阿知賀――つまり奈良の吉野というのは田舎といっていい。
観光地としてはそこそこ有名だが、実際に定住している人間は少子化の一途をたどっている。
そして実家が何らかの家業を営んでいる一定の富裕層が阿知賀女学院には集まりがちだ。

つまり何が言いたいかというと、彼女らは跡継ぎを欲している。
この上なく真剣に、旦那さんをゲットして子供を産んで育てなければならないのである。

穏乃「というわけで、須賀くんをうちにください!」

玄「穏乃ちゃん、抜け駆けはいけないのです。
  松実旅館はどうかな? 温泉にセットでお姉ちゃんもついてくる豪華っぷりだよ!」

憧「あんたら無理な勧誘はやめなさいよ。それに女側の親と同居って結構大変よ。
  まあ私は次女だし、都会に出ようが他県に嫁ごうが自由なんだけどね」

灼「うちのボーリング場はおばあちゃんの趣味だから別に継がなくていいとおも」

宥「あわわ、あわわ、何かアピールポイントは、えっと、えっと」

久「いや、私たちに言われても困るんだけど」

和「穏乃、玄さん……私に会いに来たのかと思えば、男子狙いなんて」

玄「和ちゃん、それはそれ、これはこれなのです!
  和ちゃんに会えて旅館の宣伝を兼ねて一石二鳥だと思ってたら、まさかの旦那様候補なんだよ!
  この機会は逃せないのです、次期女将として、何より一人の女として!」

優希「京太郎は渡せないな! あいつには一生私のタコスを作るという崇高な使命があるんだじぇ!」

咲「いいよ、まとめて麻雀で相手してあげるよ。京ちゃんに近づかないように」(ゴォォォ

まこ「京太郎を仲間外れにするのは気が引けとったんじゃが、まさかの英断とはな。
   実家業を継ぐものとしては気持ちはわかるんじゃがなあ、こればっかりは本人次第じゃろ」


その頃
京太郎「なんでか部長ってかたくなに俺を他校の人間と会わせようとしないんですよね」

ハギヨシ「京太郎くん、それはおそらく独占欲かと」

京太郎「部長が? あはは、いくらなんでもありませんよ。だって俺ですよ?」

ハギヨシ(透華お嬢様も密かに狙っていることは内緒にしておきましょう)


さらにその頃
晴絵「……なんで私置いて行かれたんだろ。書置きの『カップラーメンでも食べてて』が心に刺さる」


カン