■宮永咲 中学一年生の誕生日
咲「あ、須賀君。図書当番お疲れ様」

咲「返却お願いします。……何か大分板についてきたよね」

咲「いや、図書当番が」

咲「図書委員になった頃は、同じ一年生の私より不慣れだったなぁって思いだしちゃって」

咲「私が図書委員に? うーん……来年は考えておこうかなぁ」

咲「いまは体育委員だからね」

咲「むっ……まあ、たしかに私は運動苦手だから向いてないかもしれないけど」

咲「でしょ? 体育祭の準備も私なりにがんばったんだから」

咲「……あの時はごめんね? ちょっとふらついちゃって」

咲「須賀君がとっさに保健室へ連れて行ってくれたから助かりました」

咲「……でも、急に抱きかかえられたからビックリしたよ」

咲「は、恥ずかしかったんだからね?」

咲「お詫び? い、いいよ! ちょっとした冗談だって」

咲「え、誕生日プレゼント? 覚えてくれてたんだ」

咲「? ううん、別に重くないとおもうけど?」

咲「この間、私が自分のを持ってないって言ってたこと覚えててくれたんだね」

咲「ありがと……栞、大事にするね?」



■宮永咲 中学二年生の誕生日
咲「ひどいよ京ちゃん。昨日の図書当番忘れてたでしょ?」ムスッ

咲「私一人で大変だったんだからねー」

咲「……うそうそ。昨日はあんまり人が来なかったから大丈夫だったよ」

咲「おうちの都合なら仕方ないよね」

咲「携帯かぁ……たしかにあればこんな時も直ぐに連絡とれるけど」

咲「私、まだ中学生だし……早くないかな?」

咲「というか、京ちゃんも持ってないでしょ?」

咲「そのうち持つことに、持たないといけなくなるのかな」

咲「……機械はちょっとだけ苦手だから憂鬱だよ」

咲「昨日のお詫び? あ、誕生日プレゼント?」

咲「ありがと……って、去年も同じようにお詫びってことだったよね」

咲「じゃー……購買の一日十個限定の苺ロールパンが食べたいなぁ」

咲「ふふっ、昼休みになったら直ぐに買いにいかないと間に合わないよ?」

咲「がんばってね京ちゃん!」



■宮永咲 中学三年生の誕生日
咲(誕生日だから、って京ちゃんに買い物に誘われたわけだけど……)ソワソワ

咲(こ、これってデート? デートなのかな?)

咲(わ、私たち、周りの人にどう思われてるのかな)ドキドキ

咲「ふえっ!? そ、そうだね、プロテインだね」

咲「あ、ほんとだ……清澄の制服」

咲「……来年は一緒に清澄行けるといいね」

咲「まだまだ勉強も頑張らないとねー」

咲「京ちゃんはちょっと危ないよね……」

咲「もうっ、耳塞がないでよー」

咲「そうだ、一緒に勉強しようよ。私にわかるところなら教えられるから」

咲「約束だよ?」

咲「…………」テクテク

咲(……ど、どこで一緒に勉強しよう!? じ、自宅? 家がいいのかな!?)



■宮永咲 高校一年生の誕生日
咲(はー……今日のデート、楽しかったなぁ)

咲(誕生日に限らず、また一緒に行きたいよ)

咲(……京ちゃん、今頃なにしてるかな)

咲(私みたいに今日のデートのこと考えてくれてたら嬉しいなぁ……)

咲「…………」ゴロン

咲「……そうだ!」ガバッ

咲(お父さんに買ってもらった誕生日祝いの携帯でメール……)

咲(やっぱり初めてのメールは京ちゃんに送ろう! お姉ちゃんは後でいいや)

咲(まだ九時だし、いいよね!?)カチカチ

咲「……えっと」

咲「……あれ?」

咲「……こうじゃないかな?」


咲「お、お父さーん! 携帯壊れたー!」バタバタバタ



■宮永咲 高校二年生の誕生日
咲「はぁ……はぁ……」

咲(ど、どうしよ……! 思わず逃げてきちゃった……)

咲(こ、今年も誕生日デートしてくれたと思ったら告白されるなんて考慮してなかったよ……!)

咲「……あれ」

咲「……ここ、どこ」

咲「はっ! 携帯、携帯……」ゴソゴソ

咲「き、京ちゃん……たすけて、迷子になっちゃった……」



■宮永咲 高校三年生の誕生日
咲「ありがと、京ちゃん」

咲「ね、開けていい?」

咲「記念日のプレゼントでもある? えっと……私の誕生日以外に何かあったっけ?」

咲「……あ、あー! そ、そうだったね!」

咲「こ、恋人になって一周年記念でもあったね……」カオマッカ

咲「もうっ! あのことはもう忘れてよー!」

咲「だ、だいたい、京ちゃんが私の肩掴んで告白するのが悪いんだよー……」

咲「突き飛ばしたのは悪かったって思ってるから! ……もー」

咲「……そっか一周年だったよね」

咲「わ、忘れててごめんね? 今日のデートの時にプレゼント選ぶから」


咲「私達、もう三年生なんだよね」

咲「……進路?」

咲「京ちゃんは、大学に行くんだよね」

咲「私も一緒のところに行きたい」

咲「……ほんとだよ?」

咲「……知ってたの?」

咲「……お姉ちゃんに聞いたんだ」

咲「……うん、お姉ちゃんと同じプロチームに誘われてるんだ」

咲「で、でも断るよ? 大学も京ちゃんと一緒のところに行きたいもん!」

咲「……私が、やりたいこと?」


咲「……うん。ありがと、京ちゃん」

咲「決心ついたよ……う、浮気しないでね?」

咲「……うん、京ちゃんが大学卒業したら、残りの人生全部、京ちゃんにあげるから」

咲「京ちゃんのも全部ちょうだいね?」



■宮永咲 大人の誕生日
咲「あ、ひ……きゅふっ……」

咲「あはははははははははは!」

咲「ご、ごめ……きゅふっ……思い出し、笑いが」

咲「だ、だって! 京ちゃんが……ぷっ……」

咲「頭にリボン巻いて『俺がプレゼントだ』って言うのが悪いんだよー!」

咲「和ちゃん達も大笑いだったから、私一人が悪いんじゃないもんっ」

咲「も、もー……機嫌直してよー」

咲「ひゃっ……な、なんで抱きかかえるの?」

咲「ほ、保健室? い、いまいるのはおうちだよ?」

咲「あ……ぅ……じゃあ……ベッドで」

咲「……やさしくしてね?」




咲「もーーーー! 京ちゃんのいじわる! いじわる!」バンバン

咲「なんでいつも恥ずかしいこと言わせるのかなぁ!」バンバン

咲「い、いつも言ってるのは、京ちゃんが言えって言うからっ」

咲「た、たしかに気持ちよかったけど……」

咲「たまには反省してよねっ」

咲「……お詫び?」

咲「誕生日プレゼントならさっきのパーティーで」


咲「……? ちっちゃい箱だね?」

咲「開けていい?」



■二人の誕生日
咲「……大丈夫だよ」

咲「あはは……何で京ちゃんが泣くの?」

咲「痛い思いしたのは私なのに、京ちゃんは泣き虫だね?」

咲「ほら、笑ってだっこしてあげて」

咲「ふふ……また同じ日に記念日が固まっちゃったね」

咲「ほんと、すごい確率だよ」

咲「皆で幸せになろうね、京ちゃん」