牌のお姉さんとイタコさんと過ごす一ヶ月 

「一日目 東京」


はやり「あっ、京太郎君みーつけた。おはよ。今日もイケメンさんだねっ☆

えっ、はやりさんも美しい?いやだな~もうっ!この天然タラシ!
で、良子ちゃんとはどうかな?えっ、まだ初デートもしていない?!

ちょっとそれは...良子ちゃん失望させてるんじゃないのかな~?
あの子基本的に甘えたさんの寂しがりやさんでナイーブなんだから。

ちゃんと京太郎君がリードしないと三行半突きつけられちゃうよ?
あーもう!そんな情けない顔しないの!もー!仕方ない弟分だなぁ。

ほら、これ。今度の連休でちゃっちゃと決めて来ちゃいなさい!
静岡県のレジャー施設とその中にあるホテルのチケットだから!

良子ちゃんと仲良くなる絶好の機会だから頑張ってね、京太郎君」



「二日目 夜」

はやり「あ、もしもし。瑞原です...って良子ちゃん?どうしたのかな?
あーそっか、今京太郎と一緒に静岡にいるんだね。で、用事は何かな?

どういうつもりですかって?可愛い弟分と妹分をくっつけたいつもりだよ?
良子ちゃんだって京太郎のこと好きでしょ?はやりさんの方が好きです...?

ん~...ちょっと、どういうことなのかな?私言ったよね?
良子ちゃんの気持ちは分かってるけど、受け入れられないって。

なんで今になってそんなこと言っちゃうのかな?良子ちゃん?
私、京太郎に振られたんだよ?良子ちゃんが好きだからごめんなさいって

悔しかったよ...でも、良子ちゃんだから私我慢できたんだよ?
私の辛いことも何でも打ち明けられる唯一無二のパートナー。

そんな良子ちゃんだからこそ、私は素直に負けを認められた。
違わないよ!京太郎が好きなのは良子ちゃん!私じゃない!」 


良子「じゃあなんで京太郎は私といるのに全然楽しそうじゃないんですか!

私だって京太郎に甘えたい。はやりさんみたいに甘えたいんです。
でも私が好きな京太郎は私の瞳越しに写る貴女しか見てないんだもん!

好きな人同士ならバカやってもハッピーに過ごせるんじゃないんですか!
はやりさんの歌も全然当てになりませんね!大外れですよ!」


はやり「待って良子ちゃん!電話切らないで...!」

 おかけになった電話は電波の...

はやり「ぐすっ...どうして、なのかな?なんで、空回りしちゃうの?」




「五日目 」

はやり「お帰り、京太郎君。どうだった3連休の温泉旅行は?

そっか。良子ちゃん凄く喜んでたんだ。うんうん、役に立ててよかったよ
お礼?いいよ、私のお節介だもん。気にしないの。うん?相談って何かな?

...二日目の夜に、良子ちゃんが泣いてた?それが気がかりで仕方がない、ね
理由を聞いても教えてくれないから私から聞いてくれないか?

えっ?もしかしたら他の男に弱みを握られて調教されてるんじゃないか?
ないない!そんなことあるわけないじゃない!

もしそんなことがあるなら真っ先に私が潰してるよ!
うん、わかった。いいよ。聞いといてあげるから、安心していいよ

大丈夫。君も良子ちゃんも私の大切な人達だから。守ってあげる」


「七日目」


良子「グッドモーニング。京太郎。今日は随分と早く仕事に行ったんですね。

そんなに私の顔を見たくなかったんですか?テーブルにはレトルトの炒飯と
お情け程度のしけたスープとゆで卵。帰るのが遅くなるから夕飯は適当に...

そうですよね、はやりさんにどうしても貴方を取られたくなくて、色目を使って
思わせぶりな事して、貴方の気持ちを無理矢理手に入れようとしたのですから。

その結果、やっぱりはやりさんのことが貴方よりも好きだったことを自覚して、
必死になってはやりさんと貴方を仲直りさせようと...私は、バカな、ことして...

