ホストの客層と言えばどんな人間を想像するだろうか?
普段寂しいセレブの奥様? それともバリバリのキャリアウーマン? 確かにそういった人間は一定の数いる。
普通のOLや人妻、悪い遊びに憧れる若い子、そういった人間もまあ、そんなに多くはないがいる。

だが最も多くそして太客になりやすい客層、それはキャバ嬢である。
似たような仕事をしているということで話は合うし、普段お客さんの相手をしているストレスの発散も兼ねる。
だが一番の原因は、「自分も同じことをしているから自分は騙されない」と思ってしまうことだ。
普段ちやほやされるからと特別扱いを当然のように受け入れ、金銭感覚が麻痺しているから気が付いたら深みにはまっている。
そしてお金で相手の関心を買えるのだと自分の稼いでいるお金をつぎ込み始める。

淡「どんどん持ってきて、どんどん!」

大星淡、とある店でNo.1を維持している彼女もその一人だ。
その振る舞いはわがままであるにも拘らず、それが許されむしろ可愛いとまで思わせてしまう美貌と子供っぽい性格。
お客さんはそんな彼女を娘のように思い投資していく。自然、相手の年齢が高めになり彼女は枕すら必要としない。

淡「ドンペリゴールド3本一気に行っちゃおう! 1本はスタッフさん用、1本はキャスト用、最後は私と京の!
  あ、スタッフさんはちゃんとお仕事終わりに飲むんだよ、酔っちゃってタワー倒すと大変だからね。この前もうちの黒服が……」

そして金遣いは剛毅でありながら、ちゃんと店の全員に対する配慮も忘れない。普段No.1を張っているだけのことはある。
結果、うちの店でも優遇され、人気も高い。本気で狙っているスタッフやホストまでいるのだ。

淡「今日しつれーなお客さんがいてさー、この淡ちゃんの許可もなくお尻を撫でるんだよ。
  その場では穏便に済ませたけど、瓶から直接頭に注いでやろうかと思ったよ!
  ね、しょーどくして、消毒」

同じ金髪の誼だとかでなぜか気に入れられた俺に甘えて、自分のお尻へと俺の手を導く。

淡「そ、こんな風に上下に撫でられて、無遠慮にもみもみってされて、んう……」

俺の手の上に掌を重ねて、淡自身のお尻の上で俺の意志に関わらず再現させる。

淡「んは……んっ。はい、しゅーりょー! ここから先は京でもダメー。
  そ・の・か・わ・り、特別な関係になってくれるっていうなら、話は別なんだけど、なー?」

顔を赤らめているのは照れか酒のせいか、小悪魔のようにこちらの顔を覗き込み上目遣いになった後、俺の首に手を回して顔を近づけて目を閉じる。

淡「契約するなら唇に、ね」

ふんわりといい匂いが間近から漂う。その色香に周囲からは嫉妬と感嘆のこもった視線が店中から注がれる。

京太郎「可愛いお姫様、あんまり誘惑すると男は狼さんになっちゃうんだから、そういうのは俺だけに、な」

淡のおでこに口づけて、そっと金糸の髪を優しく撫でる。

淡「むー、これでも落ちないかー。私のきょーじが傷つくなあ。仕方ない、今日は出直し!
  あ、最後に見せつけたお詫びにお客さん全員にドンペリゴールド1本振る舞ってね!
  じゃーね、京。ぜーったい、淡ちゃんは狙った獲物は落とすんだから!」

そして最後の最後まで自分勝手なお姫様は、嵐のように立ち去る。しかし、その通り過ぎた後には爽やかさしか残らないのが淡の凄いところだ。
俺は苦笑しながらも、店の中に残ったお姫様方にお詫びのシャンパンを一人一人に注いでいく。


『ホストKYO』 嵐の小悪魔、淡編  カン