良子「京太郎さん……私、プロ雀士になりましたよ」

良子「インハイ団体戦は、ダメでしたけど」

良子「新人王――ルーキーオブザイヤーも受賞しました」


良子「約束……しましたよね?」

良子「私がプロ雀士になって、新人王になったら結婚しようって」

良子「……何で死んじゃったんですか?」

京太郎「いや、普通に生きてるから」

良子「あ、京太郎さん、お久しぶりでーす」

京太郎「久しぶり……なんで人んちの前で独り言喋ってたの?」

良子「いや、そろそろ帰ってきそうだと思って待ってたんですが暇だったので」

京太郎「そうか……まあ、外寒いから入れよ」

良子「きゃー、暗がりに連れ込まれるー」キャッキャッ

京太郎「うるさい」ペシッ




良子「……あれ? 意外と片付いてますね」

京太郎「男の家だからってナメんな」

良子「というか、アパートとかじゃなくて一軒家で暮らしてたんですね?」

京太郎「爺さんの持ち物でなー」

京太郎「まだ生きてるけど、空き家にしてても朽ちる一方だから住ませてもらってる」


良子「一人暮らしですか?」

京太郎「うん」

良子「…………」ニヤリ

京太郎「なんでそこでいやらしい笑いを浮かべるの」


良子「あ、これおみやげです」ヒョイ

京太郎「……恐山限定販売の経文香」

良子「ちょっと友達と観光に行ってたので」

良子「イタコさんに口寄せしてもらいましたよ――京太郎さんの」

京太郎「死んでねえよ」

良子「なのに呼び出せまして……一人称がワシだから吹くの我慢するの大変だったんですからね」

京太郎「きっと同姓同名の別人だったんだよ」


京太郎「……あー、その……新人王受賞、おめでとう」

良子「ありがとうございます」ペコッ

良子「約束、覚えてますか?」


京太郎「……覚えてる」

良子「私、大人になりましたよね?」

京太郎「うん……前からだけど、前よりきれいになったよな」

良子「じゃあ、結婚してください」

京太郎「……何で俺なんだ?」


良子「前も言ったじゃないですか」

良子「麻雀の腕のことであっても、人にあんなに強く求められたのは京太郎さんが初めてでした」

良子「一目惚れでした……けど、それはきっかけに過ぎなかったんですけどね」

良子「京太郎さんと一緒に高校生活を過ごして、プロ雀士になりました」

良子「私が頑張ってこれたのは、一緒に過ごして育んできた貴方への想いのおかげです」

良子「……京太郎さんは、私じゃイヤですか?」

京太郎「……ただの中年教師だぞ、俺は」

良子「知ってます――ただし、中年の前に結構熱血な、がつきますけどね」

京太郎「……直ぐにアラフォーになって、歳の差も結構あるぞ」

良子「考えてみたんですけど――私って歳上趣味なのかもしれません」

京太郎「おいおい……」


良子「まあ、観念してくださいよ」

京太郎「……わかった、結婚しよう」

京太郎「……約束だもんな」

良子「はいっ」

良子「これからずっと一緒ですよ」

良子「……不束者ですが、よろしくお願い致します」