どうしよう、どうしよう...はやりさんに酷いこと言っちゃった...
私のこと妹みたいに可愛がってくれた人を傷つけちゃったよ...

ごめんなさい京太郎...ごめんなさい。はやりさん...」



「十日目 はやりのマンション」


良子「おかえりなさい。はやりさん。

はやりさん、私...色々悩んだんです。そして決めました。

私、やっぱりはやりさんのことが、京太郎よりも好きです。愛してます。
京太郎には申し訳なく思ってますけど、でも、どうしてもはやりさんが」

はやり(ふざけないで!という言葉が出る前に私は全力で彼女の顔を叩いた)

良子「えっ...?」

はやり「ふざけないでよ...なにが、私のことを愛している、ですって?」

はやり(我に返り涙で潤む妹分の顔を見遣ったとき、私は後悔した。
なんてバカな事をしてしまったんた。その事実を否定するにはあまりにも
私と彼女は身体も心も重ねすぎてしまっていた)

 でも、もう止まれない。私と彼女が同じ視線で見ていた時間は過ぎ去った。
 欲しいものはただ一つであるが故の悲劇であり、それは当然の別離だった。

はやり「はやりが好きだった人を奪って、その理由が私が好きだったから?

今更、冗談はよしてよ...ねぇ?私、本気で京太郎に恋してたんだよ?
一回り年下の男の子にお熱っていうのがどれだけイタいか自覚もしてた。

陰で何言われようと、彼に好きになってもらえるまで頑張った。なのに...
それを、私が世界で一番好きだった良子ちゃんに全部壊されたんだよ?」

良子「あっ、あああ、あの、私は...そんな、そんなつもりじゃ...」

はやり「じゃあどういうつもりだったのかな?私が同性愛者ってことを
記者会見でカミングアウトして、家族親戚を晒し者にすればいいいのかな?

それとも、私が良子ちゃんと京太郎の事で苦しむことを酒の肴にして
楽しむつもりだったのかな?うんうん。はやり的にはそれが一番納得できるよ。

でも、一つだけわかったことがあったよ。良子ちゃんは気持ち悪い。
人が苦しむのが大好きな嫌な女ってことがはっきり分かったよ」

良子「ううっ...ああああああああ!!!違う違う違うっ!わ、私は」

はやり(止まれなかった。私も良子ちゃんもどうしても止まれなかった)

はやり「京太郎と別れてよ、良子ちゃん。そしたら許してあげるから」

 なにもかもが、どうでもよくなってしまった。





「十四日目」


京太郎(ここ数日、良子と連絡が取れない。嫌な予感はあの日からしていた。

はやりさんから貰ったチケットで静岡に旅行に行ったあの日からだ。
あの日、俺が男湯から戻ってきたとき、懸命に涙を堪える良子がいた。
電話の相手と涙の理由は薄々だが分かっていた)

京太郎「だからって、負けるわけにはいかないんだけどな」

 人を雇って探し出して場所に良子はいた。寂れたビジネスホテルだった。

良子「きょ、京太郎...どうして、どうしてここが分かったの?」

京太郎「そりゃ分かるよ。探偵を雇ったんだから」

良子「はやりさんから全部聞いたんですよね、事情は」

京太郎「聞いてないよ。聞いたら俺のことフるのは目に見えてるし」

良子「じゃあ率直に用件だけいいます。私のこと嫌いになって下さい」

良子「私は貴方よりもはやりさんが好きなんです」

 それが何一つ偽りのない敵意だったとしても、俺は驚かなかった。
 なんとなくそんな予感はしていたし、こうなることも覚悟していた。

京太郎「俺は、お前のことを諦めるつもりはないよ」

良子「...」

 何も言葉を返してくれない良子に対する切ない気持ちで胸が満たされる。
 やっぱり、この世界はどこかおかしい。
 愛に優劣はないと信じたいが、その答えは俺の想いを踏みにじるのに充分だった。 

