9月

優希「京太郎のタコスはおいしいじぇ~」

咲「京ちゃんってば麻雀はてんで駄目なのにね」

和「どうやら須賀君の才能は料理に関する才能のようですね」

京太郎(どいつもこいつも、オレのことパシリやがって...)

京太郎(麻雀が上手なのがそんなにいいことなのかよ)

久「須賀君...このタコスの作り方をおしえてくれない?」

京太郎(自分で調べて作れよ。それくらい出来んだろうが)

京太郎(デカい業務スーパー行けば全部必要な物は揃ってんだよ!)

まこ「ハハ。わしも京太郎のタコスが好きじゃけん」

まこ「もう一日三食タコスでもいい。それくらいやみつきじゃ」

京太郎「いやぁ...たかがタコスでみんな大げさすぎだと思うんだけどなぁ」

京太郎「ところで部長、そろそろ麻雀教えてくだs...」

優希「おかわり!」

和「わ、私もおかわりください!」

咲「私も!」

久「うーん。それじゃあついでに私も」

まこ「お、おい...おんしら、少しは遠慮っちゅうもんをな...」

京太郎「いえ。いいですよ。また今度に教えてくれれば」

京太郎「バイトあるんで、タコス作ったら帰りますけど。いいですか?」

久「あらそう。いいわよ」

京太郎「よーし。じゃあもっと美味しいの作ろうかなっと...」

優希「今度は空前絶後のやつ頼むじぇ~」

京太郎(ああ。お望み通り、『空前絶後』のタコスを作ってやるよ)



10月

優希「う~...なんだかここ最近調子が悪いじぇ~」

久「あ、優希もそうなの?困ったわね、明日が国麻なのに...」

まこ「困ったのう...わしも最近思い出せないことが多いんじゃ」

和「私も考えがまとまらない上、心なしか対々和での和了が多い気がします」

咲「それ分かる。私も嶺上開花になにか混じってる気がするんだ」

咲「なんて言えば良いのか...うーん、ツモが重いって言うか...」

京太郎「おいおい大丈夫か咲?しっかりしろよ」

京太郎「病は気からとか言うじゃん。なんか悩みがあるのか?」

咲「京ちゃん...///ううん、なんでもないよ」

咲「それよりもタコスは?」

京太郎「ああ、皆国麻で頑張ってるからな。特別メニューだ」

優希「ああ...タコスを見るだけで涎が異常に分泌されるじぇ...」

京太郎「優希はいつもオレのタコスを褒めてくれるからな、ほら」

京太郎「マトンのシャリピオン風タコス、ラズベリーソースがけ」

優希「あああ!京太郎のタコスはヘロインタコスだじぇぇええええ」

咲「きょ、京ちゃん。私の、私のタコスは?!」

京太郎「焦るなって。大丈夫、その期待は絶対に裏切らない」

京太郎「ジャガイモと山芋のタコス、六種の白身魚のポワレ添え」

咲「あっ...ああああ、もうだめ...手が、手が勝手に動いちゃう...」

まこ「きょ、京太郎...あああ、だめじゃあ!そんな殺生な」

京太郎「海藻と生牡蠣の煮こごり手前のタコス、唐辛子はお好みでどうぞ」

まこ「うんまあああああああ!」

和「はぁ...///はぁ...///」

京太郎「和、そんなに物欲しそうな顔するな...下品極まりないぞ?」

京太郎「旬の魚と鴨の胸肉とゴルゴンゾーラのプッタネスカ風タコス」

和「はぁあん!!なんか凄く元気が出てきます。おいしい!おいしいです!」

京太郎「そして部長のは...って、部長?」

久「はぐっ、はぐっ!」

京太郎「って聞こえてねぇか。マナー違反だけどまあ許してやるよ」

京太郎「アンタに喰わせてるタコスは変わった趣向の奴でね」

京太郎「タコスの中に六個のブロックがあるだろ?」

京太郎「それは野菜、魚、貝、肉、果物の煮詰めた汁をグミ状にした奴だ」

京太郎「最後の何も味のしない一つと合わせて6つの味わいを楽しめる逸品だ」

京太郎「咀嚼して口の中でもドロドロになっても飲み込むのが惜しくてたまらなくなる」

京太郎「終いには皆気味悪くて飲み込む前に吐き出しちまう曰く付きのタコスさ」

京太郎「オレはこれを悪魔の聖域って名付けた。どうだ?格好良いだろ?」

久「んををををっ!んをををおを~~~~!!」

京太郎「アハハハ...性質悪いだろ?料理って呼べる代物じゃねぇもん。これ」

京太郎「あー、こうしてみるとあっけないもんだよなぁ」

京太郎「明日の国麻頑張って下さいね?オレはもう転校しますけど」

京太郎「ま、あと三日分は先輩達の雀力は持つように作りました」

京太郎「それ以降のことは、自分達でなんとかして下さい」

優希「はむっはむっはむっ!」

和「ほああああ~~~!さ、咲さんのタコス、タコスぅううう!!!」

咲「染谷先輩ッ!先輩のお代わり分のタコスよこせ!」

まこ「いやじゃ!おんしこそ先輩におかわりを貢ぐんじゃ!」





11月 大阪


郁乃「はーい。これが約束の報酬やで~」

京太郎「確かに受け取りました」

郁乃「いやぁ~、君の手腕には恐れ入ったわぁ...」

郁乃「まさか食べ物で日本有数のオカルト雀士のオカルトを乱すなんてな」

郁乃「超新星、墜つ。まさに清澄の三日天下に相応しい凋落ぶりやったな」

京太郎「正直な話、自分でも驚きを隠せませんよ」

京太郎「まぁでも...ストレスで過食症の手前ってのもよくある話ですよね」

郁乃「空恐ろしいやっちゃな、犯罪ではないけど完璧な犯行や」

京太郎「でも、なんでですか?末原さんをまた大将に据えたのは?」

郁乃「できの悪い教え子なんやけどお気に入りなんや」

京太郎「ま、最後の咲からの海底ロンは流石にできすぎですけどね」

郁乃「さてと、君はこれからどうするん?」

京太郎「このお金で外国に行って、タコスを極めますよ」

京太郎「なにせ才能だけは有り余ってますからね」

郁乃「ま、なんか困ったことがあればいつでも連絡してな?」

京太郎「ええ。遠慮なくその時は頼らせて頂きます」


 こうして、麻雀の才能の代わりにタコス作りの才能を開花させた京太郎は

料理人としての一歩を踏み出すため、アメリカに旅立っていった。

 火薬と危ないクスリの臭いが蔓延するダイナーで彼は黙々と腕を動かす。

 彼の作るタコスは麻薬よりも危険で、より深く深淵へと墜ちてゆける甘みがある。

 たとえこめかみに銃を突きつけられても、彼は全く動じない。


京太郎「お前は這え、俺は翔ぶ」


 京太郎の命を狙った悪漢はこの帰路、落涙して改心し、京太郎に帰依した。 


京太郎「くふふ...己のタコスはどこまで上り詰める?」

京太郎「町一番、いや国一番?否、世界一の頂までだ!」


 正気にては大業ならず。

 タコスに生きる事を決意した者の美しさはそれを貪る者達を圧倒する。


 彼女達の物語は終わりを告げ、新しい少年の物語が幕を開ける。

 残酷奇譚料理活劇、狂~無明タコス流れ~ 

 霜月上旬開幕!乞うご期待      カン!