「――うっ……うぅ……? ここは?」

 室内に女の声がいやに響く。
 赤毛のセミロング、少し癖のある波打つ髪は竹井久だ。
 久は辺りを見まわそうと思い、すぐに異状に気付いた。目を開けているはずなのに暗いのだ。
 顔、目のあたりに軽い圧迫感があることから目隠しをされているとはすぐに見当がついた。
 しかし異状はそれだけではなかった。やけに肌寒い、風が近い、自分のものではない荒い呼吸音。
 久とてもう18歳、乙女ではあってもそういう話は聞いたことも読んだこともある。
 恐ろしい想像に思わず身を震わす。
 その直後、生唾を飲み込む音が久の下半身方向で鳴った。

「ひっ!? だ、誰!? なんなのよ!」

 答えを期待しない、苛立ちを吐き出すための詰問。
 久はなぜ今こんな状況に置かれているのか、記憶を遡ることで探ろうとした。

「そう、そうよ。確か美穂子にアイスティーを淹れてもらって――」

「ようやくお目覚め、久?」

 記憶が途絶える直前の光景に思い至ったタイミング、狙いすましたかのような絶妙なそれに差し込まれたのは聞き覚えのある声。

「美穂子? 美穂子!? いったいこれはなんなの? どういうことなの!」

「フフッ。どう、京太郎くん? あなたを虐げていた女のおま○こを目の前にして」

「え?」

「ほら、久の毛ってこっちも赤いの。私もお風呂で見た時はびっくりしたわ」

 驚きに硬直し、言葉が脳に染み渡った瞬間に久は慌てて脚を閉じようとした――がそれは叶わなかった。
 妙な体勢で固定されているようで、足が少し痛い。腿と足首、手首や首にもやや強い圧迫感。
 一度気付いてみればどうして気にならなかったのか分からないくらいに存在感を押し付けられている。
 いわゆるM字開脚というか、自らの陰部を見せつけるように足を開いている体勢なのだ。
 拘束を解けないかと暴れようとするが、固定されている箇所が多い。
 むしろ京太郎(?)の吐息が更に荒くなっただけだ。

「フフッ。あんなにおっぱいを揺らして……さして大きくもないのにぷるんぷるん揺れるなんて相当よね。
 そんなに京太郎くんを誘惑したいのかしら? ほんと、許せない」

「み、美穂子……? 何を言ってるの。私は須賀君なんてこれっぽっちも!」

「よく見て? こんなところまで毛が生えていて、ちゃんと処理していないのね。――あ、トイレットペーパーがついてるわ」

「!!」

 尋常ではない様子の美穂子に恐怖を感じる久。本心からの答えも意に介そうとしない。
 美穂子は馬耳東風、久の陰部を指で開き、秘されていた尿道口を見咎めて嗤った。

「あら、挿れたいの京太郎くん。そうよね、媚薬をたっぷり飲んだんだもの……おち○ち○が苦しくてたまらないわよね? じゃあ」

「いやっ! やめて! やめなさい美穂子! 須賀君も、そんなことしたら警察に突き出してやるわ!」

 美穂子の手に導かれ、熱く脈打ちながらその欲望を吐き出さんと久の膣口にあてがわれる。
 暴れる久を気にせず、美穂子がローションを久の下半身に垂らす。
 手にした京太郎の逸物を上下左右、円を描くように動かしぬめりを馴染ませていく。
 既に、京太郎が少しでも腰を動かせばたちまち久の処女は失われるだろう状態。
 ゆっくり、ゆっくりと亀頭が久の膣に沈んでいく。

「はい、そこまで」

 絶望から救う声は誰有ろう、久を地獄に突き落として繋ぎ止めているはずの美穂子からもたらされた。
 久への侵入は止まり、それどころか久の目隠しが解かれていくではないか。
 涙でぐちゃぐちゃになった久の顔が晒され、それを見下ろす笑顔の美穂子。
 訳も分からずありがとう、ありがとうと口にする久。笑みを深める美穂子。

「――京太郎くんの初めては私以外認めないわ」

 一転表情の抜け落ちた美穂子がそう吐き捨て、久の頬を張る。
 そうして首の拘束が緩んだのか顔が横に向いた久が見たのは――――自らを捉える複数のビデオカメラ。
 美穂子は機械音痴のはず。では別の誰かが協力している? こんな狂った状況に加担した奴がいるのか。許せない。
 一瞬で沸騰する久の怒り。

「勘違いしないでね久。私、今日のためにカメラの使い方を覚えたの。何回も壊してしまったけれど……龍門渕さんや原村さんには感謝してるわ」

 安堵と、絶望。それが久の感情だ。狂った奴は目の前の女だけ、京太郎は薬で操られているのだから許しはしないが今はノーカウントだ。
 しかしそれはつまり、美穂子の行動を外部の人間は知らないということ。
 知っていてもこの場所までは知らないだろうということ。
 助けが来るのは、自分たちの不在が知られてから。
 母は、自分のインハイ優勝をダシにして仕事の手を広げたらしく数日は帰れないと言っていた。
 京太郎は男子だ。1日2日程度なら捜索依頼にはならないかもしれない。
 美穂子は当然対策済みだろう。

「さあ、まずは私を感じて。味わって、京太郎くん♪」

 程なくして女の苦悶と嬌声が部屋に響く。
 まずは、と女は言った。
 久は絶望の足音を聞きながら、ないた。