京太郎「そうか。じゃあここでさよならだな。良子」

良子「ふふふ...これでまた、はやりさんと京太郎と...一緒にいられる」

 ドア越しに耳にした恋人の呟きを無視して、俺はその場をあとにした。





「十五日目」

はやり「京太郎。デートに誘ってくれてありがとね。うれしいよ。
それで今日はどこにつれてってくれるの?遊園地、水族館?」

そっか~。よぉし、じゃあゲームセンターでゲームしよう!」

はやり(良子ちゃんとの絶交から数日後、私は京太郎とよりを戻した。

元々彼女が余計な事をしなければ上手くいっていた関係だった。
むしろこれで止まっていた時間の針を進めることが出来る訳だし、
この状況は僥倖としか言いようがなかった。

京太郎との一年半ぶりのデートはとても楽しかった。
私達はまるで出会った時に戻れたかのようにはしゃいで笑っていた。
大人相手にどぎまぎする京太郎をリードしてぐいぐい進む私。
そして、その後ろには一緒に笑う良子ちゃん...がいた)

はやり「なんで、おもいだすのかなぁ...」

 でも、そんな心の穴は京太郎が全部埋めてくれる筈。

はやり「ねぇ、京太郎?そろそろ、シよ?」

京太郎「いいよ。今日はとことんまではやりさんに付き合うから」

はやり「やった。京太郎、大好きだよ」

京太郎「ああ。俺もはやりさんのこと大好きだ。ずっと一緒にいたいくらいに」





「十八日目」


はやり「あの日はついカッとして凄く酷いこと良子ちゃんに言っちゃったなぁ...

でも、もういいよね?だって、そのお陰で京太郎に告白されたんだから。
幸せ絶好調な筈なのに、どうして...こんなに辛いのかなぁ?

なんで、目を閉じれば京太郎と一緒に手をつないでいる良子ちゃんがいるの?
ねぇ、良子ちゃん。どうしてそんなに幸せそうに私を見つめてるのかな?

ん、なにかな京太郎?えっ、良子のこと、気になるって?
その名前、出さないでよ...私を裏切った良子ちゃんなんか知らないよ

そのわりには随分としょんぼりしてるように見える?違うよ、違うってば!
ほっといてよ、良子ちゃんのことなんか、もう知らないんだから!

何言ってるの?俺は放っておけない?はやりさんも良子のことも?!?!
なんでよ!良子ちゃんより私のことが好きって言ってくれたじゃない!

京太郎は良子ちゃんみたいに私のこと裏切らないよね?そうだよね?
よかったぁ...あの時みたいに、突き放さないんだね」

京太郎「ああ、でも結婚する前にさ、一つ俺のお願い聞いて欲しいんだ」

はやり「いいよ。それくらい聞いてあげる...」






「二十日目 良子の夢」


良子「京太郎?なんではやりさんの部屋の前にいるんですか?
もう、私は貴方のことをなんとも思ってないんです。好きじゃないんです。

そうです。理解が早くて助かります。えっ?そ、そんな...どうして?
なんで京太郎がはやりさんと結婚するんですか!ありえない!そんなバカな!」

京太郎「残念なことに事実だよ。はやりさんに告白されたんだ。

いや、違うな。良子のことをダシにして俺がはやりさんに告白したんだ。
いくら頭が悪いお前でも理解できただろ?うん?理解できない?そうか...

