明華「はーい、お待たせしましたー」

ネリー「キター!」

京太郎「おおっ、美味しそうですね」

ハオ「これは、なんというケーキですか?」


明華「ガレット・デ・ロワ。フランスでは年明けによく食べられる伝統菓子なんですよ」

智葉「へぇ、日本で言う、おせち料理みたいなものか」

ダヴァン「正確には、キリストの降誕を祝う日に食べるんデス」

京太郎「ん? それってクリスマスとは違うんですか?」

明華「えっと、キリストが生まれたのが12月25日、クリスマスですね」


明華「その後、東方から3人の博士がやってきたのですが、それがキリストが生まれて12日後のこと」

明華「その三博士により、この幼子こそが神の子であると示されたのが本日1月6日、エピファニーなんです」

京太郎「なるほど。クリスマスは人の子として、エピファニーは救世主として生まれた日なんですね」


ネリー「誕生日ふたつもあってズルい! ネリーも誕生日もいっこ欲しい!」

ハオ「欲しいのは誕生日ではなくプレゼントの方でしょう?」

ネリー「まーね」

智葉「あきれるな……」

明華「さて、切り分けますよー」

京太郎「あ、オレがやりましょうか?」

明華「お気持ちだけいただきましょう。実は、このお菓子には遊びが隠されています」

ハオ「遊び?」


明華「はい。このガレット・デ・ロワには小さな陶器の人形が入っていて、当たった人は王様になれるんですよ」

智葉「運だめしというわけか。面白い」

ダヴァン「おみくじでは不覚をとりましたが、ここで汚名挽回デス!」

京太郎「王様になったら、なんかもらえるんですか?」

明華「それは当たってからのお楽しみです」

ネリー「換金できるのだとうれしいな」


ダヴァン「では、私はコレをいただきましョウ」

ハオ「私はコレを」

京太郎「お先にどうぞ」

智葉「なら、こっちだ」

ネリー「ネリーはコレ!」

京太郎「じゃあ、オレはこの残ったやつで」

智葉「残りものには福があると言うからな」

ネリー「なんで?」

智葉「……さぁな」

明華「それでは、いただきましょう。フェーブに気を付けてくださいね」


京太郎「フェーブ?」

明華「中に入ってる陶器のことです」

智葉「む……どうやら私のには見当たらないようだ」

ダヴァン「私ノモ……残念デス」

ハオ「右に同じく」

ネリー「うあー、ハズレっぽい」

京太郎「おっ」カチ


京太郎「入ってた! これか、フェーブって」

ネリー「ホントに福あった!」

ハオ「ニワトリの人形ですね」

智葉「今年が酉年だからか。気が効いているな」

明華「おめでとうございます。では、京太郎君が王様ですね! 王冠をかぶってください」

京太郎「どうも。王様です」カポッ

ダヴァン「おめでとうございマス」

智葉「おめでとう。それで、王様になるとどうなるんだ?」


明華「今年一年、幸運がつづくと言われていますよ」

京太郎「いいですね! 麻雀にも適応されるといいなぁ。すこしでもいいから運が良ければといつも……」

ネリー「すこし程度でどうにかなるかな?」

京太郎「えっ」

明華「そして、今日一日は王様として振る舞う事が許されるのです。この間やった王様ゲームみたいな感じですね」

京太郎「マジすか!? っしゃあ!!」

ネリー「先に言ってよ! そしたらネリー本気だしたのに!」

ダヴァン「あやうく、暴君による圧政がはじまるところでシタ……」

智葉「まぁ、須賀ならそんなことはない、か?」


京太郎「ククク、やっとあの時(王様ゲームという名の女王様ゲーム)の借りを返す時が来たぜ……!」

ネリー「あわわ」

ハオ「えー……」

智葉「そんなことなかった」


京太郎「なんてね、新年早々ムチャぶりなんてしませんから。安心してください」

ネリー「ほっ……」

明華「私は、してもかまわないんですけど……それで、もうひとつ王様にしてほしい事があるんです」

京太郎「王様になんでも言ってみなさい」


明華「はい。王様になった人には『女王様』を指名してもらうんです」

京太郎「女王様ですか」

明華「『パートナー』を選んでもらいます」

京太郎「ん? なんか言い含んでます?」

智葉「ほう」

京太郎「この中から?」

明華「もちろん」

ハオ「なるほど」

京太郎「なにが?」

智葉「敗者復活戦というところか。いいぞ、好きなやつを選べ」


京太郎「好きなやつって……そういう遊びですよね?」

ダヴァン「キョウタロウはそのつもりでも、選ばれる方はそうじゃないかもしれまセン」

ハオ「ええ、遠慮しなくてもけっこうですよ」

智葉「そうだな、須賀の正直な気持ちが知りたい」

明華「私、最近よく思うんです。母をこころから安心させるには身を固めるのが一番ではないかと」

ネリー「ここはひとつ、ネリーという選択肢もあるんじゃないかな」


明華「あ、選んだ女王様には王様からキスしてもらいますからね」

京太郎「なっ!?」


智葉「だとさ。で、誰とキスしたいんだ?」

明華「私? それともあの娘?」

京太郎「いやいや、話すり替わってません!?」


カン