京太郎「~♪~♪♪」コポポポ

由暉子「……」ボー

京太郎「…ん?ユキか?」

由暉子「…京太郎くんですか」

京太郎「ボーッとたそがれて、どした?」

由暉子「何がどうと言うわけではないのですが…ふとこれまでの人生を振り返っていまして」

京太郎「人生って、これまた壮大だなぁ…」

由暉子「いえ、最大でもたかだか十数年なのですからそれほど壮大なわけではないかと」

京太郎「その十数年で俺達は育ったんだぜ?壮大じゃないわけだろ」

由暉子「そうでしょうか…」

京太郎「んー、例えば。今俺が飲んでるコーヒーを淹れた粉あるじゃん?」

由暉子「はい」

京太郎「これがこだわりの農場の豆を挽いたものとする。味の割に安価でお得な品物だ」

由暉子「そうなのですか?」

京太郎「いんや、実際は商品入れ換えの割り引き物。美味いけどね」

由暉子「そうなのですか…」

京太郎「ちょっと残念に思ってない?」

由暉子「気のせいです」

京太郎「そうか?まぁいいや、それで続きだけどそのお気に入りの豆が十数年味も値段も保つにはどれだけの労力がいると思う?」

由暉子「…ふむ」

京太郎「気候がおかしな時もあれば不作の時もある。異常気象が日常の日本に住んでるからわかるだろ?」

由暉子「ええ、何となくは」

京太郎「人間、特に子供なんてコーヒー豆よりデリケートな存在だ、何のきっかけで歪んだりするかわかんねぇ。それが十数年まっすぐ保たれてるんだぜ?これが壮大じゃなかったら何だって話だよ」

由暉子「…京太郎くん。ひとつ、よろしいですか?」

京太郎「ん」

由暉子「今の話はどういう意図があったのでしょうか」

京太郎「ただ難しそうな話したかっただけっすさーせん」

由暉子「全てが台無しになりましたね…」

京太郎「ハハハ、こまけーこと気にしてっと疲れるから緩いぐらいでいいんだよ」

由暉子「あまりの脱力感に何の為に人生を振り返っていたのかも忘れてしまいました…」

京太郎「ま、コーヒーに砂糖入れようとミルク入れようと練乳入れようとコーヒーなのは変わらないように、どんなユキでもユキはユキだよ」

由暉子「…京太郎くん」

京太郎「ん?」

由暉子「こんがらがってきたからと言って煙に撒こうとするのはどうかと思うのですが…」

京太郎「ま、ま、ま。とりあえずコーヒーでも飲んで、な?」

由暉子「眠れなくなるので遠慮しておきます」

京太郎「これデカフェだけど?」

由暉子「…私、苦いの苦手ですので」

京太郎「…」

由暉子「ニヤニヤするのは止めてください」

京太郎「さーせん」

おちなしカンッ