久「ねえ須賀くん、ごめんね」

ふとした二人っきりの時間、部長がいきなり隣に来て手を握ってきた。

京太郎「はい? 何がです?」

とぼけてはみるが、気づかれたかな。

久「ほら、何もかも押し付けてたし」

京太郎「いやー、俺はなにしろ素人の予選敗退ですからね、仕方ないですって。
    ……他に役に立てませんし」

自分で言ってて悲しくなる。実力がある人間が重視されるのはどこの部活でも同じだけど、咲や優希は活躍して成長してるのが分かるから。

久「それでも、私たちの夢に勝手に付き合わせちゃったから」

京太郎「何か悪いものでも食べました?」

殊勝な部長は逆に気味が悪い。何か大きな面倒ごとを押し付けられる予感が。

久「やっぱそういう反応よね。途中で夢中になって須賀くんのこと普通に忘れてたし」

忘れてたんかい。ええ、そうですよねー。俺は空気ですよ、るる~。

久「だけどね、終わった後思っちゃったの。一番私があなたに依存してたんだなって」

京太郎「はい?」

久「きっと甘え下手なのよね、言い訳にもならないけど。当たり前にいて勝手に手伝ってくれるなんて信じて。
  この前ゆみに言われちゃった『もう少し自覚したらどうだ』って」

加治木さんか、あの人すごいよな。麻雀初めて大して経ってないらしいのに咲や衣さんと渡り合ってさ。

久「表面上咲や優希があなたに甘えてるように見えるけど、一番甘えてるのは私。しかも言われるまで自覚なし」

部長、それはだめでしょ。いろんな意味で。

久「だから、代わりに私のこと好きにしていいわよ。お詫びが半分、私の願望が半分、どう?」

京太郎「いやいやいや、これどっきり?」

あの部長が? 悪だくみ大好きの部長が? 嘘だろ、有り得なくない?

久「信じてもらえないのは私の自業自得。だからこれから本当にさせて」

部長の手が俺の頬に添えられて顔が近づいて……

和「はい、そこまでです部長。それ以上須賀くんに触れるのはストップです」

咲「そうです、途中まで様子窺ってたけど我慢できません!」

優希「京太郎、大丈夫か? 傷物にされてないか? 私が守ってやるから安心しろ」

なんか乱入してきた三人が抜群のコンビネーションで俺と部長の間に割って入り、威嚇状態。

久「……なによ、見てたの? なら分かるでしょ、これはお詫びよ、お・わ・び」

咲「部長が自分の打算抜きで行動するはずがありません。京ちゃんをたぶらかす気でしょう?」

和「怖かったですね須賀くん、大丈夫、これから麻雀はデジタルの私が全部教えますから」

優希「のどちゃんも咲ちゃんも、京太郎放置してた同類だじょ」(ボソ

咲「わ、私はお姉ちゃんのことでちょっと頭がいっぱいで……」

和「みんなと離れないために仕方なかったんです、ええ」

な、なんだ、結局ドッキリなのか?

まこ「あー、こりゃひどい抗争状態じゃの。離れてこっちきんさい。わしは何もせんから」

おお、清澄の良心担当が来た。じゃあこのギスギスから逃げさせてもらおう。

優希「私もこっち側で問題ないはずだじぇ」

タコス娘もなんかついてきたけど、まあいいや。

咲「とにかく、京ちゃんは渡しません、ええ、渡しません」

和「一番役に立つのは私だと思います。総合的に見て」

久「だから、お礼とお詫びを兼ねて代表の私が、ね」

京太郎「何の競争してんの? あの三人」

結局何だったのか、さっぱりわからん。

まこ「……京太郎、お前は後で眼科いきんさい」

染谷先輩までひどい!


カン