京太郎(網膜剥離の可能性あり、か……もう、俺はハンドには戻れねぇんだよな……)

久「ねぇ、貴方……麻雀、始めてみない?」

京太郎「……はい?」

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部活動顧問の不在と、集まらぬ部員

彼女が救ったあの男、伝説的なハンド選手と、その幼馴染のプラマイゼロ子。
慢性的な人手不足、深刻な活動危機にあった清澄・麻雀部にとって、生活のための男手は必然的な結論だった。

私達は、あの男を利用し……その為に女世帯の欠点を利用した。
是非もない。あの男にしか、出来なかったのだから。


久「ごめんなさいね須賀君、力仕事を頼める人が他にいなくて……」

京太郎「いやぁ、これくらい何の何の……部長や皆のためと思えば……!」(重量物運搬)

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マージャン・エコノミカ
麻雀の世界的流行から始まる、雀士による優遇社会。限り有る雀卓の、節度ある再分配。
優秀な戦力主体たるレギュラーが、雀卓と牌を独占し、京太郎は部の隅に追い込まれ、ネトマを打つ為だけの雑用に従事していた。

雀士の力の象徴たるオカルト。
その取得に出遅れた清澄麻雀部は、同好会落ち寸前の状態であり、だからこそ私達は彼をも受け入れた。
雑事を担当する男手は、低俗な、部員取得の駆け引きにより生まれたのだ。

弱い部員、力仕事と雑用的な価値しかない、非力な雀士
この時はまだ、誰もがそう思っていた……私を含めて


久「須賀君にはほんと助けられてるわねー……私達だけじゃ出来ない仕事を頼めたりするし……それに咲の事もね?」

京太郎「そういう部分は任せてくれていいっすよ部長。 ……さてさて、咲の居場所はっと」(買い出しに出た迷子捜索)

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全国大会長野県予選
特に、清澄麻雀部による一回戦トビ終了は、清澄マネージャ男子の価値を一気に押し上げた。
だが、我々が単純な勝利を享受する一方で、各強豪校には、深刻な対立の火種が生じていた。

決勝卓後を見据えたマネージャー男子争奪
天江衣を擁する新興の龍門渕高校と、県内の古豪・風越女子によるこの争いは、次第に清澄や鶴賀、そして全国にまで波及し、潜在的な対立を顕在化させていく。
高校麻雀の、伝統に満ちた安定は、失われつつあった。
私はそれを、清澄麻雀部のチャンスだと考えていた。


久「私はね、須賀君……貴方を誰かに、どこかに渡すつもりは無いの……私達を……私を信じて、ついて来てくれる?」

京太郎「当然!俺は、あの日からずっとそのつもりっすよ部長。」

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天江衣撃破
長野県内の勝敗は、この大将戦により決定付けられたと言ってよい。
風越や龍門渕による清澄全国露出の壁を失い、遠隔地故の脆弱さを露にした東京エリアの高校が、極めて攻撃的で、リスクの高い戦術を採ったのだ。

チャンピオンや留学生を中心とした、攻撃重視のレギュラー選出。
白糸台高校とその好敵手たる臨海女子は、全てのオカルト戦力と、危険な海外ジュニアを投入し、予定通り、順当な全国大会出場を敢行する。

インターハイ
あっけなく敗退する各地の代表。水面下に拡大するマネージャー争奪戦。
決勝卓の先鋒戦により壊滅的な打撃を被り、一方的な防戦に追い込まれた清澄陣営の切り札となったのが、最年長の部長、竹井久と、あの男だった。


京太郎「絶対……!絶対に、勝ってください久さん!!」

京太郎「俺はぁ!久さんのことがっ……大っっ好きですからぁぁぁっ!!」


久「……ありがとう、須賀君……絶対に勝つわ。」

久「好きな人に最高の激励をされて、負けられる訳ないじゃない!!」


この中堅戦における2人の存在感は、正に圧倒的だった。
時に、味方である私でさえ、不安と恐怖を抱くほどに……


和「中堅戦後半開始直前に愛の告白だなんて……」

優希「犬だけに空気読めなさすぎだじぇ!だが部長は勝ったな!!」

咲「京ちゃんと部長が京ちゃんと部長が京ちゃんと部長が京ちゃんと部長が京ちゃんと部長が京ちゃんと部長が…………」

まこ(咲のオーラが怖すぎるんじゃが……)

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白糸台、臨海、阿知賀は諸共に倒れた。
最大の大会は終わり、輝ける未来が残った。
各校は、次なる機会への回復に追われ、争奪戦をする余裕など、ないように見えた。

清澄麻雀部は、既に十分な栄光を得ていた。彼女は、あの男との休息を求め、私はそれを了承した。

……甘かった、と言えばそれまでだ。
都合のよい恐怖(砂糖吐く程の甘イチャ)は、世界の常であるというのに

彼女は、あの男と結ばれて、麻雀部を引退した。
私には、彼らを止める権利も、言葉もなかった。
……これ以上はやめておこう。それは、私の語るべき物語ではない。

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久「ん? 何書いてたのまこ? 隠すこと無いじゃない」

まこ「ちょいと個人的な手記を書いとっただけじゃ。わりぁ気にせんでええ」


カンッ