じゃあこれ、俺の指にはまってるのが何か分かるか?そう、結婚指輪だよ。
いい証拠だろ?高かったんだよ、これ。

本当なら、お前の指にはまっていた筈の大切な誓いの指輪だったんだ」

良子「?!そこにはやりさんがいるんでしょう?どきなさい!京太郎!」

京太郎「いや?はやりさんは良子の知らない所にもう引っ越したぞ?
最後まで良子のよの字も出さずに、ずっと俺のことばかり見つめてたよ。

いや~、残念だな。俺は本当にお前のこと好きだったんだよ。
年上だけど妹のようで、一つ一つの仕草が一々可愛くて、それに優しい。

陳腐な口説きに思えるかも知れないけど、お前を俺が幸せにしたかった。
俺の本心だったよ、でも、お前はその気持ちを踏みにじった」

良子「いや...いや...京太郎ぉ...私を、おいていかないで下さい....」

京太郎「率直に用件だけいうぞ?俺のこと、ずっと好きでいてくれよな?」

京太郎「俺もお前のこと、ずーっと忘れないからさ....」

良子「うわああああああああああああ!!!!」





「二十三日目」

京太郎「良子、ただいま。って、こんなに部屋散らかして何やってんだよ。

うわっ、くせぇ!お前何日風呂入ってないんだよ、っていうか今すぐ入れ!
ん、どうしてここに戻ってきたかって?お前が心配だからだよ。

あんなに酷いこと言ったのに?もう二度と会わないつもりだったのに?
ああ、結構傷ついたよ。お前に対して失望しまくったよ。けどさ...

二人の人を同時に好きになったっておかしくないだろ?よくある話じゃん
ただお前は言葉と状況を選ばなかったからはやりさんを怒らせちゃっただけ。

はやりさんから全部聞いたよ。お前に対してどう思ってるのかをさ。
可愛い妹分以上に、お前のことが大切だってさ。俺も同じ気持ちだよ。

ずっと一緒にいたいと思ってる。はやりさんと、お前と俺の三人で。
だから、俺の手を取ってくれ、良子。もう一回初めからやり直そう。

今度は俺とお前とはやりさんと三人で、一緒に同じ道を歩いて行こう...な?」






「二十四日」

はやり「久しぶりだね、良子ちゃん。お互い大分やつれちゃったね。

ううん。私の方こそゴメンね。良子ちゃんの想いも分かってたはずなのに
一方的な私のプライドで良子ちゃんを苦しめようとしてた。本当にゴメン。

京太郎とは会った?そう、会ったんだね。何を話したの?
ふんふむ、なんで早く正直に俺に言ってくれなかったんだって怒られた?

