それは、清澄と姫松とで行われた強化合宿での事。


京太郎「知ってた……男手に暇なんか無いって知ってた……」

関西有数の名門校と合同とあっては、必要になる物資も普段の比ではない。
姫松の側からも応援はでるが、京太郎もまた先陣を切って走り回ることになるのは当然だった。

??「あ、京ちゃん!」

そんな雑用でてんてこ舞いになる京太郎に声がかけられる。
彼を「京ちゃん」と呼ぶ人物は基本的に一人しかいないが、どうにも声色が違う。

京太郎(さては咲め、誰かの声を真似て脅かしてるつもりか……? 良いだろう、ミッション(雑用)が終わった待っていろ。つまらない裏切りを……)

京太郎「後悔させてやるからな咲ぃ!」


勢いよく振り返るその先には……


洋榎「……えっ?」

京太郎「……アンタ誰ぇぇぇぇっ!?」

咲「お、ようやく見っけたわ。勝手したらアカンて宮永」

京太郎「宮永はお前だお前!」グリグリ

咲「あっ!あたたたっ!?ちょっ、やめぇや自分!痛いっちゅうねん!」

洋榎「だ、ダメだよ京ちゃん!その人は……!」

――――――――


場所を移して、清澄校内合宿所・資材室


京太郎「……入れ替わりぃ?」

咲(洋榎)「せやで……ちょっと前に会場設営手伝ったろ思うて、廊下歩いとる時にな?」

洋榎(咲)「私がちょうど、曲がり角で愛宕さんとぶつかっちゃって、その後……」

京太郎「二人の中身が入れ替わってた、と? とりあえず他の誰か、部長か姫松の監督さんにも相談するか……」

咲(洋榎)「いや、そらあかんわ。あの二人に知られてみ?絶対に面白おかしい事にされんで……」

洋榎(咲)「でも、そしたらどうすれば……」

咲(洋榎)「まずは元に戻る方法探しながら、害がない内はウチら三人の秘密にしとこか。輪っか広げんのは、ホンマにどうしょうもない時や」

京太郎「大丈夫かぁオイ……」

咲(洋榎)「アンタもきっかりフォローしてくれんと困んねやからな?しっかりせぇよ男子?」

京太郎「うわぁ……咲から他人行儀にされんのって、地味に堪える……」

洋榎(咲)「愛宕さん、その……京ちゃんって呼ばないと、すぐバレちゃうと思います。昔からずっとそう呼んでますから」

咲(洋榎)「せやったら……あー、アンタも京ちゃんって呼んどってええわ。」

洋榎(咲)「え、でも愛宕さん、京ちゃんと面識ないんじゃ……」

咲(洋榎)「宮永は嘘とか演技とかダメそうやし、無理してもボロが出るだけやろ。ま、パツキンのイケメン男子が気に入ったとか適当言うとけば問題ないやろ」

洋榎(咲)「愛宕さん……」

咲(洋榎)「っと、あんま長話しとって探されても面倒やな……ほんじゃあ三人協力して、何とか合宿乗り越えよか!」

洋榎(咲)「分かりました!」

京太郎(不安しかねぇ……)


――――――――


30分後、会場広間にて


咲(洋榎)「それロンや、8000」

和「はい……えっ、さ、咲さん……!?」

咲(洋榎)「ふふん、牌効率も打ち筋も見事なもんやけど……それだけでかわせる程、ウチは甘くないで」

恭子「な、何や宮永、何か悪いもんでも食ったんか……?」


洋榎(咲)「カン、もいっこカン! ツモ、3100-6100です」

絹恵「お、お姉ちゃん……?」

洋榎(咲)「うん、麻雀って楽しいよね?」

まこ「……ほんなキャラじゃったかおんし?」


京太郎「スッタァァァァァァァァァァァップ!!」

京太郎(ええ分かってましたとも!内緒にする気あんのかよぉコイツら!?)


京太郎の胃に穴が開くまで、後……


カンッ