ここ数ヶ月、雑用だけやると帰っちゃう京太郎。気になった咲が後をつけてみると、見知らぬ雀荘で可愛い女の子に付きっきりで教えられていた。
後で京太郎に訊ねると、「やめたいと思ってたときにその子から”麻雀のいいところ、たくさん知ってもらえたら嬉しいです”と言ってもらえたから続けられたんだ」と返された。
「俺は彼女と一緒に麻雀のいいところを見つけたいんだ」と続いたことに、咲は何の文句も言えなかった。
その子に勝つことは容易くても、京太郎に打ち方を教えることは感覚派の咲にはできない。一方的な実力差があるから楽しさを伝えることもできない。
でも、何もしなければ京太郎とその子は麻雀以外で一緒にいる理由を見つけてしまう。
悲観に暮れる咲の視界に入った教本。買ったのに読むこともなかったそれを見て咲はひらめく。

――一緒に打ち方を学んでいけばいいんだ

咲は京太郎に教えるためだけに理論的な打ち方の勉強を一から始める。
自分のあり方でさえあった戦法を捨てることを決断したのだ。
いつものように麻雀部から帰ろうとする京太郎に咲は声をかける。
「京ちゃん、私も連れて行って」
絶句するメンバーを無視して続ける。
「京ちゃんと一緒に、麻雀のいいところを見つけたい!」