霞に悪戯する初美と永水女子+京太郎

深夜二時。霞の寝室


京太郎「初美さん。本当にやっちゃうんですか?」

初美「当然なのですよー。復讐するは我にあり、なのですよー」

小蒔「霞ちゃんの驚いた顔に私、興味があります」

巴「よいしょっと。ハッちゃん、全部道具揃えたよ」

初美「よし!じゃあ節分代わりに霞の胸に物を落としましょう!」

「オー!」

霞「Zzzz...」

春「じゃあ...私が一番やらせて貰うから」

初美「さぁ始まりました!霞ちゃんに悪戯し隊の1回目の活動!」

初美「司会は薄墨初美が送らせて頂きます」

初美「さぁトップバッターは滝見春選手です。まず手にしたのは黒糖の袋!」

初美「それを1,2,3,凄い凄いぞ。放り投げた袋がバウンドしない」

初美「投げられた袋の着地の衝撃を全部胸が吸収している!恐ろしい!」

初美「それどころか...ププッ。寝間着がはだけている!コレは凄い」

巴「春ちゃん、もう良いでしょ。次は私の番」

初美「二番手は狩宿巴隊員。取り出したのは卵だ~!」

霞「う、う~ん」

初美「み、みんなー!外に出るのですよ~」

霞「だれぇ...うるさいわねぇ...」

京太郎「やべぇ!霞さん目ぇ擦って起きようとしてる!」

初美「京太郎!後は任せたのですよー!」

京太郎「ちょ!証拠品持って帰れよ!」

霞「だれぇ...そこにいるの?」

京太郎(まずい、まずいぜ...霞さんがこのままだと目を覚ましちまう)

京太郎(しかも、そこらへんに散らばってる皆の持ってきた物)

 発泡スチロールの板。卵、スライム、黒糖の袋、黒い髪のカツラ

京太郎(考えろ、京太郎。このピンチを乗り越える方法を考えるんだ!)

霞「ハッちゃん?また悪戯しにきたのぉ...?」

京太郎(こうなりゃままよ!)

京太郎「あ...ぁ...ああああ...」

霞「何?なんなの?!」

五人「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

 石戸霞が暗闇で目を覚ました時、目の前には長い髪をした女が五人いた。

霞「ぎゃぁああああああああああ!!!」

 長い間巫女を務める霞とて暗闇で蠢く得体の知れない『何か』と直面して

怯えないわけがない。何故なら彼女は18歳。まだ女子高生だからだ。

 電気スイッチを押そうとしても、そのスイッチのある場所は湿っていた。

霞「なに、この...ヌルっとしたの?」

 それは、初美の作ったスライムだった。
 水分をたっぷり含んだそれは夜目が利かない霞の生理的な嫌悪感と恐怖を
煽るにはそれだけで充分すぎる働きをこなした。

霞「いやっ、いやあああああああ!!!」

霞「あっ、あっ...ああああ....!!!」

 半狂乱になりながら後ろに下がった霞の足が何かを踏んづけた。
 ぐじゅり、と形容できる音を立ててそれは割れた。

霞「誰かぁ!誰かぁ!助けてぇえええええ!!!」

 霞が慌てて布団の中に潜り込んだのを確認した初美達は一目散に
部屋から飛び出し、それぞれの部屋へと逃げ帰る。フリをする

京太郎「霞さん!どうしたんですか!」

霞「うわああああああ!!!!きょきょきょきょ京太郎君」

霞「へへへへへ部屋にな、なにか何かいるのよぉおおおお!」

 ガタガタと歯を振るわせながら、必死の形相で京太郎にしがみつく霞。
 そんな霞をなんとかなだめすかして、部屋に入る京太郎。

京太郎「霞さん、なにもいないですよ?」

 部屋の中に誰もいないことを確認した京太郎は後ろを振り向く。

霞「あうううう....本当?」

京太郎「本当ですよ。さ、大丈夫ですから」 

霞「え、ええ」

 怯える霞はおずおずと部屋の中に入り、京太郎は曲がり角にいる
初美達にオーケーサインを出してから、扉を閉める。

京太郎「...霞さん、電気消しますよ」

霞「待って、電気消さないで!怖いのヤダぁ!」

京太郎「分かりました。じゃあ俺は部屋に戻りますんで」

霞「待って!いかなっ!」

 バチィン!

霞「京太郎君?」

京太郎「霞さん、俺...あ...ぁ...ああああ...」

霞「え?えっ?えっえっ?!何?何?何?」

五人「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

霞「いやああああああああああ!!!」

 このあと、京太郎達は泡を吹いて失神した霞の介抱や悪戯の後片付けに

追われる羽目になり、ろくに眠ることなく朝を迎えた。

 しかしこの悪戯で霞が心に負った傷は相当深く、夜一人で寝ることは

おろか、一人でトイレに行くことすら出来なくなってしまったという

とんでもない傷跡を残す結果を招いてしまった。

霞「怖いよぉ...」

京太郎「大丈夫っすよ霞さん。ちゃんと責任取りますから」

 若干の幼児退行を引き起こした霞の手を引きながら便所に向かう京太郎の

表情は、後悔とどこか晴れやかさを孕んだ物だった。

霞「じゃ、じゃあ。ちょっと待っててね?」

 トイレの扉の前にあるスイッチを押して、明かりをつける霞。

初美「...」

巴「...」

小蒔「...」

春「...」

 目の前にあるスイッチを押すか押さないかは、さて?どうなることやら。

 完