友人からの告白。須賀君からの告白。
 彼は別れ際に、部長に雑用を言いつけられた時に稀に見せる諦めた顔をしていました。
 ゆーきが彼のことを意識していることは知っていましたし、咲さんもなんだかんだと気にしていたのです。
 だから、私は彼を異性として見ようとしなかった。大切な友人との仲が壊れてしまうのを危惧して。
 頭が上手く回りません……。私は、須賀君のことを本当はどう思っていたんでしょうか。

「――かちゃん! 和ちゃん! 大丈夫?」

「え、ああ、咲さん。大丈夫です……」

 咲さんに肩を揺さぶられてようやく意識を浮上させた私は何気なく周囲を見まわしました。
 そこでは、ゆーきが下唇を噛み締めて涙をぽろぽろと流し、染谷先輩に背を撫でられて。
 咲さんはインハイ決勝南三局に穏乃が倍満を和了った時のような、血の気の引いた白い顔。
 部長はふてくされたような、眉をひそめて唇を突き出す拗ねた表情。
 須賀君が連れ去られた。いえ、出て行ってしまった。たったそれだけのことなのに、部室からは光が消えてしまったかのよう。

 失って初めて気付くこともある。

 思えば彼は張り詰めがちな部室を朗らかにしてくれていたのかもしれません。
 須賀君がちらちらと私の胸を見て私がそれに怒ったり。ゆーきがからかってじゃれ合うような喧嘩をしたり。
 暇があれば本に没頭してお茶菓子をぽろぽろとこぼす咲さんの世話をしたり。
 部長の無茶振りに嘆いたり嫌味を言い合ったりしてニヒルな笑みを交わしていたり。
 労うようにお茶を汲んでもらってほっとしたように礼を言い合う染谷先輩だったり。

 取り返しがつかないこともある。

 改めて彼のことを思って見れば、胸の奥が温かくなります。
 しかしそうすればするほど、私は彼のことを良く知らないのではないかという思いが去来しました。
 帰ってきたらもっとちゃんと向き合おう。互いに互いのことを知って行こう。そう思う私は無意識のうちに彼が出ていったドアを見つめていました。

 脈はある。そう伝える日が来ることを願って――――――――


カンッ?