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~数日後~

京太郎「うーん、麻雀部に入れてみたはいいけど、スキマは埋まらないなあ」

ハギヨシ「考えなしだったんですか…?」

京太郎「お姉ちゃんにボコボコにされた~うわーん麻雀キライー!みたいな感じかと思って…」

ハギヨシ「まあ、完膚なきまでに叩きのめされれば、スキマもできるかもしれませんが…」

京太郎「咲、結構強かったしなあ」

ハギヨシ「ですね」

京太郎「なぁ、ハギヨシさん。俺みたいな協力者って、他にも居るんでしょ?」

ハギヨシ「はい」

京太郎「他ではどうやって埋めてるんですか?」

ハギヨシ「そうですね…。一番の凄腕は、対象を恋に落とすことで、スキマを埋めているそうですよ」

ハギヨシ「その際は、どうやらキスがトリガーになるようですね」

京太郎「マジか…」

ハギヨシ「はい、それも、ものの数日で恋に落とすそうですよ」

京太郎「ありえねぇ…」

ハギヨシ「なんでも、落とし神という方だとか」

京太郎「えっ、もしかしてあの天才ゲーマー…?」

ハギヨシ「ゲームで有名な方だそうですし、恐らくその方でしょう」

京太郎「あやかりたい…。でもそれって周りが物凄い修羅場なんじゃないの?」

ハギヨシ「それは問題ありません。攻略後は駆け魂に関する記憶は消去されますので」

京太郎「えっ、そうなの?」

ハギヨシ「ですので、恋愛でスキマを埋めても後腐れありませんよ?」

京太郎「いや、俺には無理でしょ…」

ハギヨシ「そんな事はないと思いますけどね」

京太郎「ムリムリムリ。他には何か無いんですか?」

ハギヨシ「他には、出会いを重ねる事によって少しずつスキマを埋めていくという方法も」

京太郎「うーん、俺はそれかなあ?」

ハギヨシ「ただし、この方法は物凄く時間がかかるそうです」

京太郎「時間がかかるのか…」

ハギヨシ「後は、少し物騒ですが、スキマの原因自体を抹消するという方法も」

京太郎「えっ、それって…」

ハギヨシ「端的に言うと、さつg」

京太郎「却下!」

ハギヨシ「手っ取り早い方法ではあるのですが…」

京太郎「余計スキマが広がらないですか、それ?」

ハギヨシ「さあ?そういった感情の機微は、私には分かりませんので」

京太郎「うーん、咲のスキマはどうやれば埋まるのかな」

ハギヨシ「む、噂をすれば…あそこに居ますね」

京太郎「お、ほんとだ」

……

京太郎「咲~!」

咲「あ、京ちゃん」

京太郎(咲が持ってる雑誌…!)

咲「どうしたの?」

京太郎「いや、咲も麻雀雑誌とか読むんだなって」

咲「あ、うん。これは、ちょっとね…」

京太郎「ふーん…」

京太郎(あの雑誌、照さんが載ってるやつだ…)

京太郎(たっぱり家族関係なのか?)

京太郎(麻雀は関係なかったのか?)

咲「ぼーっとして、どうしたの?早く行こうよ」

京太郎「あ…うん」

……

京太郎「その雑誌どうだった?対局してみたい人とか居たか?」

咲「う、うん」

京太郎「へーどんな人?」

咲「それはちょっと…今は秘密かな」

京太郎「もったいぶるなよ」

咲「ごめん…そのうち、気持ちの整理がついたら教えるから…」

京太郎「そっか」

京太郎(もしかして、本当に照さんと麻雀がしたいのか?)

京太郎(だとしたら、茨の道だぞ…咲)

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~翌日~

京太郎「お~い、咲~!」

咲「京ちゃん」

京太郎「また、ここだったか」

咲「うん」

京太郎「またその麻雀雑誌読んでたのか?」

咲「うん、お気に入りだから」

京太郎「そういや、昨日言ってた対局したい人って」

咲「もうちょっと待って…」

京太郎「はいはい、ま、それは追々として…」

咲「なに?」

京太郎「その人って、雑誌に乗るような人だから相当強いんだろ?」

咲「すごく強いよ…」

京太郎「じゃあ、相当練習しないと勝てないだろうし」

京太郎「もしかしたら辿り着けすらしないかもな」

咲「そうだね、頑張らないと…」

京太郎「じゃあ、もうワザとプラマイゼロとかはやめとけよ?」

咲「うん、分かったよ」

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~麻雀部~

優希「リーチ!」

咲「…」タンッ

優希「ローン!」

咲「はい」

京太郎「咲、なんでそんな牌切ってんだ?」

パタタタ

咲「あ」

京太郎(国士無双テンパイ…)

