ハ-レムと言えば男の夢。
 しかし、複数の女性を囲むって言うのは実の所、死亡フラグだ。

「はあ」

「溜め息を吐くと幸せが逃げますよ」

 金銭面は問題ない。
 俺よりも妻たちの方が断然に稼ぎが良かったりするから全く困らない。ヒモと言われても否定できないのが精神的に少し辛い。

「そうは言いますけどねハギヨシさん……」

「誰もが羨むような生活をなさっているのですから、ご不満を漏らすのは如何かと」

 法律上、俺に妻はいない。
 学生時代のツケ、八方美人の振る舞いによる自業自得だとは分かってはいる。しかし、理解しても現状を省みれば不平の一つも仕方なかろうと言うものだ。
 まあ、血が流れるよりはマシであるが。

「そうですね……誰が聞いてるか分からないですもんね。それで今日のスケジュールは?」

「今夜はお嬢様と原村様のお二人になりますね。そんな顔をなさらないで下さい。ふふっ、友人としては困ってしまいます」

 人と人には相性がある。
 互いに補い合い高め合う関係もあれば、相互に憎み合い、足を引っ張り合うものもある。多人数が集まれば派閥も生まれ、今では混沌とした相関図が画かれている。
 その中でも和と透華の組み合わせは割りと面倒なものの一つだった。

「俺、何時か腎虚で死ぬんすかね?」

「ははは」

 ハギヨシさんは笑うだけで何も答えてくれない。目を逸らされた。
 テクノブレイク、腹上死、刺殺、ヤンデレそんな物騒な語彙が脳裡に浮かぶ。
 長く生きられる気がしない。
 最悪の一歩手前で踏み留まっているのだ。女同士の諍いは絶えず、不満が爆発しないようにと調整に奔走する綱渡りの毎日。胃が痛い。
 誰が寵愛されているか、射精回数、ピロトークの言葉、子供の問題、何もかもギリギリだ。
 今は妊娠、出産した組による未だ不妊の女性たちに対する挑発行為が本当に頭の痛い問題だよ。

「ご健闘を祈ります」

 友人の言葉に渇いた笑いしか漏れない。


カンッ!