それは当然だよ。京太郎が私をフる程良子ちゃんは良い子なんだから。
別れたくないに決まってるじゃない。もう、良子ちゃんの甘えたさん。

あはは。やっぱりこうして一緒にいるとやっぱり良子ちゃんは良子ちゃんだな~
寂しがり屋で、甘えたがりで変なところで強情張って、それでも可愛いんだもん

あの日のこと?許すよ、許す。今はもうぜーんぜん気にしてない。
でもね、もうこんなことは二度としないでね。うん、よろしい

じゃあこれで仲直りできたってことで、一件落着...とはいかないんだな。
今は京太郎いないんだけど、明日の夜に私の家で彼から話があるんだって。

何の話?私もよくわからないや、でも必ず来てね。約束だよ?」







「二十五日目」


良子「グッドイブニングです。はやりさん、京太郎。

それで、今日はどのようなニュースがあるんですか?」

はやり「ふふん。今日は良子ちゃんにプレゼントがあります。

さ、テーブルの上にある小さな箱の蓋を開けて下さい」

良子「了解です」

 震える手で目の前の机の上にある小さな黒い箱を開ける良子。

良子「こ、これは...え、エンゲージ・リング」

京太郎「それは俺からの指輪。それ買うのに結構時間が掛かっちまった」

 興奮に震える手を京太郎に捕まれた良子は、なされるがままにされる。

 自分の左薬指に小さな永遠の形が吸い込まれるようにはまる。

京太郎「戒能良子さん。貴方は俺の大切な人だ。愛してる」

京太郎「俺が死ぬまでずっと一緒にいて下さい」

 感情が爆発する。
 涙が溢れ、声は声にならずただ音として外に放たれる。

良子「はい...はい。ずっと、ずっと一緒ですよ。京太郎」

 なきじゃくる良子を左側に抱えた京太郎はもう一人に向き直る。

はやり「京太郎君、本当に後悔はないんだね?」

京太郎「男に二言はありませんから、後悔があるとすれば...それは」

京太郎「良子を泣かして、貴女も泣かせてしまったってことくらいですかね?」

はやり「もうっ...どこまで格好つければ気が済むの!」

 頭を乱暴にがしがしと掻きながら、それでも彼女は笑みを絶やさない。

はやり「京太郎君、私はずっと貴方と一緒にいたい」

はやり「もし、その答えがイエスなら...この指輪をはめて下さい」

 躊躇うことなく青年は指輪を嵌める。
 その答えがイエスであることを理解した彼女は京太郎に身を委ねる。 

京太郎「これからは、ずっと三人で」






「四年後 島根県」


はやり「いらっしゃいませ~!ようこそ瑞原洋菓子店へ!!」

客「あらあら、はやりちゃんってば随分と張り切っちゃって」

客2「じゃあ季節のパイとサービスしてフルーツタルト貰っちゃおうかしら」

はやり「ありがとうございまーす!」

京太郎(あの告白のあと、俺達三人は一緒に島根県へと旅だった。
会社と友人達との間で色々と揉めたけど、それらを全部解決したあと、

結局三人一緒に働けると言うことで、島根にあるはやりさんの実家の
洋菓子店を三人で継ぐことに決めた)

京太郎「お待たせいたしました。アップルパイとザッハトルテです」

客「ママー。早く家に帰って食べようよ~」

客「はいはい。いつも美味しいお菓子をありがとうございます」

京太郎「いえ。こちらこそご贔屓にして頂き、ありがとうございます」

京太郎「ほら。バウムクーヘンの切れ端。冷やして食べると美味しいぞ」

客「わぁ。ありがとう。瑞原さん!」


 緩やかに流れる時間の流れに、春の麗らかさが明るさという彩りを加える。


はやり「少し早いけど、お昼にしましょうか」

京太郎「そうだね。良子に電話しよっか」

 ここから歩いて1kmも離れていない場所に俺達の家を立てた。

 庭付きの三階建て一軒家。愛車はスカイラインのクーペだ。

良子「はやりさん。京太郎。ご飯持ってきましたよ」

 ベビーカーを押しながらやってきた良子は、手際よく昼食を取り出して

並べていく。

 テーブルには彼女らしい昼食、バスケットの中に所狭しと積み込まれた

沢山のサンドイッチと保温瓶に詰め込まれたコンソメスープ。

 それらを無駄なく三人分に分け終わると、正午の鐘が鳴る。

三人「いただきまーす」

良子「そういえば小鍛治さんが結婚したってニュースでしてましたよ」 

はやり「そっかぁ、健夜ちゃんも結婚したんだね」

京太郎「もうアラフォーなんて言わせないって言ってたな」 

良子「今年の流行語大賞に間違いなくノミネートされますね」

はやり「もう私も40かぁ...でも、思ってたより幸せかも」

 ふと呟いたはやりの一言に、俺も良子も黙って頷いた。

京太郎「子供達も何一つ障害を負わずに生まれてくれたしな」

京太郎「まぁ男の子が欲しかったのが本音だけどさ」

良子「じゃあもう一人作りましょう。はやりさんだけ三つ子はずるいです」

京太郎「勘弁して下さい死んでしまいます。双子で十分だよ」

はやり「そうだね。もうこれ以上の幸せはいらないよ。お腹一杯」

 あと少ししたら幼稚園のバスが帰ってくる。

 五人姉妹と大人三人の大所帯も悪くはないが、夜はどうしてもうるさくなる。

京太郎「店番はあとは俺がやっておくから、はやりは子供達を頼む」

はやり「わかった。子供達が寝たらまた様子見に来るからね」

良子「それじゃあ、またあとで」

京太郎「おう。じゃあ午後の営業始めますかね」

 大きくのびをした時、入り口のベルが鳴り響く。

京太郎「いらっしゃいませ~!」 

「「「「「おとーさーん!」」」」」 

京太郎「わあああああ?!」

美月「きょーたろーくーん」

はやり・良子「ああーっ!お母さん!」

幸せすぎて夜も眠れないなら、この騒がしさこそ何にも勝る幸せと言えるかも知れない。

カン