私たちは爆弾を抱えている。

「京太郎、タコス買いにいくから一緒に行こうじぇ!」

「俺も小腹が空いてるし丁度良いな」

 一番積極的に彼へとアピールしているのは優希ちゃんだ。親しい友人、悪友のポジションで何時も戯れている。
 時には単なる気の合う友人ではなく、彼女が列記とした女の子であることを示すように彼へと振る舞う。
 もしも、彼女が京ちゃんの好みのタイプと合致していたならば終わっていただろうね。

「須賀くん、購買の方へ行くのならついでに減っている備品の補充もお願いね」

「了解っす、部長」

 好きな子にはつい意地悪してしまうどうしようもない人が部長だ。雑用の押し付けから質の悪い冗談まで色々と行う。
 素直さとは無縁だから現状での脅威は低いけど、この女狐を甘く見積もるのはとても危険だよ。
 卒業すれば今よりも疎遠になってしまうからこそ、後を考えずに動く可能性もあるからね。

「これ久、お前さんが使って足りなくなったもん位は自分で買いに行かんか」

「良いっすよ染谷先輩、ついでっすから」

 常識人、性格の良い人として振る舞うのが染谷先輩だ。部長や優希ちゃんが行き過ぎないようにストッパーとして、良き先輩に収まっている。
 その立ち位置は間違いなくマイナスの印象を抱かせることなく、プラスのイメージを与えているに違いない。
 だけど、麻雀部の中では一番華がない、地味だから恐くはない。地道に好感度を稼いではいるだろうけどね。

「和たちも欲しいものとかあるなら買ってくるけど、何かあるか?」

「ありがとうございます須賀くん、それじゃあアイスクリームをお願いしても良いですか?」

 ああ、こいつが一番危険だ。
 京ちゃんの視線を独り占めにしている。もしも、本気になれば誰も太刀打ちできない泥棒猫。
 救いがあるとしたら彼女が無自覚であり、彼自身も気になっているけれど見込みがないと思い込んで留まっている点だね。

「京ちゃん、私は何時もの飲物でお願いね」

「あいよー」

 何か切っ掛けがあれば今の関係は崩れ去る。
 私には優希ちゃんのような積極性も、部長のような悪女風も、染谷先輩のような立ち振舞いも、和ちゃんのような恵まれた容姿だってない。
 あるのはこれまでに積み重ねてきた幼馴染としての関係性、一番遠慮なく気心なくいられる間柄。

 それしかない。

 私の勝利条件はきっと誰にも勝負をさせず、この位置を守り通すことだと思う。
 京ちゃんが私とくっついても良いと思うそのときまで、爆弾を破裂させないようにすることだけだ。

 長期戦だね。
 でも、負けないよ。
 彼の隣は私のもの、譲らない。


カンッ!