和「…」ムッ

京太郎「???」


ハギヨシ(透明)「おかしいですね…」ヒソヒソ

京太郎「なにがです?」ヒソヒソ

ハギヨシ(透明)「先程、京太郎が切った牌は九筒でしたよね」ヒソヒソ

京太郎「あっ」ヒソヒソ

ハギヨシ(透明)「今、宮永咲はツモ切りをしました。つまり…」ヒソヒソ

京太郎「ワザと見逃した…ってことか」ヒソヒソ


優希「どうしたんだー?一人でブツブツ言って」

京太郎「ああ、いや、なんでもない」

和「…」キッ

咲「…」

……

優希「ローン!やったじぇー!」

京太郎「えーと、成績は…」

京太郎「咲は、プラマイゼロ…」

京太郎(こいつ、言ってるそばから…)

和「…」ガタッ

京太郎「…」バンッ!


シーン…


京太郎「悪い、今日はもう帰るわ」

咲「あっ、京ちゃん!」

咲「ごめん、私も帰る!」

バタン

優希「京太郎、怒ってたじぇ…」

和「当然ですね…」

優希「しっかし」キョロキョロ

優希「夫婦水入らずだじぇ♪の・ど・ちゃん♪」

和「もう、ゆーきったら…」ハァ

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咲「京ちゃん!」

京太郎「…」

咲「京ちゃん、私麻雀部に入れてよかったよ!」

咲「みんなと麻雀が打てて、楽しくて…」

京太郎「お前約束したそばから破るんじゃねえよ…」

咲「え?」

京太郎「今みたいな事を続けるなら…」

京太郎「麻雀なんか辞めちまえ…」

……

咲「あの、京ちゃん…」

京太郎「さっき、どうして国士無双を和了がらなかった?」

咲「えっ?」キョトン

京太郎「とぼけるなよ、俺の九筒でロンできただろ?」

咲「九筒?なにそれ?」

京太郎(こいつ…気付いてなかったのか?)

京太郎「なあ、咲、さっきのプラマイゼロって、ワザとだろ?」

咲「ち、違うよ!さっきのは本当に偶然で…」

咲「って、信じて…くれないよね…」

京太郎「…」ジッ

咲「…」

京太郎「信じる」

咲「…えっ?」

京太郎「今、目を見てて分かったよ。咲は嘘ついてない」

咲「あ、ありがと…///」

京太郎(でも、なんで…)


ハギヨシ(透明)「駆け魂の影響が出てきているのかも知れません」ヒソヒソ

京太郎「えっ?」ヒソヒソ

ハギヨシ(透明)「駆け魂が成長すると、心のスキマに関係した、極端な行動を取り始めるそうです」

ハギヨシ(透明)「それも本人が無自覚のうちに…」ヒソヒソ

京太郎「じゃあ…」ヒソヒソ

ハギヨシ(透明)「彼女には九筒が見えなかったか、あるいは他の牌に見えていたか…」ヒソヒソ

京太郎「なんてこった。じゃあ、成長しちまってるってことか…」ヒソヒソ

ハギヨシ(透明)「はい、おそらくは…」ヒソヒソ

京太郎「スキマか…傷つきたくない傷つけたくない…ってところなのかな…?」ヒソヒソ

ハギヨシ(透明)「京太郎がそう思うのなら、きっとそうなのでしょうね」ヒソヒソ


咲「きょ、京ちゃん?何で一人でブツブツ言ってるの?」

京太郎「いや、考え事をな…」

咲「そ、そうなんだ」

京太郎「ちょっと確認なんだけどさ」

咲「ん?」

京太郎「咲は麻雀で対局したい人が居るんだよな?それもかなり強い人」

咲「う、うん」

京太郎「じゃあ、少なくとも全国レベルにならないとダメだろ」

咲「全国か…全国」

京太郎「でも、今のままじゃとても全国には行けないぞ?」

咲「えっ…?それは困るよ!私、全国に行きたい!」


京太郎(もう時間が無い…なんとかしないと…!)

京太郎(二週間後には県予選なのに…)

京太郎(このままじゃ照さんどころじゃない…予選で負けちまう!)