ガタンガタンッ

「ねぇ、開けて、開けて」

俺には何も聞こえていない。

「ねぇ、開けてよ!!」

隙間風の音だ、声なんかしない。
ガタガタと音を立てるドアが揺れる度に体がびくりと脈を打つ。
それでも俺は何も気にしていない、体が小刻みに震えていたとしても、それは寒気だ。

「やだよ、どうして開けてくれないの」

「あの時言ったよね、ずっと一緒だって」

俺には何も聞こえていない。

「どうして!!!???何が不安なの!?!?」

流石に五股はやりすぎたか、それでも過ちに気づいた頃には遅い。

だから俺は扉も閉ざして心も閉ざす。
なに、ほとぼりが冷めたら何事も無かったかのように振る舞うのさ、道化のように。

京太郎「咲……」

気がつけば夜が明けていた。鳥のせせらぎが狭い室内で反響する。

扉越しの声も、一生喚き散らすと思っていたドアも静かになった。
これで俺は何事にも縛られない、周りの目も、咲の痛すぎる優しさにも。

京太郎「……」

京太郎「ははっ……」

最低だな、俺って。

ドンドンドンドンッ

「きょうたろーー!!!また遊ぼう!!!」

次は衣。

「衣はあの時にした痴戯が忘れられない!!!」

ロリの身体は想像以上に色々と捗ったな、つるぺたなんすよ。もう本当に心地が良くて、ママって感じだ。ころたんはバブみとかオギャみじゃねぇ、あんなちゃちなもんじゃねえ。

ガンガンガンッ

「早く開けてくれ」

お次は智葉さん、あれ?俺詰んでね?あの人の親ってヤの付く自由業だろ?ここに居るってことは全てバレてません????コンクリートだけは嫌よ?やめてよね。

「全て許してやる、なに、三股くらい大したことない――」

ドンッ

「ねー四股ってどういう事ー?」

はい、死にました。

「なんでぼっちじゃないのかなー?」

なんで豊音さんが長野まで来るんだよっ!三股どころじゃないってバレただろ!!

「――私だが、始末してほしい人間が」

ドスの聞いた声が聞こえちゃってます。どうやってここから逃げるべきか、それとも土下座すべきなのか。まぁいいや逃げよう。

コンコンッ

「ノーノー逃亡はNGですよ」

死んだわ俺。

NGじゃあないんだよ、逃げられないんだよ。

京太郎「あばばばば」

咲「京ちゃん開けてよ!!説明して!!!」

衣「京太郎、挟撃圧殺と粉塵即殺のどちらが良い??」

良子「安心してください、私は許しますよ」

豊音「話は聞こうかなー?」

お、もしかしたらなんとかなっちゃう???ドアが今にもただの鉄になってしまいそうだけど、大丈夫??

智葉「あ、私は許さないからな」

ですよね。

「何してんのよ」

気がつけば後ろに回りこまれていた。
既に手遅れだったのだろう、フローリングが汗まみれだ。俺はどうしてこんなにも愚かな事を……

京太郎「って、お前は新子憧?」

憧「騒がしかったから様子を見に来たけど、どうなってんのよ」

アケロ-!!!!

京太郎「はははっ……五股かけた結果さ」

憧「最低ね、祟られるわよ」

京太郎「これから祟られる予定だな」

憧「ねぇ、私と一緒に逃げるっていう手段は無いかしら?」

京太郎「残念、逃げるにしても窓から飛び降りちゃ動けなくなっちまう」

こいつ、どうして垢の他人である俺と……会ったことなんて……それに、俺は罰を受けなければならない、とても重い罪の代償を。

憧「大丈夫よ、ロープあるから」
京太郎「よし、逃げるぞ」

憧「ノリがいいわね」

京太郎「さぁ!」

憧「楽しみましょう、これからずっと一緒に……」ボソッ

京太郎「……」

気になる所は沢山あるけども……

京太郎「ま、いっか!」

憧「ふふふ……」

後に俺は知る。

俺を追い詰めていた全てが録音であった事を。



カンッ

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最終更新:2017年10月12日 21:24