も知る由はなかった。


カンッ

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最終更新:2017年10月20日 00:50