京太郎「……ふう」

やばい風強い。部活終わってゆっくり出来る時間だからって下手なことするもんじゃないな。

こんな風が強い日に河原で本を読むとか難しかったか。

「……」

だいぶ冷えてきたな。そろそろ家に帰るべきか……?

「…………」

よし……っと?

ふと後ろから足音が聞こえて、腰を持ち上げるのを止める。

京太郎「?」

俺を通り過ぎず、むしろ俺の後ろで止まった……って、えっ?

誰? え、知り合い? なら普通に声かけてくれれば……と思いながら横目で確認すると。

咲「…………」

咲? 咲かよ。びっくりした。……でもなんで無言で俺の後ろにいんだ? てか座った?

まさかあれか? この状況、某漫画のアレみたくあんなセリフを俺に吐けと咲さまはおっしゃっているのですか?

たしかにこいつは文学少女だし、俺もなんとなくでここにいるけどさ……。

咲「…………」

うわあなんかそれっぽい。やるべきなの? ここに黒歴史をつくるべきなの?

でもまあ咲が相手だしな……。うん、ならいっちょ付き合うか。

京太郎「……今日は、風が騒がしいな」

さあどう来る?

咲「…………」

うわあすげえ真顔。入り浸ってるよ。確実にこの子この世界に入ってるよ……。

咲「でも少し、この風泣いています……」

なんか似合ってるんですけど咲さん。


咲「…………///」

うわなんかいきなり顔赤らめた。いまさら!? ここで恥ずかしがるの!?

で、でも今ならふつうにこのワールドから帰れるだろうしっ……?

…………優希? え、あいつ何してんの? あ、そういやこの道ってあいつの好きなタコス屋があるっけ。なるほど、帰りか。

でもなんで静かなの? いつもの騒がしさは? この世界をぶち壊す……あれ。

優希「急ぐじぇ京太郎……どうやら風が街に良くないものを運んできたようだ……!」

お前もかよタコスぅぅぅ!? ここでお前がノッてくるとは思わなかったよ!

咲もなに嬉しそうに笑顔浮かべてんの!? ちょっとかわいいなおい!

やばい、もっとはまってる。この世界に。

優希「…………」ドヤッ

おい優希さんよ、そのドヤ顔やめてくれませんか。お前明日のタコス半分な。

どうするんだこれ。もしもあの漫画通りであれば……あ、そうだ! たしかこの後助けが……来い!

「…………あ」

ん? 声が聞こえて思わずそっちを見る。

久「…………えっと?」

部長! さすが部長、普段の雑用とかもう文句言わないからこの場から助けてください!

部長はこっちを数秒見てすぐに思案顔をし、と思ったら瞬間こっちに走ってきた!

久「優希! 宮永さん! こんな時間から昼ドラ的展開は駄ぐはあ!?」

京太郎「部長ぉぉぉぉぉ!?」

最後まで言う前に咲が鞄で部長を全力で殴り飛ばした!?

優希「まったくこれだから部長は……駄目駄目だじぇ」

優希に言われたかねえと思うよ。

咲「はあ……いい雰囲気だったのになぁ」

咲がぼそっと呟いた声が聞こえた。やっぱそう思ってたか……。

京太郎「また今度付き合ってやるからよ、今日は冷えて来たし帰ろうぜ」

咲「……良いの? ありがとう、京ちゃん」ニコッ

……。

翌日、部長はあの部分の記憶を無くしてた。


カン! ※元ネタは「男子高校生の日常」という漫画です