咲「京ちゃーん、もう帰り?じゃあ一緒に帰ろうよ」

京太郎「おー。…なぁ、咲。麻雀部の方はもういいのか?」

咲「…うん。麻雀が嫌いになったわけじゃないけど、私はもういいの。

 半端のままいても、和ちゃん達の邪魔になっちゃうと思うし」

京太郎「…そっか」

全国大会で清澄高校が初出場で優勝という快挙を遂げてから二年後…

あれ以来、咲は化け物じみた麻雀しなくなった。というより出来なくなった。

個人戦での激戦、さらに照さんとの和解を賭けた接戦で咲は奇跡ともいう様な牌譜を紡ぎ
見事照さんを打ち破り、正真正銘の高校生の頂点にたった。
だがそれは咲の全てを絞りだすような麻雀で、代償は大きかった。
照との和解を果たし才気を出し尽くした彼女にはもはや麻雀を続けるだけの気力も
モチベーションも沸かず、相手の牌も見えなくなったのだと言う。

清澄はあれ以来有名になり、竹井部長が引退して次の年には麻雀部には
新規入部希望者がどっと押し寄せてきた。
もちろん、その中には活躍した咲を目当てに来る者も少なくは無い。

元々咲は姉の照と出会う為に麻雀をやっていたものでそれが果たされた今は
ふっと火が消えた様にその気迫も抜け落ちた。
自分と周囲とのモチベーションの差に居た堪れなくなって来たのかいつしか咲は
部室にも来なくなり、こうやって自分にひっついてくるようになった。
かくいうオレも、周りとの差についていけなくなってフェードアウトした身だから
偉そうに言えた身分じゃないけど。

咲「京ちゃん、もう進路の方は決めたの?」

京太郎「進路ねぇ…ハンドボール部あるし●●大にしようかな~みたいな事は思ってるけどなぁ」

咲「そっか。じゃあ私もそっちにしようかな」

京太郎「おいおい、いいのか?照さん所の大学に行く手もあるんだろ?」

咲「うん。でもお姉ちゃんももうすぐ卒業で、その後はプロになるって言ってたし…

 私は、プロになりたいとか特にそういうのは無いから。

 京ちゃんは、やっぱりハンドボールのプロ選手になりたいとか思ってるの?」

京太郎「…いや、ハンドボールはなんていうか馴染があるってだけでさ。

   プロになりてぇだとかそんなたいそれた事は言わねぇよ。

   正直、中学でやりきったなって感じがするし」

咲「…そうなんだ」

京太郎「…あぁ、そういえば和は確か、卒業後はそのままプロになるらしいぜ。

   優希はなんかタコスを極めるとかいってメキシコに行くってさ」

咲「うわぁ、なんかすごいね。みんな、ちゃんと自分の道を行ってるんだね」

京太郎「……そうだなぁ。何も決めてないでフラフラしてんのって俺達だけかもな」

咲「……」

京太郎「……」

咲「ねぇ、京ちゃん」

京太郎「ん?」

咲「また、一緒になれたらいいね」

京太郎「…そうだなぁ」

カンッ