京太郎くん、と呼びかける姉の声はどこまでも甘い。

呼ばれて振り返る彼の顔は、どこまでも嬉しそう。

見詰め合う二人の雰囲気は、姉の言葉を借りれば「あったかい」。

だけど私は、遠くから二人を眺めるだけ。

寒くて寒くて、仕方がない。

京太郎くん、と私も名前を呼んでみる。

彼は気付かない。ずっと、ずっと、気付かない。

それでも良かった。


――待つことには、慣れてるから。